【2025年最新】海外進出で使える中小企業海外展開支援事業などの助成金/補助金・支援制度一覧

海外進出に当たっては、現地法人・支店等の設立費用、弁護士や会計士等の各専門家に支払う報酬、市場調査・マーケティングコスト、人件費、渡航費用など様々なコストが発生します。
そのため、売上拡大のために海外進出をしたいけど、資金が足りなくて困っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そのような悩みを持つ方に向けて、海外進出で利用できる助成金・補助金や支援制度をまとめてご紹介します。
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海外進出で使える中小企業海外展開支援事業などの助成金/補助金・支援制度一覧

政府や公的機関が提供している、海外進出で使える助成金/補助金や各種支援制度として主に以下の5つが挙げられます。それぞれの特徴や支援内容などについて分かりやすく解説していきます。
- ものづくり補助金<グローバル枠>(全国中小企業団体中央会)
- 海外展開支援(東京都)
- 市場開拓助成事業(東京都中小企業振興公社)
- 普及・実証・ビジネス化事業(JICA)
- 中小企業等海外展開支援事業費補助金(特許庁)
ものづくり補助金<グローバル枠>(全国中小企業団体中央会)
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者が革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際に、その設備投資やシステム導入に対して支援を行う制度です。
ものづくり補助金にはグローバル枠があり、海外事業を実施して国内の生産性を高める取り組みに必要な設備やシステム投資などを支援します。海外事業には、海外への直接投資に関する事業、海外市場開拓に関する事業、インバウンド対応に関する事業、海外企業と共同で行う事業が含まれます。補助金額は100万~3,000万円です。
他の補助金や支援制度と比較して、申請しやすい制度であり、海外進出を検討している中小企業は検討してみるとよいでしょう。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
海外展開支援(東京都)
東京都は、日本貿易振興機構(ジェトロ)、中小企業基盤整備機構、東京都中小企業振興公社、東京信用保証協会が連携した海外展開支援体制を構築しています。
海外での販路拡大や貿易実務相談に加え、東京都中小企業制度融資を通じた資金調達のサポートも行っています。
東京都中小企業制度融資は、東京都・東京信用保証協会・金融機関が共同で資金を提供する制度であり、海外展開に関する事業計画の策定・実行も支援対象となります。融資限度額は原則として2億8,000万円、融資期間は10年以内(据置期間2年以内)となっています。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
市場開拓助成事業(東京都中小企業振興公社)
市場開拓助成事業とは、企業が開発した新製品やサービスの販路を開拓するために、国内外の見本市や展示会等への出展や広告掲載にかかる費用の一部を助成するものです。東京都と連携して中小企業に対する様々な支援を提供する東京都中小企業振興公社によって運営されています。
対象となる製品・サービスは、①東京都や公社の事業において評価、認定、支援等を受けた自社の製品・サービス等、及び②成長産業分野(東京都が策定した「イノベーションマップ」に示される分野)に属する自社の製品・サービス等です。
国内及び海外の展示会や見本市に参加・出展するための費用(海外については通訳費も含む)や、自社サイト制作・宣伝広告費用などの一部が助成されます。助成限度額は300万円です。
市場開拓助成事業は、自社の製品やサービスを海外で販売したい企業が、海外での認知度を高めたり、販促・マーケティングを行うための金銭的な支えとなります。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
普及・実証・ビジネス化事業(JICA)
普及・実証・ビジネス化事業は、国際協力の促進や開発途上地域の支援を行う国際協力機構(JICA)によって提供されているプログラムです。
JICAの公式サイトによると、普及・実証・ビジネス化事業とは、「途上国の課題解決に貢献し得るビジネスの事業化に向けて、技術・製品・ノウハウ等の実証活動を含むビジネスモデルの検証、提案製品等への理解の促進、ODA事業での活用可能性の検討等を通じ、事業計画案を策定」することを支援する取り組みであると説明されています。
具体的な支援内容は、開発途上国の発展に寄与する事業1件当たり1億円を上限とする経費援助です。対象国はJICAの事務所や支所が設置されているODA対象国、対象分野は環境・エネルギー・農業・福祉・教育などJICAが指定する重点分野です。
開発途上地域における支援となる側面を有するビジネスを展開しようと考えている方にとっては検討の余地があるでしょう。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
中小企業等海外展開支援事業費補助金(特許庁)
中小企業等海外展開支援事業費補助金は、海外への事業展開を計画している中小企業に対して、海外における発明、実用新案、意匠または商標の権利化のための出願(出願手続)、特許出願に対する出願審査の請求(審査請求)などに伴う経費の一部を提供するものです。
中小企業による外国出願を促進し、知的財産権を活用した海外展開を支援することを目的として、特許庁により運営されています。
国内において有する特許や商標を海外においても展開したい企業にとっては、活用を検討するとよいでしょう。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
事業再構築補助金(中小企業庁)
事業再構築補助金は、思い切った事業再構築に意欲を持っている中小企業の挑戦に対して支援するための補助金のことです。事業再構築の具体的な内容は、新しい市場への進出や事業・業種の転換、事業の再編などになります。
支援対象となる企業は、現在もなおコロナの影響を受けている事業者もしくは、ポストコロナに対応した事業再構築を行っている事業者です。支援元は、中小企業庁です。
これから事業を再構築しようとしている企業は、活用を検討すると良いでしょう。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
技術協力活用型・新興国市場開拓事業(社会課題解決型国際共同開発事業)
技術協力活用型・新興国市場開拓事業は、経済産業省が支援しています。支援対象となる企業は中小企業で、対象となる取り組みは、開発途上国において日本企業の競争力につながる制度や、中小企業の海外展開などです。
海外進出を考えている中小企業は、活用することを視野に入れることがおすすめです。
詳細な情報は、こちらをご参照ください。
海外進出で使える助成金や補助金を活用する際の5つの注意点

海外進出で使える助成金や補助金を活用する際は、以下の5つの注意点を知っておくと安心です。
- 事前に募集要項を確認し余裕を持って申請準備をする
- 審査員を納得させられる事業計画書を作成する
- 補助金が交付されるまでの間の資金計画を立てる
- 使途制限と返還義務の有無を確認し準備をしておく
- 補助金と助成金の違いを理解しニーズに合わせて選択する
それぞれ、詳しく解説します。
①事前に募集要項を確認し余裕を持って申請準備をする
補助金や助成金は、それぞれ募集要項が定められています。申請する前に、補助金や助成金ごとに設定されている企業規模や事業内容、売上高などの要件が、自社に当てはまるかどうか確認しましょう。
また、公募期間が限られているため、余裕を持って申請準備を行うことが重要です。公募期間の直前に準備をすると、書類の準備が間に合わず、補助金や助成金を受け取れない可能性があるため、注意が必要です。
②審査員を納得させられる事業計画書を作成する
補助金や助成金の審査は、提出した書類に基づいて行われます。提出する書類の中でも、事業計画書は非常に重要な書類として位置付けられています。事業計画書は、事業内容や実現する可能性、企業の将来性、補助金や助成金の必要性などを示すためです。審査員を納得させられるような事業計画書を、時間をかけて丁寧に作成しましょう。
③補助金が交付されるまでの間の資金計画を立てる
補助金や助成金の交付は、申請してから一定期間が経過したあとになります。補助金や助成金によって交付されるまでの期間は異なるため、事前に必ず確認しておきましょう。
そして、補助金や助成金が交付されるまでの間、事業資金をどのように賄うのか、資金計画を立てておく必要があります。自社の事業スケジュールに合わせて、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
④使途制限と返還義務の有無を確認し準備をしておく
補助金や助成金は、どのようなことに使用しても良いわけではありません。特定の目的のために支給される資金であるため、使途が制限されています。そのため、申請する際は、明確な資金の使途に関する計画が求められるのです。
万が一、利用目的を誤って申請したり、不正な使用が発覚したりした場合は、補助金や助成金の返還義務が生じる可能性があります。返還するような状況にならないために、あらかじめ使途制限について確認しておくことが重要です。
⑤補助金と助成金の違いを理解しニーズに合わせて選択する
補助金と助成金の違いについて理解し、自社のニーズに合わせて選択する必要があります。補助金と助成金の違いは、以下の表の通りです。
補助金 | ・特定の目的のために支給される資金。 ・事業計画に基づいて、指定された条件を満たした場合、費用の一部を補助するような形で交付される。 ・領収書の保管や使途として認められていない費用について、細かいルールが設定されている場合が多い。 |
助成金 | ・特定の目的や分野に対して支給される資金。 ・使用の制限はあるが、補助金と比較すると、幅広い目的で使用することが可能。 |
上記の表を参考に、それぞれの特徴を理解して、自社のニーズに合った資金調達方法を選択しましょう。
海外進出を成功させるための5つのポイント

日本企業が海外進出を成功させるためには、いくつかの注意点があります。
どの要素も進出後のビジネスの成否を分ける重要なポイントとなりますので、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。
- しっかりと市場調査を行う
- 信頼できる現地パートナーを見つける
- 治安リスクの管理を行う
- 現地特有の文化・慣習に配慮する
- 現地特有の法規制・税制に注意する
しっかりと市場調査を行う
海外進出にあたっては、事前にしっかりと市場調査を行っておくことが重要です。主な調査項目としては、人口・市場規模・主要産業などの基本情報に加え、競合の存在、法規制・税制、現地の人々の生活・文化などが挙げられます。
企業が海外進出に失敗するよくあるパターンとして以下のようなものが挙げられます。
- 投入した製品がその国の人々の生活や文化に合わず、ほとんど売れなかった
- 思わぬ法規制や制度の罠に直面して思い通りのビジネスを展開できなかった
これらの失敗は、事前に入念な市場調査を行うことで回避することができ、その意味でも市場調査は非常に重要です。
市場調査の初期段階では、外務省やJETROなどの公的機関が発行する資料や、書籍・インターネット等などの公開情報の収集から開始することから始めましょう。
その後、本格的に進出検討を進める場合には、非公開情報も含めた調査や客観的な視点からの分析が必要となるため、専門の調査会社・コンサルティング会社に委託することをおすすめします。
信頼できる現地パートナーを見つける
海外進出を成功させるためには、信頼できる適切な現地パートナーを見つけることが重要となります。
現地パートナーは、現地で事業を展開するにあたり、適切な人につないでくれたり、必要な手続きの履行やコミュニケーションをサポートしてくれるなど、現地で事業をスムーズに展開するために欠かせない存在です。
いくら事前のリサーチをしっかりしていたとしても、現地に数十年住んでいる方には到底及びません。そういった現地人にしか分からない感覚をサポートしてくれるのが現地パートナーの存在です。
信頼できる現地パートナーと良好な信頼関係が築ければ、海外進出の成功率は格段に上がるでしょう。
治安リスクの管理を行う
海外進出に当たっては、治安リスクに対する対策を検討しておくことも重要となります。各国の治安情報については、大使館や外務省がホームページにおいて信頼できる情報を公開しています。
治安リスクへの対策としては、できるだけ安全な地区に拠点を設ける、現地パートナーと一緒に行動する、夜間の外出は控えるなどが考えられます。
現地特有の文化・慣習に配慮する
海外進出のよくある失敗例として、現地特有の文化や慣習に合わない製品・サービスを提供した結果、全く売れずに終わってしまうということが挙げられます。そうならないためにも、現地特有の文化や慣習をあらかじめ調査し、それに合わせて製品・サービスをローカライズすることが必要となります。
国や地域によっては、宗教にも配慮する必要があります。宗教上のルールによって特定の食品が禁止されていたり、服装が制限されていることもあるため、事前の調査が重要となります。
また、商品やサービスのパッケージや広告の内容にも注意が必要です。日本では何ら問題のない表現でも、現地の人が不快に感じたり、宗教上・マナー上のタブーに触れたりする場合があります。そうならないためにも、現地のスタッフなどに事前に文言を確認してもらい、問題ないことをチェックした上で市場に投入するようにしましょう。
現地特有の法規制・税制に注意する
海外で事業を展開するにあたっては、現地特有の法規制や税制などを遵守するように注意しましょう。日本では当たり前に認められていても海外では禁止とされていたり、外資系企業に対して特別なルールが設けられていることもあります。
また、海外で展開する事業の内容によっては、外資の参入が禁止・制限されていたり、それを行うのにライセンスの取得が必要となる場合もあります。
したがって、海外進出に当たっては、海外進出を支援する専門のコンサル会社や法律事務所などに相談し、注意すべき法律や税制に関する助言を受けることがおすすめです。
海外進出で使える助成金や補助金の活用事例

最後に、海外進出で使える助成金や補助金の活用事例について、紹介します。
- ITサービス業
- ファッション小売業
上記2点の事例について、それぞれ詳しく解説します。
ITサービス業
ITサービス業であるA社は、クラウドサービスの提供を行っている企業です。国内では一定の成功をおさめていますが、アジア太平洋地域への進出を目指し、クラウドサービスの現地化と地域特有のニーズに対応するためのプロジェクトを進行しています。
このプロジェクトでは、グローバル市場開拓枠の支援を受けて、インフラ整備や法務関連にかかる費用に対して、補助金を利用する予定です。海外進出支援コンサル会社の支援も受けて、現地のビジネスパートナーシップの構築や、現地言語への対応にも力を入れています。
ファッション小売業
ファッション小売業であるB社は、日本国内でファッションブランドを展開している企業です。欧米市場への進出を検討しており、現地での販売促進やマーケティング活動を行うために、現地の広告代理店と提携する計画を進行しています。
広告マーケティングや店舗のプロモーションにかかる費用の一部は、グローバル市場開拓枠の支援を受ける予定です。海外進出支援コンサル会社の支援も受けて、現地のファッショントレンドや消費者行動の調査や分析を行い、地域適応型戦略を展開しています。
中小企業海外展開支援事業などの助成金/補助金・支援制度を活用しよう

海外進出を考えている企業は、中小企業海外展開支援事業費補助金や事業再構築補助金、ものづくり補助金など、条件を満たしていれば補助金や助成金の制度を受けることが可能です。補助金や助成金の支援を受けるためには、事前に募集要項を確認して準備をしたり、資金計画を立てたりなど、注意しなければいけません。
また、海外への進出を成功させるためには、しっかりと市場調査を行い、信頼できる現地パートナーを見つけることが重要です。治安リスクの管理や、現地特有の文化や慣習、法規制、税制などへの理解も必要になります。場合によっては、海外進出支援を行っているコンサル会社へ依頼することもおすすめです。
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参考文献
・ものづくり補助金総合サイト – 全国中小企業団体中央会
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版
・海外展開支援 – 東京都
・市場開拓助成事業 – 東京都中小企業振興公社
・普及・実証・ビジネス化事業(中小企業支援型)について – JICA
・中小企業等海外展開支援事業費補助金(令和6年度 海外権利化支援事業) – 特許庁
・事業再構築補助金の第13回公募を開始します – 中小企業庁
・【2024年最新版】海外進出を支援する助成金・支援金ガイド:海外マーケティングのプロが解説する活用のコツ
・令和7年度「技術協力活用型・新興国市場開拓事業(制度・事業環境整備事業)」に係る委託先の公募(企画競争)について
・海外展開のために活用できる補助金・助成金の種類
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