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Column
2024.10.23
記事の監修者
金田大樹
AXIA Marketing代表取締役
リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
世界4位の人口、日本の5倍の国土を持つインドネシア。中間層の増加はASEANの中でも著しく、今後も成長が予想されます。
世界でも有数の親日国でもあるインドネシアで、日系企業はどのようなビジネスを展開しているのでしょうか。
この記事では以下の内容について記載しています。
貴社のインドネシア進出にお役立ていただけると幸いです。
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インドネシアに関する基本情報を紹介します。
正式名称 | インドネシア共和国 Republic of Indonesia |
面積 | 189万2,410平方キロメートル(2023年、日本の約5倍) |
人口 | 2億7,870万人(2023年、出所:中央統計庁) |
首都 | ジャカルタ 人口1,133万人(2023年、出所:ジャカルタ特別州住民登録局) |
民族 | 約300(ジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人等マレー系、 パプア人等メラネシア系、中華系、アラブ系、インド系等) |
言語 | インドネシア語 |
宗教 | イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教ほか |
主要産業 | 製造業(19.2%):輸送機器(二輪車など) 飲食品など農林水産業(13.2%):パーム油、ゴム、米、ココア、キャッサバなど |
インドネシアの人口は世界4位(2億7千万人)で、30歳未満が5割を占める非常に若い国です。2030年には3億人を突破すると予測され、人口増加は2065年ごろまで継続とみられています。人口減少を続ける日本と比べ、インドネシアは日系企業にとって非常に魅力的な進出先と言えるでしょう。
ここでは日系企業が進出する際に抑えておくべきポイントを3つ紹介します。
インドネシアは世界最大の親日国であることは、日系企業がビジネスを行う上で大きな利点です。
もともとオランダの植民地だったインドネシアですが、1942年に日本軍がインドネシアへ侵攻。オランダ軍を破ったことで1945年までの3年間は日本領となりました。その後日本が降伏しインドネシアは独立を宣言しましたが、オランダはそれを認めず再び侵攻しました。
オランダ軍からの侵略を受ける中、残留した日本軍がインドネシアに加勢した結果、無事独立を果たしたのです。この出来事から、多くの国民が親日派になったとされています。また1954年から現在まで続くODA(政府開発援助)による経済発展の支援も親日国家となった要因です。
インドネシアにおける日本の製品の人気は非常に高く、中間層の増加によって今後ますます需要が拡大すると予測されています。
インドネシアはASEAN内でも最大規模の経済大国であり、その影響力は巨大です。
インドネシア経済を支えるのが人口増加による民間消費で、GDPに占める割合は6割に上ります。
総人口に対して生産年齢人口の割合が多い「人口ボーナス期」は2040年まで継続すると予測されており、民間消費の増加は今後も継続するでしょう。
インドネシアは地理的にも東南アジア全域における重要な位置にあり、貿易や物流のハブとしての機能を果たしています。マラッカ海峡やスンダ海峡を通じて日本や中国、ヨーロッパに向けた輸送路が確保され、ASEAN域内外の貿易活動に大きく寄与しています。
インドネシアは豊富な自然資源でも知られ、国際市場における競争力の源泉となっています。
インドネシアには数多くの日系企業が進出しています。今回はその中でもマーケット環境に柔軟に対応した日系企業10社を厳選しました。いずれの企業もインドネシア市場における自社の課題を明確にし、適切な施策を取ることでシェアを獲得しています。
それぞれの企業がどのように市場で成功を収めたのか、詳細を見ていきましょう。
【インドネシア進出に成功した日系企業10選】
ヤクルトは積極的なマーケティングと地域密着型の配達システムで、インドネシアを日本に次ぐ世界2位の市場に成長させることに成功しました。インドネシアでは現在、1日700万本以上のヤクルト製品が購入されています。
ヤクルトの特徴である「ヤクルトレディ」による訪問販売はインドネシアでも行われており、大きな成果を上げました。インドネシアでは卸や問屋を通して販売するルートが一般的ですが「ヤクルトレディ」による訪問販売で、消費者との信頼関係を構築しています。
ポカリスエットは、インドネシアでも国民的スポーツドリンクとしての地位を確立しました。年間6億本もの販売実績を持ち、高温多湿なインドネシアでの水分補給の重要性を訴求することで、強固な市場基盤を築いています。
当初、日本と同じくスポーツ飲料としてのマーケティングを行っておりましたが、スポーツが盛んでないインドネシアではなかなか受け入れられませんでした。そこでインドネシアの気候や風習を徹底的に調査し、水分補給の必要性を教育することで他ブランドとの差別化を図ったのです。
ユニ・チャームは、現地のニーズに合わせた製品を開発し、インドネシアにおいて紙おむつや生理用品市場でNo.1シェアを誇る企業に成長しました。販売網や、低価格帯の商品ラインナップをそろえることでインドネシア市場に浸透しています。
すでに先行していたP&Gなどの競合他社との差別化が課題でしたが、ユニ・チャームはインドネシアの市場を分析し、一枚入りのおむつや庶民が購入可能な低価格帯の製品を開発し、シェアを拡大しました。
また現地法人に役員クラスの人材を配置し、意思決定スピードを上げることに成功。市場の変化や他社に後れを取らない体制を作り上げたのです。
ピジョンは、インドネシアにおいて哺乳瓶のシェアNo.1を誇る企業です。日本の高品質な育児用品をインドネシア市場に提供し、インドネシア市場において約6割のシェアを獲得しました。
インドネシア市場では価格競争が大きな課題でしたが、中間層に対して品質の高さを前面に押し出すことで課題を克服しました。また現地の病院との対話による製品開発の結果、ピジョン製品を使った子供が母親になった時に、再度ピジョン製品を購入する好循環を生み出すことに成功しています。
丸亀製麺は現地の食文化に合わせたメニュー開発と、日本のオペレーションを活かした店舗運営によりインドネシアでも成功を収めています。2013年の出店からわずか10年で100店舗にまで拡大しました。
外食産業の海外進出における大きな課題の一つは原材料の仕入れです。丸亀製麺は、現地大手製粉会社と提携することで、原材料の小麦を安定的に仕入れることができています。
イスラム教徒が多いことによる豚肉やアルコールが使用できないという条件のなか、独自メニューを開発し、ローカライズに成功しました。
ホンダはインドネシアにおいてバイク市場で8割のシェアを誇り、バイクのことを「ホンダ」と呼ぶ人もいるほど浸透しています。信頼性の高い製品と優れたアフターサービスが消費者に支持されました。
2000年代に中国メーカーの参入による価格競争が激化しましたが、ホンダは安定した品質と耐久性を武器にシェアを維持。現地のディーラーによる充実したアフターサービス網によって、他社の新規参入を防ぐことに成功しました。
グリコはインドネシアに最大規模の工場を設立し、現地生産を強化しました。日本でも普及している「ポッキー」は、インドネシアの高所得層を中心に人気を博しています。
収入格差が激しいインドネシアでは、グリコの製品を誰でも食べれるわけではありません。そのためグリコは高所得者層をターゲットにしたマーケティング施策を実行しました。
また暑い気候に合った製品改良や、健康志向の製品ラインナップを強化することで、現地市場に適応しています。
吉野家は現地の嗜好に合わせたメニュー開発に取り組み、牛丼チェーンとしての成功を収めました。特に、現地の辛味やスパイスを取り入れたメニューが人気を博し、日本食としての地位を確立しています。
吉野家は「日本でNo.1の牛丼」というキャッチコピーで進出しました。調理方法は日本と同様ですが、インドネシアに合わせて甘めの味になっています。
他にもインドネシアの調味料「サンバル」を乗せた牛丼など、インドネシア人の舌に合わせて日本の味をカスタマイズするメニューづくりによって受け入れられました。
ユニクロはインドネシアでも成功を収め、60店舗以上を展開しています。大型のショッピングモールには必ずといっていいほど店舗があり、ユニクロ製品の偽物が出回るほどの人気です。
インドネシアは高温多湿の気候ですが「室内の冷房がきつすぎる」などの理由で、冬物のヒートテックやダウンが真夏でも売れます。またイスラム教徒の女性が着用する「ヒジャブ」など、現地のニーズに合わせた品揃えが現地で愛されています。
資生堂はインドネシアの美容市場でも高いブランド力を武器に、高所得層の支持を得ています。1994年には現地法人との合弁会社を設立し、価格帯を抑えた製品群をリリースしました。
今後も成長が見込まれるインドネシア市場でシェアを獲得するには、増加している中間層の消費者を取り込む必要がありました。資生堂は現地の企業との合弁会社を設立し、よりリーズナブルなブランドの立ち上げを行いました。
多くの企業がインドネシア進出に成功している一方で、市場環境に適応できず撤退を余儀なくされた企業も多く存在します。各社がどのような壁に突き当たったのかを知ることで、事前にリスクを把握しておきましょう。
今回はインドネシアから撤退した企業を3つご紹介します。
【インドネシアから撤退した日系企業3選】
楽天は2011年にインドネシアのEC市場に進出しましたが、トコペディアなどの現地の強力な競合に押され、2016年に撤退しました。
インドネシアではもともとSNS上での直接取引が盛んです。楽天のようなホームページを介した取引をにはなじみがなく、広まりにくかったのが主な要因です。
セブン-イレブンは2009年にインドネシア市場に参入し、都市部を中心に店舗展開を行いました。インドネシア政府は小規模店舗の外資参入を禁止しており、セブン-イレブンは直営での経営ができませんでした。そのため現地のコンビニである「アルファマート」や「インドマレット」との競争に勝てなかったのです。またアルコール販売の規制が強化されたことも影響し、2017年に撤退を余儀なくされました。
昭和電工は2005年にインドネシアに進出し、現地での工場運営を開始しましたが、2019年に撤退しました。撤退理由は現地での優秀な人材の確保や育成に苦戦したこと、そして人件費の高騰によるコスト圧迫です。さらに労働環境の改善に必要な投資も重なり、最終的に撤退を決断しました。
インドネシアへの進出を検討する際は、新規事業の採算性やリスクを事前に把握しておかなければなりません。
インドネシア進出における事前準備を大まかにまとめると以下の通りです。
【進出を成功に導くための3つの準備】
それぞれについて詳しく解説します。
市場調査は大きく分けて2つの段階に分かれます。
それぞれ詳しくご紹介します。
市場調査の初期段階では、外務省・JETROなどの公的機関や、書籍による公開情報を収集することからはじめましょう。
収集すべき情報は以下の通りです。
進出プラン策定の際にメリット・デメリットが、具体的にイメージできる状態にしておくことが大切です。
デスクリサーチが完了したら、インドネシア市場をもう少し深く分析するフェーズに移ります。
この段階では公開されていない情報や、客観的な分析が必要になるため、信頼できるコンサルティング会社に委託することをおすすめします。
この段階では次のような観点で調査・分析をするとよいでしょう。
国内での調査・分析が完了したら現地調査に移ります。現地へ行かなければ分からない情報や、確認しておかないといけないことがありますので必ず現地に足を運びましょう。
現地調査で行うことは以下の通りです。
インドネシアでビジネスを行う際のパートナー企業を探します。パートナー企業とは、飲食店であれば仕入先、製造業であれば売り先である小売業者や卸問屋のような企業を指します。
パートナーは以下のような基準で選定します。
自社の力だけでパートナー企業を選ぶのは非常に困難です。コンサルティング会社と二人三脚でしっかりと選定し、進出を成功に導きましょう。
インドネシアの進出した日系企業はいずれも市場調査の結果をもとに、柔軟な戦略を立てて課題を解決しています。進出を成功に導くためにもしっかりと市場調査を行い、進出計画を立案しましょう。
今回は以下の内容をご紹介しました。
AXIA Marketingでは、インドネシア進出の際の市場調査をお手伝いしております。
弊社がご提供する「ベンチマーク調査」は、インドネシア市場における業界標準や他社の成功・失敗事例をもとに、貴社を徹底的に分析します。
客観的な分析によって自社のポジショニングを正確に理解し、最適な戦略を立案することが可能です。
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参考文献
・インドネシアビジネス情報とジェトロの支援サービスーJETRO
・インドネシア進出のメリット・デメリット|日本企業の拠点数・最新進出動向 | 海外進出ノウハウ ーDigima〜出島〜
・日本企業がインドネシアに進出して成功した事例 一覧|成功した理由と成果ーINDONESIA WORKS
・インドネシアへの日本企業の進出数と主要地域の特徴ーカケモチ
・なぜ売れる?常夏の国インドネシアで日本のユニクロ冬物商品が人気 本社が明かす「2つの理由」ーまいどなニュース
・日本企業がインドネシアから撤退する理由と事例紹介 | インドネシア進出支援ならカケモチ株式会社ーカケモチ
・【インドネシア】楽天撤退から分析するインドネシア進出の際に気を付けたい難点とSNS活用のポイントーアジアクリックーASIAClick
・インドネシアのセブンイレブン、「一斉閉店」の悲劇を迎える – 教えてASEAN│海外の飲食店出店を全面サポートーおしえてASEAN
・昭和電工、インドネシア子会社を売却ー日本経済新聞
・インドネシア進出の流れ・手順とやるべき事を段階別に解説|インドネシアでのビジネスの始め方ーINDONESIA WORKS
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