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2025.06.28
記事の監修者
金田大樹
AXIA Marketing代表取締役
リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
本文14pxダミー国内外でプラント関連事業を手掛ける日揮グループ。その中核企業としてグループ全体の戦略立案や経営管理を担うのが日揮ホールディングスです。
同社が急速な事業拡大を目指す中で、新たな事業パートナー候補を検討する際に情報収集を依頼したのが、調査に特化したAXIA Marketing(アクシアマーケティング)でした。今回、依頼の背景や調査内容、結果の活用方法について、日揮ホールディングス投融資部門の中西様と、AXIA Marketing代表の金田に話を伺いました。
近年、海外進出する国のひとつとして、インドネシアが注目を集めています。インドネシアへ進出することで得られるメリットがある一方で、注意点も存在しています。インドネシアへ進出する場合は、注意点や成功させるポイントを押さえておくことが重要です。
また、フィージビリティスタディやM&Aについても、理解しておく必要があります。
本記事では、以下の内容について記載しています。
インドネシアへの進出を考えている企業の方は、ぜひ参考にしてください。
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まずは、インドネシアの基本情報について紹介します。
正式名称 | インドネシア共和国(Republic of Indonesia) |
面積 | 約192万平方キロメートル(日本の約5倍) |
人口 | 約2.79億人(2023年、インドネシア政府統計) |
首都 | ジャカルタ(人口1,067万人、インドネシア政府統計) |
民族 | 約1,300 (ジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人等マレー系、パプア人等メラネシア系、中華系、アラブ系、インド系など) |
言語 | インドネシア語 |
宗教 | イスラム教87%、キリスト教10.4%(プロテスタント7.4%、カトリック3%)、ヒンズー教1.7%、仏教0.7%(2023年、インドネシア政府統計) |
主要産業 | 製造業(18.7%)、卸売・小売業(12.9%)、農林水産業(12.5%)、鉱業(10.5%)、建設業(9,9%)、物流・倉庫(5.9%)、情報・通信(4.2%)、金融・保険(4.2%)、行政サービス・軍事・社会保障(3%) (カッコ内は2023年における名目GDP構成比)(インドネシア政府統計) |
続いて、インドネシアのビジネス環境について紹介します。今回紹介する内容は、以下の通りです。
それぞれ、詳しく解説します。
2023年のインドネシア小売市場は、約590億ドルと推定されています。理由としては、個人消費の増加と都市化の進展です。今後も、年平均成長率(CAGR)は5%で成長し、2033年までに約791億ドルに達すると予測されています。
また、Eコマース市場の拡大やデジタル広告市場の成長、スタートアップ企業への投資増加など、デジタル分野での成長が期待されています。
日本は、戦後にインドネシアへの経済協力として、人材育成や経済社会のインフラ開発に特化してきました。インドネシアが好調な時期も困難な時期も、ODAなどを通して支援を続けました。
2004年12月のスマトラ沖大地震・インド洋津波が発生した際は、被害からの復興のために6億4千ドルの支援を実施し、インドネシアにとって日本は最大の援助国となったのです。以上のことから、日本とインドネシアの関係性は良好であると考えられています。
インドネシアでは、銅やニッケル、アルミニウムなどの金属が多く採取できます。特に、EV自動車で用いるリチウムバッテリーの材料であるニッケル生産高の世界シェアは25%と高く、日本やインド、韓国、中国などに輸出されています。
また、インドネシアでは石炭や石油、天然ガスなどのエネルギー資源も採取が可能です。世界のランキングでは、石炭輸出量が1位、石油生産量が26位、天然ガス生産量が8位です。インドネシア政府は、2030年までに温室効果ガスを29%削減し、再生可能なエネルギーの割合を増やしていく方針を掲げています。
インドネシアに進出することで、企業にさまざまなメリットをもたらします。主なメリットは、以下の通りです。
インドネシアでは、中間所得層がここ10年間で約12倍に増加しており、消費規模が拡大し続けています。また、国内総生産(GDP)の約5割を個人消費が占めており、インドネシアの経済成長を後押ししています。その結果、中間所得層がさらに拡大し、消費市場もさらなる拡大につながることが期待されているのです。
人口減少や少子高齢化が進む日本国内では、消費市場が縮小されている中、巨大な消費市場であるインドネシアへ進出することはメリットであると言えるでしょう。
インドネシアの国土は広大であり、天然ガスや石炭などの豊富な天然資源があります。天然資源は外資企業からの注目を集めており、投資マネーが集まっている傾向です。
特に、今後ASEAN諸国の経済発展により、エネルギー需要が高まることが予測されています。その中で、インドネシアは広大な国土と豊富な資源を生かし、エネルギー生産拠点としての活躍が期待されています。
インドネシアは、前述した歴史的背景もあり「最大級の新日国家」と言われています。日本への理解があることは、インドネシアへ進出する日系企業にとって大きなメリットです。文化が異なるインドネシアでビジネスを始めることは容易ではありませんが、大きな助けとなるでしょう。
また、アニメや漫画などを通して日本の文化への関心も高く、日本製品の人気も高まっています。今後、さらなる中間層の拡大とともに、質の良い商品への需要が高まり、日本製品の人気がさらに高くなることも期待できます。
インドネシアへ進出する際に、注意しておかなければいけないポイントがいくつか存在します。事前に理解しておくことで、インドネシアへの進出成功に近づけることが可能でしょう。今回紹介するインドネシア進出の際の注意点は、以下の通りです。
インドネシアでは、インフラが整備されていない箇所がいくつか見受けられます。道路の舗装や、ブロードバンドの建設などが追いついていないのが現状です。たとえば、ジャカルタとバンドンの間で高速鉄道を開通する予定がありますが、当初の計画よりも遅れています。遅れている背景には、各地の地権者との交渉が予定通りに進んでいないという実態があります。
また、首都のジャカルタでは交通渋滞が慢性的に発生しており、短距離の移動でも大幅な遅れが生じることは珍しくありません。輸出入においても、港の混雑や通関の遅れなどによって、業務全体の効率に影響を及ぼす可能性があります。
人口の87%がイスラム教徒であるインドネシアは、日本との文化の違いがいくつも存在しています。イスラム教徒のインドネシア人は、1日に5回お祈りの時間があり、仕事の合間でも欠かさず行っています。お祈りを禁止することは不可能なため、考慮しながらマネジメントしなければいけません。
また、インドネシア人は人前で怒られることを嫌う人が多い傾向です。人前で怒られたことが原因で、退職してしまうケースもあります。仕事上でインドネシア人にミスがあった場合はその場で怒らず、個別で話せる部屋に移動して指摘することが大切です。
インドネシアの労働法は、労働者を保護する傾向が強くみられます。そのため、現地人を正社員として採用した場合、解雇することは非常に困難です。また、コスト面でも負担が大きいため、企業は正社員ではなく非正規社員を多く採用する場合があります。
しかし、近年インドネシアでは正社員化を訴えるデモ活動が多発しています。現地人を採用する場合の雇用形態は、慎重に判断しなければいけません。
インドネシアで外資法人を設立する場合、最低資本金は100億ルピア(約9,000万円)と定められています。以前は、実際に銀行口座に払い込む資本金は全体の25%で構わないというルールが設定されていました。しかし、2021年からはルールが変更され、100億ルピア全額を銀行口座に払い込まなければならず、外資法人を設立する難易度が上がりました。
加えて、外資法人は事業ライセンスごとに100億ルピア以上の投資額を用意しなければいけません。複数の事業を行う場合は、必要な資本金が億単位で増加することも、外資法人の設立が困難になる理由のひとつです。
また、外国資本による会社の設立が禁止されている業種や、出資比率が制限されている業種なども存在しています。
インドネシアへの進出を成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。
それぞれ、詳しく解説します。
まずは、日本国内で入念な市場調査を行います。市場調査の初期段階では、外務省やJETROなどの公的機関や、書籍による公開情報を収集しましょう。収集する情報は、宗教や習慣、法律、ビジネスコスト、競合他社の進出状況などです。こういった調査のことを「デスクサーチ」と呼びます。
デスクサーチが完了したら、より具体的な調査を行います。公開されていない情報や、客観的な分析が大切になるため、信頼できる市場調査代行会社に委託することがおすすめです。市場調査を入念に行うことで、海外進出に失敗するリスクを軽減できます。
国内での市場調査が完了したら、現地調査を行います。現地調査で確認するべき項目は、以下の通りです。
上記は現地に行かなければ分からない情報のため、必ず現地に足を運びましょう。
最後に、インドネシアでビジネスを行う際のパートナー企業を探します。パートナー企業とは、飲食店であれば仕入れ先、製造業であれば小売業や卸売業のことを指します。また、民間企業だけではなく、日本大使館やJICA、JETROなどの公的機関も有力なサポーターとなるでしょう。
パートナー企業は、以下の基準をもとに選定することが重要です。
自社だけでパートナー企業を探すことは困難なため、コンサルティング会社と一緒に探すことがおすすめです。信頼できる現地パートナーと良好な信頼関係を築くことで、インドネシアへ進出する成功率は高くなるでしょう。
インドネシアへの海外進出を検討する際に、「フィージビリティスタディ(実現可能性調査)」を行うことが重要です。フィージビリティスタディは投資調査とも呼ばれ、投資によって収益が見込めるかどうかを判断する材料にもなります。特にインドネシアは外資規制や文化が複雑であるため、進出前に慎重な調査が必須です。
海外進出においてフィージビリティスタディを行う上で調査する項目は、政治経済や社会情勢などの基本的な情報から、現地の市場ニーズの把握、ターゲット層の消費行動の分析、競合他社の存在やその強み・弱みの特定、さらには業界特有の商習慣や価格設定など、幅広くあります。
調査は時間やコストがかかりますが、助成金制度を利用したり、コンサル会社に支援を依頼したりなど工夫することで、効率良く実施できるでしょう。
フィージビリティースタディについて詳しくはこちら
インドネシアでのM&Aは、2億7,000万人を超える人口と急成長する中間層、豊富な資源を背景に、大きな市場と高い成長ポテンシャルを提供しています。一方で、法規制や商習慣、政治的リスク、経済の変動性など、慎重な対応が求められる要素も多く存在します。特に、財務情報に関しては注意が必要で、税務当局向けの帳簿、銀行や投資家向けの帳簿、さらには社内管理用の実態を反映した帳簿といったように、いわゆる「二重帳簿」「三重帳簿」が一般的に見られる点は、デューデリジェンスの際の重要なリスク要因です。
このような環境でM&Aを成功させるには、事前の徹底した市場調査と準備が不可欠です。特に、現地の法律、税制、労務制度に精通した専門家との連携が極めて重要です。また、宗教観や慣習を含むインドネシア独自の文化的背景を理解し、それを尊重したコミュニケーションや意思決定が求められます。
さらに、買収後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)においては、現地従業員のマネジメント、企業文化の融合、ガバナンス体制の整備など、ソフト面での対応が成功の鍵を握ります。形式的な買収だけでなく、持続的な成長に向けた統合戦略の構築が求められるのです。
最後に、インドネシア進出に成功した日系企業の事例を紹介します。今回紹介する日系企業は、以下の3社です。
大塚製薬が販売しているポカリスエットは、インドネシアでも国民的スポーツドリンクとしての地位を確立しました。年間6億本もの販売実績を誇り、高温多湿なインドネシアでの水分補給の重要性を訴求することで、強固な市場基盤を築いています。
販売当初は、日本と同じスポーツドリンクとしてのマーケティングを行っていましたが、スポーツが盛んではないインドネシアでは受け入れられませんでした。そのため、インドネシアの気候や風習を調査し、水分補給の必要性を教育することで、他の商品との差別化を図りました。
ユニ・チャームは、インドネシアにおいて紙おむつや生理用品市場でNo.1シェアを誇る企業に成長しています。進出当初は、すでにインドネシアへ進出していたP&Gなどの競合他社との差別化が課題でした。そこで、ユニ・チャームはインドネシアの市場を分析し、一枚入りのおむつや庶民が購入しやすい低価格帯の製品を開発し、シェアを拡大したのです。
また、現地法人に役員クラスの人材を配置して意思決定のスピードを上げ、市場の変化や他社に遅れをとらない体制を作り上げることにも成功しました。
丸亀製麺は、2013年にインドネシアへの出店を開始し、10年で100店舗の拡大に成功しました。外食産業の課題である原材料の仕入れは、現地の大手製粉会社と提携することで、小麦を安定的に仕入れています。
また、インドネシアの87%がイスラム教であることから、豚肉やアルコールは使用できません。その条件の中で独自のメニューを開発し、ローカライズに成功しました。
インドネシアでの進出を成功させるためには、市場調査が必須です。綿密な市場調査での結果をもとに、柔軟な戦略を立てることで課題を解決することで、海外進出の成功につながります。進出を成功させるためにも、しっかりと市場調査を行い、戦略を立てていきましょう。
市場調査は自社のみで実施することも可能ですが、コンサル会社に依頼することもおすすめです。コンサル会社に依頼することで、時間や費用を抑えられ、効率的に市場調査を実施できます。
AXIA Marketingでは、インドネシア進出時の市場調査のサポートを行っています。AXIA Marketingで行っているベンチマーク調査では、正確かつ信頼性の高いデータをもとに、ビジネス戦略をサポートすることが可能です。最新のリサーチ手法を活用して、競合企業の動向や業界を徹底的に分析します。
サービスの詳細については、こちらをご覧ください。
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参考文献
・インドネシア共和国基礎データ|外務省
・インドネシアに進出するメリットは?進出の流れや準備も解説
・インドネシア進出のリスクやインドネシアでのビジネスが難しい理由
・インドネシアへの海外進出を成功させるために知っておくべき知識と事例
・インドネシア進出のメリット・デメリット|日本企業の拠点数・最新進出動向
・インドネシアの小売市場:リテールの現状と将来性
・インドネシアと日本の歴史的関係
・インドネシアの鉱業の現状と今後
・海外進出における「フィジビリティスタディ(FS)」の進め方
・インドネシア進出成功の秘訣:M&Aを中心とした戦略的アプローチ
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