円安時に海外進出する3つのメリットとは?今後の見通しや注意点も紹介
日本の経済は、この数年間円安が続いており、一時は1ドルあたり160円に達するなど、歴史的な記録を残しました。
円安と聞くと、ネガティブなイメージを抱く方も多いかもしれませんが、実は海外進出を検討している企業にとっては大きなメリットとなります。円安によって日本の製品やサービスの価格が割安となることで価格競争力が上がり、海外の競合企業を押し切って市場シェアを獲得できる可能性が高まるのです。
そんな中、「円安がなぜ海外進出に有利に働くのかわからない」「円安時に海外進出をすることのリスクや注意点を押さえておきたい」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、円安時に日本企業が海外進出するメリットについて、注意点とともにわかりやすく解説していきます。
そもそも円安・円高とは何なのかという基本から分かりやすく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも円安・円高とは?
円安時に海外進出するメリットを解説する前に、そもそも円安・円高とは何か、海外進出とどのような関係があるのかについて、基本からわかりやすく解説します。
円安とは
円安とは、日本円の価値が他の通貨に対して相対的に低下することを指します。例えば、1ドル=100円だった為替レートが1ドル=150円になるような状況を円安と言います。この場合、同じ1ドルを得るために以前より多くの円が必要となり、円の価値が下がっていることを意味するのです。
円安の原因としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 日本から海外への輸入が増加することで、円を売ってドルなどの外貨を購入する動きが増え、円の価値が下がる
- 日本経済に対する信用不安が生じ、円を手放す投資家が増えることで円の価値が下がる
- 日本の金利低下により、投資家が金利の高い外貨を運用するために日本円を手放すことで円の価値が下がる
円安が起こることで、製品を海外に輸出している企業は、為替レートの影響でより高い収益を上げることが可能となります。また、日本国内の商品やサービスの価格が割安となるため、外国人観光客の増加が期待できます。
円高とは
円高とは、円安とは逆に、日本円の価値が他の通貨に対して相対的に上がることを指します。例えば、1ドル=150円だった為替レートが1ドル=100円になるような状況を円高と言います。この場合、同じ1ドルを得るために必要な円の量が以前よりも少なく、円の価値が上がっていることを意味するのです。
円高の原因としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 日本の製品・サービスへの需要や投資先としての魅力が高まり、多くの外国人が円を買うことで、円の価値が上がる
- 世界的な経済不安により日本経済への信頼度が相対的に高まり、多くの日本円が買われ、円の価値が上がる
円高が起こると、海外からの輸入品を割安で購入できるようになるため、海外から原材料や製品を調達して国内で製造販売する企業にとってはメリットとなります。また、海外旅行をする日本人にとっては、海外での商品やサービスが割安になるというメリットがあります。
円安時に海外進出する3つのメリット
円安は、海外進出する日本企業に大きなメリットをもたらします。主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
【円安時に海外に進出する3つのメリット】
- 価格競争力の向上
- 市場シェアの拡大と売上上昇
- 為替差益による利益の拡大
価格競争力の向上
円安時には、日本円の価値が他の通貨に比べて低下します。これにより、同じ製品でも、輸出価格が押さえられ、海外では割安な価格で提供できるようになります。
同等の製品をより安く提供できるため、市場における価格競争力が向上し、消費者から選ばれやすくなるというメリットがあります。
市場シェアの拡大と売上上昇
円安の影響で日本製品が割安となり、海外市場での競争力が上がると、より多くの顧客を獲得しやすくなります。
価格面での優位性によって販売数が増えると、現地市場でのシェアが拡大し、売上も上がるでしょう。
また、シェアが拡大することで、ブランド認知度も上がり、中長期での利益拡大や地位の向上につながります。
為替差益による利益の拡大
円安の際に海外での売上が増えると、外貨で得た収益を円に換算したときに利益が増加します。
例えば米ドルでの売上がある場合、円安時には1ドルがより多くの円に換算されるため、日本の本社に送金する際に利益が拡大します。これを「為替差益」といい、特に利益の大部分が外貨建てである場合、この為替差益により企業の収益が増加し、財務面でも大きなメリットとなります。
円安時に海外進出する際の3つのデメリット・注意点
日本企業にとって、円安時に海外進出をするメリットは大きい一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。主な注意点として、以下の3つが挙げられます。
【円安時に海外進出する3つのデメリット・注意点】
- 現地での調達コストが増える
- 海外人件費が上昇する
- 円安だけにとらわれない
現地での調達コストが増える
円安時には、現地通貨で取引される資材・設備が高額となり、これらを調達する費用が割高となってしまいます。
そのため、円安時に海外進出するにあたっては、このような負担増加の可能性も考慮した上で、利益の見通しを立てることが重要となります。
また、円安が今後も進行して原材料等の調達負担が増えていくリスクを軽減するため、建設資材の価格を長期契約で固定化しておくことも有効と考えられます。
海外人件費が上昇する
現地で働く従業員の給与や福利厚生費が円安により割高になることにも注意が必要です。特に、円安により、相対的に物価が高まっている国では、現地の価格相場に合わせて、給与を引き上げることも考慮しなければなりません。
また、同じ国でも、地域によって最低賃金額が異なるため、できるだけ最低賃金の低い地域に工場を建設するなどの対策を採ることも考えましょう。
円安だけにとらわれない
円安による海外進出のメリットが大きいのは事実ですが、単に円安であることだけを理由に、短期的な視点から海外事業を展開することは避けなければなりません。
今後も円安が続く可能性が高いとはいえ、いつまでこの傾向が続くかは不透明であり、急に円高に転換する可能性も否定できません。そんな中、円安による利益だけを狙って安易に海外で事業を展開してしまうと、大きな痛手を被る可能性があります。
円安だけに注目するのではなく、海外で事業を行う戦略的な意義や目的を明確にし、地に足の着いた形で事業を展開することが重要です。
円安の今こそ海外進出のチャンス!
これまで見てきた通り、円安は海外進出をする日本企業に多くのメリットをもたらします。
日本ではここ数年の間、円安傾向が続いています。ドルとの関係で見ると、2022年ころから徐々に円安の動きが見られ始め、2024年6月頃には1ドルが160円にまで達しました。この傾向は今後も続くとみられています。
円安が続いている今こそ、日本製品の価格優位性を武器に海外市場への拡大を狙う絶好のチャンスです。コスト管理や価格戦略にも注意しつつ、売上や認知度を拡大し、中長期で成長させるために海外進出を検討してはいかがでしょうか。
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