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医療業界の市場調査の方法は?医療業界の現状と将来のシステム進化を解説

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医療業界は日々の研究により、ここ数年で大きく進歩してきました。

医療業界はさまざまな分野の人に支えられており、市場調査は技術の発達には欠かせないものです。

最近では、AI技術や各種機関の連携を医療に落とし込むことで、これまでとは違った医療の提供が可能となりつつあります。

人の手による医療から、革新的なツールを用いることで、医療業界の発展が期待されるでしょう。

本記事では、医療業界の現状と将来の展望と、医療業界の市場調査方法について解説します。

医療業界の基本と市場調査の役割

技術の発達により、医療業界は目覚ましい進歩を遂げてきました。

しかし、いまだに解明されていないことも多く、日々研究を続けていかなければなりません。

医療業界の研究を効果的にするのが市場調査です。

市場調査は、現場のニーズをデータ化することで、今後の動向について考察する材料となります。

ここでは、医療業界の概要と市場調査の重要性について解説するので、参考にしてください。

医療業界の概要

医療業界と一口に言ってもその領域は広く、大きく分けて「医療機関」「医薬品メーカー」「医療機器メーカー」の3つから成り立っています。

「医療機関」には、医師や看護師をはじめとし、リハビリや事務作業など幅広い分野の職員が従事しています。

勤務地は病院やクリニックなど大小さまざまあり、包括的なケアが欠かせません

医療機関は患者の治療をすると同時に、経営を維持させるための戦略を練っていくことも重要です。

「医薬品メーカー」には、研究職、開発職、営業職などの職員が従事しています。

勤務地は製薬会社があり、国内や外資系、ジェネリック医薬品など幅広い分野を対象にしています。

医薬品メーカーは、新薬の開発を次々と進めており、医療の発達に欠かせない分野です。

「医療機器メーカー」には、研究職、開発職、サービスエンジニア、品質管理、生産技術、営業職、事務職などの職員が従事しています。

医療機器メーカーが提供する商品は、医療機関から一般家庭向けまで幅広くあります。

医療機器全般や特定の分野に特化するなど、得意としていることもさまざまです。

高齢化社会となっている昨今では、医療業界と介護業界の連携が重要となってきており、包括的なケアが求められます。

医療市場調査とは

医療市場調査とは、医療業界の市場や消費者から収集した情報を分析し、現代の医療に求められていることを理解するための調査です。

医療市場調査では、アンケート調査やフォーカスグループ、データ分析などさまざまな方式が用いられます。

医療市場調査は、データに基づいた現場のニーズを把握できるため、効果的な医療の提供につながります。

医療業界における市場調査の重要性

医療の発達や食生活の改善により、日本では高齢化社会が進行しています。

よりその人らしく生きていくための健康寿命を延ばすという考えにもなってきており、日本の高齢化は一層進行していくでしょう。

これに伴い、医療業界の国内におけるニーズは、ますます高まっていくと予想されます。

医療業界では人手不足が嘆かれており、需要に対するサービスの提供が追い付かなくなります

このような状況では、効果的な医療の提供が重要です。

医療を効果的に提供するためには、市場のニーズを正確に把握して、サービスとして反映させなければなりません。

医療市場調査の主要な手法

医療業界の発展のためには、市場調査を用いると効果的です。

医療市場調査では、対象となる情報に合わせて以下のような手法が用いられます。

  • 定量調査
  • 定性調査
  • 競合分析

それぞれの特徴を活かして調査を進めなければ、狙ったような結果は得られません。

ここでは、上記3つの市場調査方法について解説するので、しっかりと違いを理解しておきましょう。

定量調査

定量調査とは、数値化できるデータを収集する調査方法です。

定量調査はデータが客観的に表現されているため、調査結果に説得力を持たせやすくなります

調査方法としてよく用いられているのは、アンケートや実際に商品をテスト使用してもらうことです。

定量調査は数値化されたデータによって客観性を持たせられますが、データが数値化されるまでに至る理由までは見えてきません

そのため、調査結果を深掘りしたい時には、あまり向いていない方法となります。

定性調査

定性調査とは、質的なデータを抽出し、調査対象の気持ちや潜在的な意識について知ることができる調査方法です。

定性調査は、数値化できない調査対象の意識構造を知るのに向いています

定性調査と定量調査はそれぞれにメリットがあり、どちらか一方の方法で調査するのではなく、組み合わせることでより質の高い調査結果を得ることが可能です。

定性調査の次に定量調査をすることで、仮設検証の効果を持たせることができます。

一方で、定量調査の次に定性調査をすることで、定量調査で得られた結果に対する要因や背景について深掘りすることが可能です。

競合分析

競合分析とは、競合他社と自社の性質を比較することで、自社の市場における位置づけを把握するために用いられる調査の手法です。

競合分析の目的として、競合他社との差別化を図り、自社の市場における価値を高めることにあります。

競合分析をすることで、競合他社が成功している要因を知るきっかけにもつながるでしょう。

競合他社には、「直接競合」「間接競合」「代替競合」「検索結果での競合」が存在します。

  • 直接競合は、サービスやターゲット先が同じ企業をさします。
  • 間接競合は、サービス内容は異なるものの、カテゴリー分けすると同じものに分類される企業です。
  • 代替競合とは、サービス内容は異なるものの、顧客のニーズが同じサービスを提供する企業となります。
  • 検索結果での競合は、自社がターゲットとする検索キーワードにおいて、同じページに表示されるWebサイトをさします。

それぞれの競合他社の存在を理解して、自社の経営戦略を立てていけるようにしましょう。

医療連携システムと医療プラットフォーム国内市場の最新動向

医療の発達に伴い、医療に関するシステムも整ってきたことで、より効率的な医療を提供できるようになってきました

ここでは、医療連携システムと医療プラットフォーム国内市場の最新動向について紹介します。

紹介する話題は、以下の5つです。

  • オンライン医療
  • 電子お薬手帳・調剤薬局
  • 地域間医療連携プラットフォーム
  • 院内基幹システム
  • 地域ケア支援システム

上記の項目は、今後の医療を支える重要な役割を果たすと予想されます。

国内市場の動向を把握することで、現場のニーズに的確に応えられるようにしておきましょう。

オンライン医療

オンライン医療は、2010年ごろから導入が推進されており、2015年には遠隔医療の要件が認められたことで市場が立ち上がりました

新型コロナが流行したことで、2020年ごろから市場が急拡大しました。

具体的には、初診診療の解禁や保険適用疾患の大幅な増加などがあげられます。

オンライン医療になると、診療や服薬指導が対面でなくても可能となり、地域による医療格差をなくすための取り組みとして非常に有用な手段です。

最近では、オンライン医療は一定の医療機関への導入が済んでおり、対面診療と比較して診療報酬が低いなどの理由から、市場の拡大は停滞しています。

電子お薬手帳・調剤薬局

電子お薬手帳・調剤薬局の市場では、調剤薬局向けのレセプトコンピュータが市場の拡大に一役買っています。

レセプトコンピュータの導入によるメリットは、調剤薬局内での業務の効率化をはじめ、顧客の待ち時間短縮にもつながるという点です。

一方で、電子お薬手帳は、2020年ごろのオンライン服薬指導や、薬剤交付後の服薬フォローアップの制度化により、市場が拡大しています。

電子お薬手帳は、紙のお薬手帳と違い容量に余裕があり、スマートフォンなどで簡単に確認できるメリットがあります。

電子処方箋が導入されることで、電子お薬手帳と調剤薬局の市場は今後も拡大していくでしょう。

地域間医療連携プラットフォーム

高齢化社会が進行している日本において、地域間医療連携は必須となる項目です。

そのプラットフォームが整うと、効率的な医療を継続して提供できるようになるでしょう。

日本が提供する高齢者への医療は病院をスタートとすると、治療が落ち着いた段階で介護へと引き継がれることがあります

診療情報を共有できるシステムが整っていると、引き継ぎ作業の手間が省け、効率的なサービスの提供が可能です。

そのため、高齢化社会が進行している以上、日本における地域間医療連携プラットフォームの市場は、今後拡大していくと予想されます。

院内基幹システム

院内基幹システムは、医療ITシステムを対象に、電子カルテが市場を占める割合は7割といわれています。

紙ベースであった院内の情報を電子カルテに変換することで、業務の効率化を図り、病院と診療所間の連携を高めることにもつながります。

人手不足が嘆かれている医療業界において、業務の効率化は常に考えられているため、院内基幹システムの市場は拡大していくでしょう。

地域ケア支援システム

地域ケア支援システムは、医療と介護、そして一般市民の間を包括的に支援していくシステムです。

政府はこのシステム構築を推進しており、診療報酬や介護報酬の改善補助金の支援などが行われています。

2020年の新型コロナの感染をきっかけに、高齢者施設では非接触での見守りを可能とする機器の導入が進みました

コロナウイルスは5類に移行しましたが、高齢化社会に変わりないため、今後も地域ケア支援システムの市場は拡大していくと考えられます。

今後の医療業界で求められること

今後の医療業界では、業務効率化やウィズコロナの観点からIT機器の導入が推進されていくでしょう。

人手不足が嘆かれている医療業界において、業務の効率化は必須で、安定した医療の提供のためには以下のようなシステムが求められています。

  • クラウド型電子カルテ
  • 顔認証機能付きオンライン認証システム
  • オンライン医療関連
  • 働き方改革対応の病院用労務管理システム

クラウド型電子カルテ

クラウド型電子カルテは、院内にサーバーを置かなくても稼働できるシステムです。

初期費用が安価で、導入時の作業の簡単さから、診療所や中小規模の病院を中心に選ばれています。

タブレット端末などを用いることで院外などでも活用できることから、在宅医療の提供の際などへのニーズが高まっていくでしょう。

クラウド型電子カルテの市場規模は、2021年時点では72億円であるのに対し、2035年は400億円にまで拡大すると予測されています。

顔認証機能付きオンライン認証システム

顔認証機能付きオンライン認証システムは、主にマイナンバーカードの健康保険証利用で用いられることがあり、2021年ごろから市場は拡大してきました。

2035年ごろには新規のシステム導入は落ち着き、リプレース需要が中心となるため、市場の規模は低下すると予想されます。

オンライン医療関連

オンライン医療関連は、2020年の新型コロナの流行に伴い市場が拡大してきました。

しかし、対面診療と比較してオンライン診療の診療報酬が低いことが問題となっています。

この問題を解消していくことが、オンライン医療関連の市場が拡大していくカギとなっていくでしょう。

働き方改革対応の病院用労務管理システム

働き方改革により、医療施設でも勤怠管理が見直されるようになったことで、この市場が立ち上がりました。

医師の時間外労働の上限規制が進められていることで、ニーズの急速な高まりを見せています

このシステムも導入後は、リプレース需要が中心となるため、市場の規模は低下すると予想されます。

医療業界で成功した企業の事例

医療業界の発展には、さまざまな方面からアプローチが可能です。

それぞれの企業の特性を活かして、自社には何が合うのかを検討した結果、成功した事例がいくつかあります。

ここでは、以下3社の医療業界で成功した事例を紹介します。

  • アステラス製薬
  • テルモ
  • ニプロ

市場調査がどのように反映されていくのか、参考にしてください。

アステラス製薬

アステラス製薬が運営するWebサイトでは、ユーザーの行動データなどが収集できないという問題を抱えていました

そこで、アステラス製薬は「Adobe Experience Cloud」を導入し、オウンドメディアの分析やコンテンツの最適化を図りました。

しばらくは、Adobeのコンサルティングサービスを活用しながらでしたが、徐々に社内で内製化できるように実行していったのです。

サイトのリニューアル後、まずメールを用いたサイトへの誘導数を増加させることに成功しました。

Web上の行動データを追跡できるようになったことで、サイト閲覧者の行動を予測し、MRへ通知が届くようにしました。

サイト訪問者へのリニューアル後の満足度調査では、60%以上の医師から高評価をもらえるという成果にもつながっています。

テルモ

テルモにおける強みとして、「Delivery」「Digital」「Deviceuticals」の方向性に沿った、多様なコアテクノロジーとデバイス群の組み合わせがあります。

このテルモならではの強みを活かして、医療のDXへ挑戦しています。

  • 電子カルテにAIを活用することで、医師の意思決定をアシスト
  • 急性期から慢性期までの医療を、一つの流れとしたケアができるようなシステムを構築

ニプロ

ニプロでは、医療用機器業界の中でも透析器の大手とされています。

ニプロが開発する透析器は、患者の身体への負担を考慮し、さまざまな機能を備えました

糖尿病患者に対して、連続血糖モニタリングシステムを導入することで、患者の血糖の変動が自己管理できるようになりました。

時代とともに医療業界の常識は変化していく

医療業界は、時代の変化に合わせてさまざまな技術を導入することで、対応してきました。

そして、今後はAI技術を中心として、人の手だけではどうしようもなかったことが、できるようになってくると予想されます。

新型コロナウイルスをきっかけに、世間の常識や一般人の医療への関心も変化したことでしょう。

このように目まぐるしく変化していく世の中に対応するためにも、市場調査は必須の項目であり、現場のニーズを的確に把握できるようになっておく必要があります。

医療業界の市場調査ならAXIA Marketing

AXIA Marketingでは、医療業界に関することはもちろん、さまざまな分野の市場調査を行い、貴社に適した運営方針を提供します。

市場調査だけでなく、それぞれの業界への専門知識も兼ね備えているため、気軽にご相談ください。

医療の市場調査ならAXIAマーケティング

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参考文献
ヘルスケア業界での市場調査 — Cint™
医療業界の実態と市場調査の重要性 | コラム | 市場調査ならマーケティングリサーチコンシェルジュ (mresearch-media.net)
メディカルリサーチならマクロミルケアネット (macromillcarenet.jp)
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