アフターマーケットビジネスが注目される理由とは?自社事業のさらなる飛躍になる?
アフターマーケットビジネスは特定の製品(本商品)を購入した消費者に向けて、消耗品やオプション、アフターサービスを提供するビジネスです。
技術の発展やインターネットの普及により、製品そのものの価値を差別化するのは、あらゆる市場で難しくなっています。そんな中でアフターマーケットビジネスは、高収益でありながら顧客を囲い込むための有効な手段として、注目を浴びています。
「自社事業でアフターマーケットビジネスを取り入れるために、基本的な情報を把握したい」
「アフターマーケットを重視する企業が、どのように顧客を囲い込んでいるかを知りたい」
といった課題をお持ちの方に向けて、今回はアフターマーケットに注目すべき理由や成功のためのポイントを、具体例を交えてわかりやすく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただけますと幸いです。
アフターマーケットとは
製品・サービス購入後に必要となる、サポートや消耗品・オプション販売など、本商品に関連するニーズを満たす市場がアフターマーケットです。
アフターマーケットビジネスはあらゆる業界に存在しています。
例えばプリンターメーカーは、プリンター本体を販売した後に必要なトナーやインクといった、消耗品によって収益を確保するという、ビジネスモデルを採用しています。
他にも自動車業界であればメーカーの保守やパーツ販売、サードパーティーが提供するカスタムパーツ、自動車整備工場などもアフターマーケットビジネスに含まれるでしょう。
一般的にアフターマーケットビジネスは、購入した本商品と互換性のある製品やサービスである必要があります。そのため価格競争が発生しにくく、高い収益率を維持できる点が特徴です。
また本商品を購入した顧客との継続的な接点となるため、他の商品を紹介する際の有効なチャネルとしても効果を発揮します。
アフターマーケットに注目すべき理由5選
企業がアフターマーケットに注目するべき理由は、次の5つです。
- 高い収益性
- 競合との差別化
- 需要の安定性
- 新規事業機会の創出
- 製品の高度化と複雑化
アフターマーケットビジネスの検討は、価格・品質競争から脱却し、継続的なビジネスを展開するための大きなヒントになるはずです。
収益性が高い
アフターマーケットで流通する部品やサービスは、本商品に適合する必要があるため、販売者の数が限られます。その結果、競合が少なくなり高い利益率を維持できるのです。
また正規メーカーが提供する純正パーツ・純正サービスであれば、ブランド価値や品質の高さによって、さらに高い価格を設定できます。
生産面においても、量産可能な生産ラインが確立されていれば、原価を安く抑えられます。さらにアフターサポートなどのサービスであれば、原価は人件費となるため交換部品や消耗品を除けば、ほぼかかりません。
競合との差別化ができる
製品の機能や品質による競争が難しくなっている昨今、消費者が重要視するのは購入後の価値です。
購入した商品の価値が長く続くようなサポートや、ケア商品といったサービスを提供すれば「顧客第一」という姿勢のアピールになります。
つまり商品の寿命を伸ばすためにアフターマーケットビジネスを展開することは「ブランド価値の向上」という本質的な差別化につながるのです。
収益の見通しが立てやすい
収益の予測が立てやすい点も、アフターマーケットビジネスに注力すべき理由の一つです。
消耗品や定期的なメンテナンスは、一定の周期で必ず必要になるため、安定した需要を見込むことができます。
一方で新規顧客の獲得には莫大な労力が必要なうえに、市場の変化による突発的な需要の増減というリスクが存在します。
製品のライフサイクルを理解し、顧客ニーズを満たしつづけることで、長期的な利益をもたらすビジネスモデルを作ることができるでしょう。
新たな製品・サービス提供のきっかけになる
アフターマーケットビジネスは既存の顧客に新たなサービスや、製品を紹介する際のチャネルとしての機能もあわせもちます。
商品を長く利用してもらうための情報発信をしながら、同時に新製品をPRすることで、すでに自社製品に興味のある消費者層へアプローチできるのです。
新規事業を創出する機会になる
アフターマーケットにおける差別化は、新たな事業を生み出すことにつながります。
例えば建機メーカーのコマツは、売り上げの約40%がアフターマーケットビジネスによるものです。
コマツは販売した建機にセンサーを設置し、位置状況や稼働状況などの情報を取得し、ユーザーに最適なタイミングでメンテナンスを提案しています。他社よりも踏み込んだサポートをによって顧客の囲い込みに成功しました。
新規事業を立ち上げるにあたって、アフターマーケットビジネスでの差別化は重要な領域と言えるでしょう。
アフターマーケットの構成とは?
アフターマーケットは消耗品販売や修理サービス、金融商品などの様々なビジネスによって構成されています。
自動車業界を例にアフターマーケットの構成を考えてみましょう。
【自動車業界のアフターマーケットビジネス】
- タイヤやオイルといった消耗品の販売
- 故障修理、メンテナンスなどのアフターサービスの提供
- 修理時の純正部品の販売
- 保険、リースを含む金融商品の提供
- カスタマイズ・ドレスアップのためのパーツ販売
このようにアフターマーケットビジネスは、製品のライフサイクルに合わせて生まれるニーズを、細かく拾い上げている点がポイントです。
消費者を囲い込み、次の販売機会を得るためにもアフターマーケットビジネスを充実させることは、企業にとって非常に重要な取り組みなのです。
アフターマーケットビジネスの具体事例
HSK株式会社
HKSは自動車関連部品の製造販売を行っているサードパーティーの企業です。
主にエンジンパーツやマフラー、サスペンションなどの走り心地に影響を与える部品を提供しており、車を本格的にカスタマイズしたい消費者層を取り込んでいます。
レース仕様へのカスタマイズという、メーカーでは拾いきれないニッチな市場を狙ったアフターマーケットビジネスを展開しています。
Werner Aero
Werner Aeroは航空機から取り出した部品を再利用する、リサイクルビジネスを展開する企業です。
航空機業界では部品の高騰により、退役機の部品を再利用する流れがあります。
転売のみを行う会社が多い中、WernerAeroは退役機の買取から販売までワンストップでおこなうことによるスピーディな対応が、差別化につながっています。
ダイキン工業
エアコンで有名なダイキン工業は、アフターマーケットビジネスとして顧客の空調を管理する「AaaS(エア・アズ・ア・サービス)」を立ち上げました。
「AaaS」は「空気を提供する」という発想のもとで生まれた、空調設備の安定的な稼働を維持するサブスクリプションサービスです。
エアコンフィルターの交換や定期点検などはもちろん、空調設備のリースや省エネ化の提案など、従来のアフターマーケットビジネスとは異なる価値を提供しています。
自社事業におけるアフターマーケットの活用ポイント
アフターマーケットの価値は、十分に理解していただけたのではないでしょうか。
ここからはアフターマーケットを、自社のビジネスに活かすためのポイントを紹介します。
顧客ニーズの分析
顧客が商品を購入した後に、どのようなニーズが生まれるのか、提供している製品・サービスはしっかりとニーズを満たしているのか、といった点を分析することは非常に重要です。
消費者のニーズを探るには、顧客へのインタビューやSNS上でのリサーチが有効です。消費者が「価値を感じるポイント」を探し出し、それを満たす製品をリリースすることができれば、商品に対する信頼性が高まります。
また実際に商品を利用している顧客を調査し、理想的なライフスタイルを提案することで、新規顧客獲得のためのイメージ戦略にもつながります。
アフターマーケットビジネスは「利用者の声」を調査し、ブランド価値を向上するための絶好の機会でもあるのです。
市場規模・動向の分析
市場規模や動向の分析は、アフターマーケットの活用において欠かせません。
アフターマーケットの強みは安定した需要にあります。しかし突発的な市場の変化や新規参入者による需要・供給の増減は常に起こり得ます。
市場の動向を把握することは、リスクマネジメントにもつながるのです。
市場分析から得られる情報は、本商品の新しい利用法や新商品の開発にも役立ちます。自社の市場だけでなく、関連する市場にも目を光らせておくことで、新たな価値を提供するきっかけにもなります。
市場分析は効果的なマーケティング戦略の策定、利益の最大化に直接貢献する、非常に価値のあるプロセスです。
競合分析
業界における自社のポジショニングを理解し、適切な戦略を立案するには競合分析が必要です。
アフターマーケットビジネスには、正規メーカーだけでなく様々な企業が参入します。
例えば自動車パーツ業界をはじめとして、純正パーツを提供するメーカーだけでなく、ブランドや安心感でなく、安さや独自性を好む消費者も狙ったサードパーティーも存在します。
他社のラインナップや価格帯を把握し、自社のメニューに取り込むことは、顧客を囲い込むためにとても有効な戦略といえるでしょう。
つまり、アフターマーケットでシェアを確保するには他社のサービスの調査は欠かせないのです。
アフターマーケットとマッチする新商品・サービスの開発
今やアフターマーケットは「消耗品販売」「アフターサービス」の枠にとどまらず、顧客体験(CX)の向上機会としてとても重要な役割を果たしています。本商品と互換性のあるパーツやオプションは容易に生産できるようになり、商品自体の差はほぼ無いに等しい状況となりました。
これからのアフターマーケットビジネスでは、消費者が
「本商品を持っていてよかった」「この会社の製品を買ってよかった」
と感じられるような、新たな価値を提供する必要があります。
市場調査を通して消費者を理解することは、アフターマーケットビジネスにおいてもはや必須の行為なのです。
終わりに
アフターマーケットは、顧客満足度の向上、長期的な収益源の確保、および市場競争における優位性を構築するための重要な要素です。
自社事業にアフターマーケット要素を取り入れる際は、ニーズや市場、競合の調査が必要不可欠となってきます。
本記事で紹介させていただいたポイントを参考に、ロイヤリティの高い顧客の獲得、収益性の向上などに活かしていただけると幸いです。
アクシアのアフターマーケット支援サービス
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