金田大樹

記事の監修者

金田大樹

AXIA Marketing代表取締役

リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。

鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。

世界第4位の人口規模を誇り、東南アジア最大の市場であるインドネシアは、2030年まで持続すると予想される人口ボーナス期にあり、消費・投資のトレンドや株式市場の活況にも直結しています。インドネシア市場に進出しようと考えている企業にとっては、こうした状況はメリットと考えられます。また、中間層の増加により高まる購買力と、資源豊富な内需主導の経済を持っており、日本企業にとって非常に魅力的な進出先です。特に、健康ブームやデジタルトランスフォーメーションの波が高まることを背景に、日本の健康関連製品やデジタルサービスの需要が拡大しています

しかし、進出を検討する際には、インフラの脆弱性や複雑な税務手続き、コンプライアンスへの意識の低さなど、留意すべき点も多々あります。

この記事では、こうしたインドネシア市場の特徴について詳しく深堀りしていきます。

現在の状況を踏まえ、事前にしっかりと市場調査を行い、進出の戦略を練っていきましょう。

世界第4位の人口規模を誇り、東南アジア最大の市場であるインドネシアは、2030年まで持続すると予想される人口ボーナス期にあり、消費・投資のトレンドや株式市場の活況にも直結しています。インドネシア市場に進出しようと考えている企業にとっては、こうした状況はメリットと考えられます。また、中間層の増加により高まる購買力と、資源豊富な内需主導の経済を持っており、日本企業にとって非常に魅力的な進出先です。特に、健康ブームやデジタルトランスフォーメーションの波が高まることを背景に、日本の健康関連製品やデジタルサービスの需要が拡大しています

しかし、進出を検討する際には、インフラの脆弱性や複雑な税務手続き、コンプライアンスへの意識の低さなど、留意すべき点も多々あります。

この記事では、こうしたインドネシア市場の特徴について詳しく深堀りしていきます。

現在の状況を踏まえ、事前にしっかりと市場調査を行い、進出の戦略を練っていきましょう。

インドネシアの市場調査での注目トレンドを解説!

インドネシアは世界第4位の人口を有し、その若年層人口の多さが経済成長の大きな推進力となっています。平均年齢は29歳と若いのも特徴で、生産年齢人口の増加傾向は2055年まで続くと予測されており、市場のさらなる活性化が期待されています。

近年では、堅調な経済成長が継続し、過去10年間にわたって年平均5〜6%の成長率を維持してきました。こうした背景から、インドネシアは海外企業にとって非常に魅力的な進出先となっています。さらに、所得水準の向上に伴う消費の多様化が進み、特に二輪車の需要拡大や電動車市場の成長など、新たな市場動向が顕著に現れています。

そんなインドネシアは、親日的な国民性なこともあり、多くの日本企業が進出しています。日本の自動車やアニメ、日本食の人気が依然として高い水準にあるのは、インドネシアの国民性ゆえでしょう。

2025年の経済動向としては、政治の安定を背景にGDP成長率は前年同期比5.12%に達し、経済回復が進んでいます。サービス業や農業の成長が経済を支え、輸出は前年同期比で10%を超える伸びを示すなど製造業や観光業の回復傾向が続いています。

一方で、消費の停滞やインフレ率の低下といった課題も存在しており、今後の政策対応が注目されています。これらのトレンドやマクロ動向、株式市場のセクター資金配分を踏まえた綿密な市場調査が、インドネシア進出成功の鍵となるでしょう。

市場調査のベースとなるインドネシアの基本情報とは?

インドネシアの基本情報を押さえることは、市場理解の第一歩です。人口構成や首都移転、デジタル化の進展、宗教的背景などを正確に知ることで、消費者行動や経済動向の全体像をつかめます。

特に首都のジャカルタから新首都へ移転が進む現状や、日常生活に深く根付く宗教文化はビジネスに大きな影響を及ぼす要素です。ここではそれぞれのポイントを解説します。

基本情報

インドネシアは東南アジアに位置し、約1万7千を超える島々から成る世界最大の群島国家です。首都はジャカルタで、同市は政治・経済・文化の中心地として重要な役割を果たしています。国土は約190万平方キロメートルと広大で、日本の約5倍もの面積を有しています。

人口は2025年時点で約2億8,400万人に達し、世界第4位の人口大国として経済・社会に大きな影響力を持っています。人口動態のトレンドは消費市場と株式市場のテーマ形成にも波及します。人口の約60%が都市部に集中しており、ジャカルタをはじめとした大都市圏が経済成長の主要な牽引役となっています。

また、インドネシアは多民族・多宗教国家であり、多様な文化が共存している点が特色です。公用語はインドネシア語で、発展途上ながらも急速な都市化と経済発展が進行している国といえます。

首都移転

インドネシアでは、2025年現在、ジャカルタからカリマンタン島東カリマンタン州に位置する新首都「ヌサンタラ」への首都移転計画が進行中で、すでに政治機能の一部が段階的に移転されています。

この計画は、人口過密や交通渋滞、大気汚染、そして地盤沈下といったジャカルタの都市問題を解消し、環境負荷の軽減や行政機能の効率化を図ることを目的としています。また、東部地域の発展促進や地域格差是正も大きな狙いです。新首都は「ヌサンタラ」という言葉が示すように、多島国家インドネシアの多様性を象徴しています。

新首都のインフラ整備は進み続けており、道路や電力、水道、通信などの基盤設備が整いつつあります。インフラ関連のトレンドは、関連銘柄が多い株式市場のテーマにもなりやすいです。インドネシアでは、2045年までに完全移転を完了させる長期計画で、今後さらなる進展が期待されています。

消費者行動

インドネシアの消費者行動は、多様な文化的背景と急速な社会変化が反映された複雑な様相を呈しています。伝統的な価値観を大切にしつつも、都市部を中心に現代的なライフスタイルが浸透し、民族や宗教、地域ごとに大きく異なる購買パターンが存在しています。

一方で、若年層を中心にSNSやモバイルデバイスの利用が一般化し、ECやデジタルチャネルの利用が急速に拡大しています。特に、スマートフォンの普及率が向上しており、多くの消費者がオンラインでの商品の比較検討や購入を行うようになりました。

また、所得格差が広がる中で、価格感度の高い層と品質やブランドを重要視する層が混在していることも特徴的です。中間層の減少傾向に伴い、コストパフォーマンスを重視する消費者が増える一方で、高品質志向やエコ意識の高い消費者も増加傾向にあります。

そのため、マーケティング戦略はターゲット層を明確にし、地域や社会階層に応じたきめ細やかなアプローチが求められています。デジタル化の波に乗りつつ、伝統的な価値観や宗教的配慮も重視した商品企画や販促活動が、インドネシア市場での成功の要です。

デジタル成長

インドネシアのインターネット普及は目覚ましく、2025年2月時点で人口約2億8500万人のうち、約74.6%にあたる2億1200万人がインターネットを利用しています。前年からは約1700万人増加し、デジタル市場の拡大が加速していることがわかります。

モバイル回線契約数は3億5600万件に達し、人口の125%を超える契約数となっていることから、多くのユーザーが複数のモバイルデバイスを使い分けていると見られています。SNSの利用者は1億4300万人で、全人口の約半数に及び、特に若年層を中心に日常生活におけるデジタル接点として欠かせなくなっています。

EC市場は引き続き急拡大しており、2025年には1000億ドル規模に達する見込みです。多様なデジタルチャネルを使ったマーケティングや、ビッグデータ解析、AI活用の重要性が増しているため、企業は単なる広告や販売だけでなく、ユーザーの行動データを高度に活用した戦略立案が不可欠となっています。

都市部だけでなく地方にもインターネット環境が浸透しつつあるため、地域に合わせたデジタル施策の展開も重要な課題です。

宗教

インドネシアは約87%の国民がイスラム教を信仰しており、世界最大のムスリム人口を擁する国として知られています。イスラム教は社会生活や文化、価値観に深く根ざしており、ラマダンなどの宗教行事は消費動向に大きな影響を与えています。

断食期間中は特に食品や飲料の需要が高まり、また祝祭のイード・アル=フィトルでは帰省や贈答が盛んに行われるため、経済活動が活発化します。企業はこのような宗教的背景を尊重した商品開発やマーケティングを展開することが求められます。

また、インドネシアは多宗教国家であり、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教も一定数の信者を有しています。イスラム教徒の多くは穏健な信仰を持ち、社会の調和や多様性を尊重する姿勢が強いのも特徴です。

宗教的な慣習がビジネス習慣や日常生活に密接に絡んでおり、祈祷室の設置や礼拝時間の尊重、金曜日の集団礼拝など、宗教行事への配慮が企業活動にも重要視されています。こうした文化的理解は、現地での信頼関係構築や市場戦略の成功に欠かせない要素となっています。

市場調査で参考にすべきインドネシアのライフスタイルを解説!

インドネシアのライフスタイルは多様で、地域や所得水準、文化的背景によって大きく異なります。都市部では、スマートフォンやモバイル決済などデジタル技術の導入が進み、日常生活の利便性が高まっています。

また、若年層を中心にカフェやショッピングモールでの交流が盛んで、現代的なレジャー文化が根付いています。伝統的な価値観と急速な都市化が交錯する中で、消費者の購買行動も複雑化しているため、市場調査ではこうしたライフスタイルの多面性を捉えることが必須です。

より的確な商品開発やマーケティング戦略を策定するために、ここでインドネシアの特徴的なライフスタイルについて解説していきます。

集団主義

インドネシアの文化は、世界でも特に強い集団主義の価値観が根付いています。人々は家族や地域社会、職場などのコミュニティとの結びつきを非常に大切にしており、個人の成功は集団の成果の一部とみなされることが多いです。協調性や相互扶助の精神が社会生活の根幹をなしており、意見の対立を避けるために柔和なコミュニケーションが日常的に行われています。職場でもチームワークが重視され、連帯感を醸成するための努力が続けられています。

また、礼儀正しさや年長者への敬意が強く求められ、これが社会全体の調和を保つ重要な要素として機能しています。こうした価値観は、インドネシア人の行動や意思決定に大きな影響を与え、ビジネスシーンでも対面を重視した信頼関係の構築が非常に重要視される背景となっています。

現代的レジャー文化

インドネシアの都市部では、若者を中心にカフェやショッピングモールを訪れて仲間と過ごす時間が大事にされています。多彩な飲食店や映画館、エンターテイメント施設が集まるこれらのスポットは、単なる買い物の場を超え、友人や家族との交流、およびリラックスできる憩いの場として利用されています。このような場所は、現代インドネシアの都市生活の象徴的な要素となり、世代を超えたコミュニケーションの中心にもなっています。

さらに、休日や祝日には伝統的な市場や地域の祭り・イベントにも多くの人が集まり、伝統文化と現代的な娯楽が見事に融合する多彩なレジャーを体験することができます。こうした現代と伝統が融合したレジャー文化は、消費市場にも影響を及ぼし、多様な趣味・嗜好を持つ消費者ニーズに応える商品やサービスの開発が活発化しています。

価値観の交錯

インドネシア社会においては、急速な都市化とグローバル化に伴い、多様な価値観が複雑に交錯しています。伝統的な宗教や文化的保守主義が根強く残る一方で、特に都市部や若年層の間ではリベラルかつ現代的な価値観が広がっています。そのため、日常生活や消費行動では伝統と革新が同時に混在し、多様な選択肢が共存する状況が続いています

例えば、宗教的な信念を重視する人々は伝統的な慣習やモラルを大切に守り、一方で若者たちはファッションやエンターテインメント、SNSを通じて最新の流行や価値観を受け入れています。

こうした多様性は市場における消費パターンにも大きな影響を及ぼしており、企業が効果的なマーケティング戦略を展開するためには、これら相反する価値観のバランスを慎重に見極めることが重要です。インドネシア市場の成功には、対象となる顧客層ごとに異なる価値観を的確に捉え、柔軟かつ多角的なアプローチを採ることが求められているのです。

消費状況

インドネシアの消費市場は非常に多様性に富んでおり、都市と地方で大きく異なる特徴を持っています。都市部では品質の良いブランド商品やサービスへのニーズが急速に高まってきました。特に若年層を中心にデジタル技術が浸透しており、スマートフォンを活用したオンラインショッピングやデジタル広告の利用も急増しています。

一方で、地方では依然として伝統的な購買行動が根強く、生活必需品を優先する傾向が見られます。例えば、地方では地元市場での購入が日常的で、地域の文化や慣習に基づく消費スタイルが継続しています。

こうした二極化した消費構造は、企業にとって市場セグメントごとに異なる戦略を採る必要性を示しています。都市部の消費者にはブランド価値やデジタル利便性を訴求し、地方市場では価格や信頼性を重視した商品展開が効果的です。

さらに、中間層の一部が所得減少により支出に慎重になっているなど、消費者行動も変化しているため、市場調査では細かな消費者心理や生活実態の把握が不可欠です。インドネシアの消費状況を的確に捉えたマーケティングが、成功に向けた重要なカギとなっています。

東南アジア最大のインドネシア市場とは?

インドネシア市場は、その広大な人口と経済の成長により、多くの企業にとって魅力的な投資先となっています。

世界第四位の人口規模を持つこの国は、東南アジアで最大規模の市場といえます。特に中間層の増加が消費の拡大を促進しています。

インドネシアは資源豊富な国でもあり、多くの産業が内需に支えられています。また、日本との歴史的なつながりも深く、多くの日本企業が成功を収めています。

しかし、インフラの脆弱性やコンプライアンスの問題、複雑な法律や税制がビジネスの障壁となることもあります。こうした特徴を理解することは、インドネシア市場への進出を検討する際に不可欠です。

以下からは、こうしたインドネシア市場の特徴について、ひとつひとつ細かく見ていきましょう。

世界4位の人口規模

インドネシアは、その広大な土地と豊富な資源、急速に成長する経済により、世界でも特に注目されている市場の一つです。

世界第四位の人口を有し、約2億7千万人が居住しており、その多くが消費活動に積極的な若年層です。これにより、インドネシアは東南アジアで最大の市場としての地位を確立しています。

経済は多様な産業に支えられ、特に製造業、農業、そして近年ではデジタル経済が急成長を遂げています。

また、インドネシアはビジネス戦略を考える上でも位置的に恵まれており、アジア太平洋地域への扉としての役割を果たしています。こうした特性は、インドネシアがグローバルなビジネスの展開地としてどれだけ大きな潜在力を持っているかを示しています。

さらにインドネシアでビジネスを考える上では、以下の要素も重要です。

  • 2030年頃まで続くと予想される人口ボーナス
  • 就業率・失業率
  • 労働者の平均月収や年収

ここからは、インドネシアでのビジネス進出を狙う上で外せない、それぞれの項目についても見ていきましょう。

2030年頃まで続くと予想される人口ボーナス

インドネシアは、2030年頃まで続くと予想される人口ボーナスの恩恵が受けられると見込まれています。人口構造は、若年層が多いことが特徴です。

人口ピラミッドを見ると、労働力として活動可能な年齢層が広範囲にわたっており、これが国の経済成長を支える重要な要素となっています。豊富な労働力は、低コストでの生産活動や新たなビジネスの機会を促し、国際企業にとって魅力的な投資先といえるのです。

この人口動態は、インドネシアの市場が今後も持続的な成長を遂げる可能性が高いことを示しており、ビジネス展開を考える上で重要な指標です。

インドネシアの労働市場と経済発展を解説!

ここからは、インドネシアでのビジネス進出を狙う上で外せない、労働市場と経済発展について見ていきましょう。

低い失業率

インドネシアの労働市場は、経済成長とともに大きく変化しています。

近年、インドネシアの就業率は安定しており、特に若年層の雇用が増加しています。これは、教育の普及と技術の進歩が若者たちの技能を高め、新たな就業の機会を生み出しているためです。

一方で、失業率は比較的低く抑えられているものの、地域による格差や非正規雇用の問題も存在します。インドネシア政府はこうした課題に対処するため、さまざまな政策を実施中です。

労働者の平均月収および年収

インドネシアの経済発展に伴い、労働者の平均月収および年収も変化しています。

現地統計局の報告によると、都市部では労働者の平均月収が徐々に上昇しています。特に製造業、建設業、サービス業の月収が上がっています。これは、技術進歩と労働生産性の向上によるものです。

また、インドネシアの労働者は、年収で見ると地域による差がありますが、平均的には年間で400万ルピアから600万ルピアの範囲にあります。これは、国の経済成長とともに、中間層の拡大と生活水準の向上が見込まれることを示しています。

インドネシア政府は、さらなる経済成長を支えるために、教育と職業訓練の充実を図っており、今後も労働市場の発展が期待されています。

購買力の高まり

インドネシアは東南アジアで増加している中間層の影響により、購買力が高まっています。国際通貨基金(IMF)のデータによると、インドネシアの1人あたりのGDPは東南アジアの中でも上位に位置しており、これが消費者層の所得増加につながっています。

経済成長に伴い、特に都市部での生活水準が向上し、耐久消費財や高級品に対する需要が急速に拡大しているのです。このような背景から、インドネシアは多くの国際企業にとって魅力的な市場となり、消費者向けビジネスの機会が広がっています。

国内総生産(GDP)

インドネシアの経済は、国内総生産(GDP)、消費者物価指数(CPI)、実質経済成長率を踏まえると、ゆるやかに成長しているといえます。

インドネシアのGDPは、東南アジアの中でも高い水準を維持しており、経済の安定性を示しています。また、CPIの安定した推移はインフレの抑制に成功していることを示し、経済の健全性を支えているのです。

実質経済成長率も、国内外からの投資の増加と消費者の購買力向上により、堅調な伸びを見せています。こうした経済指標は、インドネシアが今後も持続可能な成長を遂げる可能性が高いことを示しています。

インドネシアへの日本企業が進出しやすさとは?

インドネシアは、その親日感情の高さから、日本企業にとって特に進出しやすい環境であると言えます。

インドネシアは、文化的な繋がりと歴史的な交流により、日本製品やサービスが広く受け入れられており、日本企業にはビジネスチャンスが豊富にあるのです。

また、経済協力や投資の拡大を促進するための二国間協定も積極的に行われています。こうした背景が、インドネシアがアジア地域でビジネスを展開する日本企業にとって魅力的である理由となっています。

インドネシアに進出している日本企業の数・推移

インドネシアに進出している日本企業の数は年々増加しており、外務省の「海外在留法人数調査統計」及び「海外進出日系企業拠点数調査 / 2022年調査結果」によれば、インドネシアは日本企業にとって重要な市場となっていることが確認できます。

具体的には、インドネシアは日系企業の海外拠点数ランキングで上位に位置しており、多くの業界がインドネシアで活動の幅を広げています。この統計では、製造業、販売業、サービス業など多岐にわたる分野での進出状況が示されており、インドネシアの市場のポテンシャルと成長の機会を反映しています。また、地政学的な位置や人口規模の大きさ、経済成長率の高さが、日本企業にとって魅力的な投資先としての条件を満たしていることが分かります。

インドネシア進出のメリットについて知りたい方はこちら
インドネシア進出のメリットとは?成功させるポイントや日本企業の事例について徹底解説

実際に進出している日本企業の事例

インドネシアには多くの日本の中小企業が進出しています。

中小企業のインドネシア進出成功の好例と言えるのが、水処理機器販売やメンテナンス事業をてがけるエーエスジェイ株式会社です。

インドネシアの水の普及率は低く、2019年時点で26%。エーエスジェイがインドネシア進出を決めた当初は14%程度だったと言います。

こういったインドネシアの根深い悩みの解決という観点でヤシ殻を使った水のろ過装置を設置しました。

それを皮切りに、現地の需要に合わせ、水処理システムを提供しています。

また、今では水処理システムだけではなく、黒にんにくの製造や販売なども手がけ、インドネシア進出に成功しています。

このように、「現地の人々の生活を向上させるために自社の技術が役に立てないか?」という観点は海外進出の成功において重要なポイントです。

また、エーエスジェイが日本基準の浄水システムではなく、「現地の人が使いやすく、現地の人の生活向上や仕事の創出につながるように」という現地基準で製品提供をしていることも成功要因の1つと言えるでしょう。

インドネシアでの成功事例について知りたい方はこちら
インドネシア進出した日系企業の事例13選!成功のためのポイントを解説

資源が豊富なインドネシアの市場調査について解説!

インドネシアは石油、天然ガス、石炭、金属類といった資源を産出し、これらが経済成長の大きな柱の一つとなっています。インドネシアはこうした豊富な自然資源と広大な消費市場を持つことから、経済的には内需主導型です。

また、世界4位の人口を持つ国として、内需は経済活動において重要な役割を果たしており、国内で生産された商品やサービスの大部分が国内で消費される傾向にあります。

このように自国資源と大きな市場を背景に持つインドネシアは、独自の経済動向を築き上げているといえるのです。

インドネシアの主要産業とは?

インドネシアは東南アジアに位置し、豊富な天然資源と大規模な労働力を活かした経済活動が盛んです。主要産業としては、農業、製造業、採掘業が挙げられます。

特にパーム油と石炭の生産は世界でもトップクラスであり、これらは輸出に大きく貢献しています。

製造業では、繊維製品や自動車部品の生産が盛んで、多くの日本企業も工場を構えるほどです。こうした産業は国内経済の発展だけでなく、多くの雇用を創出しており、国の経済成長を支える基盤となっています。内需も拡大しており、中間層の増加が消費を後押ししています。

各産業の成長率

インドネシアの経済は、多様な産業に支えられていますが、特に目立つのが製造業、農業、そしてサービス業の成長です。

製造業は特に自動車と電子機器の部門で高い成長を見せており、東南アジア地域での生産拠点としての役割を強化しています。

農業では、パーム油やゴムのような商品が主要な輸出品となっており、世界市場での競争力を保っています。

サービス業では、デジタル経済の拡大に伴い成長を見せているのが、フィンテックやEコマースの分野です。

こうした産業の活動がインドネシア経済全体の成長に関わっており、国の経済発展を促しています。

各産業の就業者比率

インドネシアの労働市場において、各産業の就業者比率を見ると経済の多様性があるとわかります。

独立行政法人労働制作研究・研修機構による最新のデータによれば、第一次産業、特に農業が大部分を占めています。この理由は、国の人口の多くが農村地域に居住しているためです。

第二次産業、特に製造業も就業者数が増加しており、インドネシアの工業化と経済成長を推進しています。

サービス業は、特に小売、運輸、通信業が急速に発展しており、都市部における雇用創出の機会を生んでいます。こうしたデータは、政府の政策立案や国際投資の決定に重要な役割を果たすのです。

インドネシア市場進出における7つの注意点とは?

インドネシア市場に進出する際、以下のように注意すべき点があります。

  • インフラの脆弱性
  • コンプライアンス意識の低さ
  • 法律や制度の急な改正がある上、税制・税務手続きが煩雑
  • イスラム国家ならではのルール
  • 外資規制
  • 高齢化社会の到来と少子化

こうしたポイントを踏まえ、地元のニーズに応じた製品開発やマーケティング戦略を計画することが成功の鍵となります。以下からは、各注意点について詳しく見ていきましょう。

①インフラの脆弱性

インドネシアでは、交通、電力、水道の各インフラは、都市部の過密化と地方の不均等な発展によってしわ寄せを受けています。こうしたインドネシアのインフラ脆弱性は、急速な経済成長と都市化に伴い起こったものなのです。

首都ジャカルタでは、交通渋滞と洪水が頻発しており、これが経済活動に影響を与える一因となっています。また、電力供給不足は産業活動の障害となり得るため、政府は新たな発電所の建設を進めていますが、環境への影響も懸念されています。こうした課題に対処するため、持続可能なインフラの整備と効率的なリソース管理が急務です。

②コンプライアンス意識の低さ

インドネシアでは、法規制の遵守が不十分であり、特に中小企業においては、規制や法律があってもそれが守られないことがしばしばあります。このように、インドネシアにおけるコンプライアンス意識の低さは、経済発展の過程で障壁となるのです。

コンプライアンスを無視する文化の中では、賄賂や汚職が日常的に行われるケースも少なくありません。これには、法的枠組みの不備や、法執行機関の不足、教育の欠如が影響しています。インドネシア政府はこの問題に対処するために改革を進めていますが、その効果はまだ限定的です。

③税制・税務手続きが煩雑

インドネシアにおける法律や制度の急な改正は、特に外国企業にとって大きな壁です。国は経済成長と規制環境の近代化を進める中で、税制改革も含め多くの法律を頻繁に変更しています。

これにより、税務手続きが特に煩雑となり、企業は適応に苦労しています。たとえば、複数の税率と例外規定が存在し、さらに変動も加わるため、対応しきれずにビジネスから計画性が損なわれがちです。

また、地方自治体による規制の違いも企業の対応を煩雑にしており、適切なローカルノウハウが不可欠です。

④イスラム国家ならではのルール

インドネシアは世界最大のイスラム教徒の人口を持つ国として、多くのイスラム国家ならではのルールが存在します。

特にビジネスを行う際には、こうした文化的、宗教的規範を理解し尊重することが不可欠です。たとえば、ラマダン中は日中の営業時間が短縮される企業が多く、消費行動も大きく変化します。さらに、イスラム法(シャリア)に基づく金融取引があったり、利子を扱わない「イスラム銀行」が存在します。

こうした制度は、インドネシアの市場に進出する際の戦略を練る上で、欠かせない知識となります。

⑤外資規制

インドネシアにおける外資規制には、特に注意が必要です。

国は外国直接投資を促進しながらも、特定の産業や分野においては外資の参入を制限しています。制限の理由は、国内産業の保護や経済の安定のためです。たとえば、外国企業が100%出資できない産業が定められており、そうした場合には合弁企業を形成することが求められることがあります。

また、特定の地域では土地所有権に制約があるため、事業展開の際には地元企業との協業が必須となることが多いです。こうした規制は、インドネシア政府が公開する投資ガイドラインで確認し、外資企業は規制に従わなければなりません。

⑥高齢化社会の到来と少子化

インドネシアの人口構造は若年層が多く、高齢者の比率は他の先進国と比較して低いままです。しかし、経済の発展とともに少子化の傾向は見られるようになり、今後数十年で人口動態に大きな変化が起こることが予想されます。

現在のところ、都市化の進行と教育水準の向上が少子化を促進している一因とされています。特に若い世代では、より良い就業の機会を求めて高等教育を受けることが多く、これが結婚や子供を持つことへの関心を後回しにする傾向があるのです。都市部では生活費が上昇することも、子どもを持ちづらいことの一因です。

こうした若年労働力の減少が将来的には経済に影響を及ぼす可能性があり、政府は対策を模索している状況です。インドネシアにおける社会保障制度の拡充や、若年層に対する支援強化がこれからの課題となるでしょう。

⑦首都移転計画

現在インドネシアの首都はジャカルタですが、ここでは多くの問題を抱えています。
その主たる原因が、人口集中です。過去には何度も首都移転案が計画され、2019年にようやく本格的な首都移転計画が発表されました。

新首都になる「ヌサンタラ」では、計画的に道路や下水を整備することで、交通渋滞や地盤沈下、洪水などの現在ジャカルタで起きている問題を解決することを目指しています。また、国連開発計画との間で「サスティナブルシティ」実現に向けた協力関係を築くなど、安全で持続可能な開発に期待が寄せられています。

しかし、この大規模な計画によって、税金などの負担が長期間に渡って国民に負荷をかけることになります。インドネシアを見る上では無視することのできない、大きな課題となるでしょう。

インドネシア市場の詳細な調査ならAXIA Marketing

この記事では、インドネシアの市場について詳しく掘り下げてきました。自動車業界や製造業といった分野をはじめ、市場進出の大きなチャンスがあります。

インドネシア経済の特性を理解し、地元の法規制や文化に適応することが成功の鍵です。また、急速に変化する市場環境に対応するためには、柔軟なビジネスモデルと戦略的な計画が必要です。そのためインドネシアへの進出、投資を検討されている方は、地域特有の消費者ニーズやビジネス環境に適応しなければなりません。

インドネシアについて、さらに詳細な情報が欲しい場合や具体的な市場進出支援が必要な場合は、AXIA Marketingにお問い合わせください。AXIA Marketingは、インドネシア市場への進出を支援する多くのサービスを用意しており、皆様のビジネス拡大を全力でバックアップさせていただきます。

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参考文献

インドネシアの市場調査経験豊富な現地リサーチャーが、島ごとに民族、言語、宗教、文化が異なるインドネシアの生活者理解を支援

インドネシア市場調査ガイド|消費者動向・経済予測・ビジネスチャンスを徹底解説

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