新規事業の立ち上げに必要な市場調査とは？方法や成功させるための5つのポイントを解説

この記事の監修者金田大樹

金田大樹

リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。

鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。
上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。

「新規事業を始めたいけど、市場調査って具体的に何をすればいいんだろう？」「これまでの市場調査が成功に結びついていないんだけど、何か見落としているのかな？」

そんな新規事業の市場調査に関するお悩みを、この記事で解決します。

本記事で得られる内容は以下の通りです。

新規事業成功のための市場調査の基本的な進め方
5種類の調査手法と、それぞれの特徴や使い分け方
市場調査を成功に導く具体的な5つのポイント
市場調査を外注した際のメリットと活用方法

市場調査の正しい手順とポイントを押さえることで、新規事業の成功確率を大きく高めることができます。さらに、外注という選択肢も含めた調査方法を知ることで、より効率的に精度の高い市場調査を実施できるようになりますよ。

新規事業を成功させたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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新規事業の立ち上げに必要な市場調査とは？目的や準備を解説

新規事業の立ち上げには、適切な市場調査と綿密な準備が不可欠です。特に昨今のように市場環境が急速に変化する時代では、より詳細な調査と分析が求められています。ここでは、その具体的な流れや進め方について、実践的な方法をご紹介します。

新規事業の立ち上げの流れ

新規事業の立ち上げは、大きく3つのステップで進めていきます。

第1のステップは、外部環境分析と自社分析です。このステップでは、社会・経済などの外部環境の変化を把握し、自社の強みや弱みを分析します。SWOT分析やPEST分析などの手法を用いて、現状を正確に把握することが重要です。

第2のステップでは、ターゲット選定と事業コンセプト、ビジネスモデルの策定を行います。市場調査の結果を基に、具体的なターゲット市場を定め、その市場でどのような価値を提供するのかを明確にしていきます。

第3のステップでは、具体的な事業計画やアクションプランを策定します。開発費用の試算、売上予測、マーケティング戦略など、実務的な計画を立てていきます。

市場調査とは？

市場調査とは、課題解決のアクションや意思決定に必要な情報を収集・分析することです。近年のデジタル化により、より多角的で深い分析が可能になり、その重要性は増しています。新規事業開発において、市場調査は非常に重要な役割を果たします。

具体的には以下のような情報を収集・分析します。

対象市場の規模
潜在的な顧客数
市場の成長性
競合企業の状況
参入障壁の有無

これらの情報を収集することで、新規事業の成功可能性を客観的に判断することができます。特に重要なのは、市場規模と成長性の見極めです。いくら良いアイデアでも、市場が小さすぎたり、成長が見込めなかったりすれば、事業として成立しづらくなってしまいます。

市場調査を行う前の準備

市場調査を始める前に、まず方向性を決め、対象分野を想定することが重要です。具体的には、PEST分析、3C分析、SWOT分析などの手法を活用します。

PEST分析では、外部環境を「政治的要因（Politics）」　「経済的要因（Economy）」　「社会的要因（Society）」　「技術的要因（Technology）」の4つの視点から分析します。例えば、法規制や税制の変更、景気動向、人口動態の変化、技術革新などが事業にどのような影響を与えるかを検討します。

3C分析では、自社の経営資源を分析し、市場・顧客の定義・確認、競合を分析します。これにより、自社の強みを活かせる市場を見極めることができます。

SWOT分析では、内外部要因の視点から強み、弱み、機会、脅威という4つのカテゴリーで分析を行います。この分析により、自社の現状と市場環境を総合的に把握することができ、より効果的な市場調査の方向性を定めることができます。

これらの準備段階での分析をしっかりと行うことで、その後の市場調査をより効率的かつ効果的に進めることができます。

新規事業における市場調査の種類

市場調査はビジネスを成功させるために欠かせない活動です。新製品の開発や新規市場への進出、既存製品の改善、顧客満足度の向上などのマーケティング施策を行う上で、必ず行われるアプローチです。特に競争が激化する現代のビジネス環境では、的確な市場調査がその後の成否を大きく左右します。ここでは、新規事業を始めるにあたって具体的な調査方法と、その特徴について解説していきます。

市場調査の種類や手法についてさらに詳しくしりたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

市場調査とは？調査手法や活用事例などを徹底解説

デスクリサーチ

デスクリサーチは、市場調査の基本となる手法です。官公庁・業界団体の統計・資料、WEB、新聞、雑誌、調査会社など既に公開、公表されている情報を収集する方法です。

この手法の大きな特徴は、着手時の費用が比較的少なくて済むことです。特にインターネット検索エンジンを利用した情報収集は、デスクリサーチの中でも手軽に始められる方法として知られています。ただし、調査に時間をかければかけるほど、調査スタッフの人件費が発生することには注意が必要です。

アンケート調査

アンケート調査は、情報を得たい設問を含むアンケートを作成し、選定した対象者に回答してもらう方法です。現在では、パソコンやスマートフォンのメールアドレス宛に依頼するインターネットアンケートシステムが主流となっています。

調査の規模によって、全数調査とサンプル調査に分かれます。全数調査は対象者すべてに実施する調査で、日本における代表的な例として国勢調査があります。一方、サンプル調査は対象者の中からサンプル抽出した対象者のみに実施する調査方法です。

訪問・インタビュー調査

訪問・インタビュー調査は、対象者を直接訪問して面談したり、WEB面談や電話などでインタビューしたりすることにより、実態を把握する手法です。一次情報を直接収集できるため、より詳細な情報や生の声を得ることができます。

対面でのコミュニケーションを通じて、アンケートでは得られない深い洞察や、予想外の発見が得られることも多いのが特徴です。ただし、調査対象者の数や地理的な範囲によって、費用や時間が大きく変動する点には注意が必要です。

データ分析

データ解析は、POSなどの購買履歴、サービス利用履歴、Webログなど蓄積された大量のデータを分析する手法です。実際の顧客行動や利用状況を数値化して把握できる点が大きな特徴です。

近年はビッグデータの活用が進み、AIやマシンラーニングを用いた高度な分析も可能になっています。ただし、データの収集や分析には専門的な知識やツールが必要となるため、外部の専門家に依頼することも検討する必要があります。

観察調査

観察調査は、対象者・物の行動・動作、施設の実態などを観察・記録する手法です。実際の利用シーンや行動パターンを直接観察できることが最大の特徴です。

この手法は、アンケートやインタビューでは把握しきれない無意識の行動や、対象者自身も気づいていない習慣やニーズを発見するのに適しています。ただし、観察には一定の時間と人手が必要となるため、調査範囲と必要な人員のバランスを考慮する必要があります。

新規事業における市場調査の方法

市場調査を効果的に進めるためには、適切な手順で実施することが重要です。目的の設定から、調査手法の選択、実際の調査実施、そして結果の分析まで、各ステップを確実に進めることで、より質の高い情報を得ることができます。ここでは、成功につながる市場調査の具体的な進め方について、実践的な方法をステップごとに解説していきます。

目的を明確にする

市場調査を成功させるためには、まず目的を明確にすることが重要です。なぜなら、目的が曖昧なまま調査を始めてしまうと、情報収集の過程で目立つ情報や大量の情報に関心が向いてしまい、本来必要な情報を見落としてしまう可能性があるためです。

例えば「今後の市場動向を知りたい」という漠然とした目的ではなく、「5年後の市場規模を予測し、参入判断の材料としたい」というように、具体的な目的を設定することが大切です。これにより、必要な情報を効率的に収集することができます。

調査手法を選ぶ

市場調査の目的が決まったら、次は適切な調査手法を選びます。調査は一般的に、デスクリサーチから始めて、必要に応じてアンケートやインタビュー調査へと進んでいきます。

調査方法は1つで終わらせないことが重要です。アンケート調査のような定量調査と、モニター調査、SNS調査、競合調査では、得られる情報が全く異なります。そのため、2～3つ、可能であれば複数の調査を組み合わせることで、より正確なニーズ把握が可能になります。

調査を開始する

調査を始める際は、体系的なアプローチが重要です。例えば、再生可能エネルギー市場への参入を検討する場合、市場規模、成長性、主要企業の動向、業界構造、法規制など、具体的な調査項目を設定します。

調査の際は、信頼性の高い情報源を使用することが重要です。政府統計や業界団体の発表データ、専門機関の調査レポートなどを活用しましょう。また、調査項目ごとに期限を設定し、計画的に進めることで効率的な調査が可能になります。

分析と仮説検証を行う

収集したデータは、仮説に基づいて分析します。例えば「この市場は今後5年間で年率10%以上成長する」という仮説があれば、市場規模の推移、競合他社の動向、技術革新の状況などから、その仮説が正しいかどうかを検証します。

分析の際は、データを単に並べるだけでなく、市場の特徴や傾向を読み取ることが重要です。また、予想される変化や潜在的なリスクについても考慮に入れましょう。

検証結果をもとに次のアクションを決定する

分析結果をもとに、具体的なアクションプランを策定します。例えば、市場参入を決定した場合は、参入時期や投資規模、事業計画の詳細を決めていきます。

ただし、調査結果が当初の想定と異なる場合は、計画の見直しや追加調査の実施を検討することも必要です。市場調査はあくまでも意思決定のための材料であり、その結果を踏まえて柔軟に方針を調整することが、事業成功への近道となります。

新規事業における市場調査を成功させる5つのポイント

市場調査を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、実践的な5つのポイントについて、具体例を交えながら詳しく解説していきます。多くの企業が市場調査で成果を上げられない理由の一つは、これらの基本的なポイントを見落としているからです。これらのポイントを意識することで、より効果的な市場調査が可能になります。

①ターゲットとなる年齢層や性別などを明確にする

新規事業の成功には、ターゲットを具体的に設定することが不可欠です。例えば、同じサービスでも30代女性と40代女性では評価が大きく異なることがあります。これは、ライフスタイルや価値観、消費行動などが年代によって異なるためです。

また、価格設定においても、世帯年収や既婚・未婚といった条件によって受け止め方が変わってきます。そのため、「女性向け」という大まかな設定ではなく、「年収600万円以上の既婚30代女性」というように、できるだけ具体的な条件を設定することが重要です。このような詳細な設定により、より的確なニーズ把握が可能になります。

②複数の調査方法を駆使する

市場調査では、1つの調査方法だけでは十分な情報を得ることができません。アンケート調査のような定量調査と、競合調査など、異なる手法を組み合わせることで、より正確な市場ニーズを把握することができます。

特に競合調査は、市場での優位性を確立するために欠かせない手法です。しかし、「具体的にどのように進めれば良いのか」「どんなフレームワークを使うべきなのか」といった点で悩まれている方も多いのではないでしょうか。

競合調査についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

競合調査とは？やり方や代表的なフレームワークを徹底解説！

③新規事業における軸と優先順位を決めておく

新規事業では、「ここだけは譲れない」という軸を明確にしておくことが重要です。例えば「品質重視」や「価格競争力」といった軸を設定することで、調査項目やターゲット層の選定がより具体的になります。この軸の設定は、後の事業展開にも大きな影響を与えます。

複数の軸がある場合は、優先順位をつけることも大切です。会社のビジョンやミッションを基準に、優先順位を決めることで、不測の事態が発生しても、どの調査を優先して続けるべきかの判断がしやすくなります。これにより、限られたリソースを効果的に活用することができます。

④仮説をしっかり立ててから調査を行う

市場調査を始める前に、しっかりとした仮説を立てることが重要です。仮説とは、調査したいことに対する予想や仮の答えのことです。この仮説を検証するためにデータを集めていくことで、調査の方向性が明確になります。また、仮説があることで、必要な調査項目も具体的に定めることができます。

仮説が曖昧なまま調査を始めてしまうと、得られた結果をどのように活用すればよいのか分からなくなってしまいます。そのため、具体的な仮説を立ててから調査を開始することで、より効果的な結果を得ることができます。仮説の質が調査全体の成否を左右すると言っても過言ではありません。

⑤市場調査の前に費用対効果を意識する

市場調査の規模によって、必要な時間とコストは大きく変化します。そのため、どの程度のサンプル数があれば必要十分なデータが得られるのかを、あらかじめ明確にしておくことが重要です。

不必要に大規模な調査を行うと、得られる答えは変わらないのに費用だけが膨らんでしまう可能性があります。そのため、統計学の知識を活用したり、専門家に相談したりしながら、適切な調査規模を設定することが推奨されます。効率的な調査設計が、コストパフォーマンスの高い市場調査につながります。

新規事業における市場調査を外注する3つのメリット

市場調査は、精度の高い情報収集と適切な分析が必要な重要な取り組みです。社内だけで実施すると様々な課題が生じることがありますが、経営コンサルタントなどの専門家に依頼することで、より効率的で質の高い調査が可能になります。特に近年では、市場環境の変化が急速に進み、消費者ニーズも多様化しているため、専門的な知見と豊富な経験を持つ外部の専門家の支援を受けることの重要性が高まっています。ここでは、市場調査を外注する際の具体的なメリットについて解説していきます。

以下のメリットを参考に、新規事業の市場調査でお悩みの方は、ぜひAXIA Marketingにご相談ください。

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