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Column
2024.11.14
記事の監修者
金田大樹
AXIA Marketing代表取締役
リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
市場調査はビジネスを成功させるためには欠かせない活動です。新製品の開発や新規市場への進出、既存製品の改善、顧客満足度の向上などのマーケティング施策を行う上で、必ず行われるアプローチです。
「新規事業を始めるにあたって具体的な調査方法が知りたい」
「プレゼンにあたり正確な情報を収集したい」
このようなお悩みを解決できるよう、今回は市場調査の主な手法と各業界での活用事例について、分かりやすく解説します。
本記事を通して市場調査についての理解を深めていただければ幸いです。
市場調査について1時間の無料オンライン相談も承っております
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市場調査とは、特定の市場における顧客のニーズ、嗜好、行動、およびトレンドを理解するための体系的なアプローチです。
市場調査では目的に沿って、以下のような項目を調査します。
調査項目によって、選択すべき手法は全く異なります。今回は市場調査の代表的な手法を4つご紹介します。
定性調査は顧客の行動の理由や意見など、数値化できないデータ(定性データ)を集めるための調査です。
調査対象者に「どう感じたのか?」「なぜそのような行動を取ったのか?」といった質問を投げかけることで、行動の背景や心の動きを聞き出します。
カテゴリー(年齢・職業・性別など)ごとにグループ分けした対象に、インタビューする方法が一般的です。グループインタビューや、調査者が対象者を観察する、といった方法をとることもあります。
定量調査は割合や人数などの、数値化できるデータ(定量データ)を集めるための調査です。
大人数に対して選択式のアンケートを実施することで「買ってよかったと答えた割合が〇%」「おいしいと答えた割合が〇%」など、数値的な根拠のある調査結果を得られます。
Web・郵送・電話などを用いてアンケートを実施するケースが多いです。近年ではWeb調査が普及し、従来よりも早く、大量にデータを収集できるようになりました。
ミステリーショッパー調査は、飲食店や小売業でよく使われる調査方法です。
第三者が一般客として店舗を訪れ、商品や接客の質、言葉遣いなどを評価します。現場では見えにくい課題を客観的に把握することで、サービスの質を向上することが狙いです。フランスのミシュランガイドでも覆面調査を採用しており、日本においても50年以上前から実施されている調査手法です。
現場のありのままの姿を捉えられる点がメリットですが、従業員の士気への影響や、調査結果に調査員の主観が入らないようにする、などを考慮する必要があります。
統計データ調査とは、政府や大学など公的機関が公表しているデータをもとに、ターゲットの属性に応じた数値や傾向を割り出す調査方法です。
「デスクリサーチ」とも呼ばれ、Web上や社内資料を利用して、市場や業界動向を効率的に調べることができます。
既存のデータを活用することで、手間をかけずに信頼性の高い情報を素早く取得できます。しかし、情報が古かったり不適切な内容である可能性があるため、内容の選別が重要です。
市場調査とマーケティングリサーチはよく似た用語として使われていますが、意味合いは全く異なります。
マーケティングリサーチとは商品設計や、販売価格の最適化といった製品・サービスの販売戦略のために、顧客ニーズを調査・分析することを指します。
マーケティングリサーチを実施するにあたって、参入市場や市場でのポジション取り、ターゲットを特定するために実施するのが市場調査です。
つまりマーケティングリサーチをするための、土台となる情報を収集するのが市場調査なのです。
市場調査が事業の成功に不可欠な理由は、主に以下の6点に集約されます。
顧客満足度の高い製品・サービスを提供するには、消費者のニーズを深く理解する必要があります。市場シェアや競合他社の動向を調査することで、消費者が求める新たな切り口を見つけることができます。
競合他社の動向を把握せずに事業を進めるのは非常に危険です。例えば市場調査をせずに製品をリリースすると、他社の商品と差別化できず、価格競争になってしまう可能性もあります。
また市場調査で正しく競合を理解することで、製品の特性や価格設定、マーケティング戦略など、自社に足りない要素の発見につながります。
事業のリスクを事前に評価するためには市場調査は欠かせません。競合の動向を把握することはもちろんですが、別の市場からの参入や、イノベーションによって市場全体が影響を受けてしまうこともあります。リスクを最小限に抑えるためには、あらゆる市場の状態を把握した上での意思決定が求められます。
消費者の行動や市場のトレンドは常に変化しています。定期的な市場調査により、市場の変化を追跡しトレンドに合わせた製品・サービスを展開することが重要です。
市場調査は、事業戦略の策定、市場進出のタイミング、ターゲット顧客の特定など、戦略的な意思決定に不可欠な情報を得ることができます。
市場調査によって得られた情報は、製品開発プロセスにおいて革新的なアイデアを生み出したりと、市場の要求に応じた新製品やサービスを開発するための重要な役割を果たします。
市場調査は、適切に計画・実行されることで、はじめて、価値のある洞察を得られます。 以下で、具体的な手順を解説いたします
市場調査を行う主な目的を明確にします。その目的を、部署や関係者などメンバー全員に共有・確認をすることが大切です。この段階で認識のズレをなくすことで効率的にリサーチを進めることができます。例えば、新製品の開発、市場のトレンド理解、競合分析などが目的に含まれるかもしれません。
一次情報(直接収集したデータ)と二次情報(既存の研究や報告書から得られるデータ)のどちらを使用するかを決定します。 その後、アンケート調査、インタビュー調査など、目的にあった適切な調査方法を選択します。
調査の枠組みを設計します。これには、サンプルサイズ、調査期間、必要なリソースの確認などが含まれます。専門業者ではない場合、プロに相談することも良いかもしれません。
選択した方法に従ってデータを収集します。アウトプットイメージを持っていると、より効率的に進められます。
収集したデータを分析して、有用な洞察を引き出します。ここでは、統計分析、パターンの識別などが行われます。
分析結果を報告書としてまとめます。上司や役員などの意思決定者や関連するステークホルダーに提示するための重要な資料であり、整合性がとれているかがとても大切です。
市場調査の結果に基づき、具体的な行動計画や戦略を策定します。
施策実行後のフィードバックを収集し、必要に応じてアプローチや戦略を改善します。 市場調査は、適切に計画・実行されることで、はじめて、ビジネスの意思決定において非常に価値のある洞察を得ることができます。 上記で解説したステップに則って、市場調査を進めましょう。
市場調査でよく活用される5つの手法について、それぞれの概要、用途、メリット、デメリットを解説します。
概要: 特定の質問に対する回答を集める手法です。
用途: 市場の傾向や意見を把握できます。
メリット: 大量のデータを短時間で収集可能であり、対費用効果が高いケースが多いです。
デメリット: 質問の設計に制限があり、深い洞察を得ることが難しい場合があります。
概要: 個別または小グループで行う対話形式の調査です。
用途: 個々の意見や体験を詳細に理解することができます。
メリット: 深い洞察を得られ、対話を通じて柔軟なデータ収集が可能です。
デメリット: 時間とコストがかり、サンプルサイズが小さいため一般化が難しいです。
概要: 製品を実際の顧客に自宅で使用してもらい、使用感や満足度を評価します。
用途: 新製品の市場適応性テスト、顧客満足度の評価が可能です。
メリット: 実際の使用環境での製品評価できます。
デメリット: 製品提供や参加者の手配に費用がかかります。
概要: ソーシャルメディア上の言及や意見を分析し、消費者の嗜好やトレンドを把握できます。
用途: ブランドの評価、トレンド、競合といった幅広い分析が可能です。
メリット: リアルタイムでの大規模なデータ分析ができます。
デメリット: ソーシャルメディアユーザーに偏ったデータとなることがあります。
概要: 既存のデータや文献、公開情報を収集・分析する方法です。
用途: 市場の基本情報やトレンド、競合情報を得るために使用します。
メリット: 追加的な調査コストがかからず、即座に情報を得られる。
デメリット: 情報の古さや偏りがある場合があります。
市場調査を行う際には、7つの重要なポイントが存在します。これらのポイントを押さえることで、調査の有効性を高め、より信頼性のある結果を得ることができます。
市場調査の目的を具体的に明確に設定することが何よりも重要です。目的が不明確だと、調査の方向性がズレてしまい、最終的に有効な情報を得られない可能性があります。
調査対象者(ターゲット)を正確に定義し、適切に選定することが重要です。誤ったターゲット選定では、調査結果の有効性が低下してしまいます。
調査の質問は、明確で理解しやすいものである必要があります。誘導的な質問や曖昧な表現は避け、偏りのない中立的な質問を心がけるべきです。
調査の目的に合ったデータ収集方法を選択することが重要です。オンライン調査/オフライン調査、定量分析/定性分析など、各手法の切り口や特性を理解し、適切な方法を選ぶ必要があります。
調査の設計、実施、解析の各段階でバイアスが発生しないよう注意することが重要です。主観的な見解や先入観が結果に影響を与えないようにする必要があります。どうしても自社に有効なデータを得たいというモチベーションは無くし、バイアスをかけない設計を意識しましょう。
どの調査にも言えることですが、市場調査は時間とコストがかかるアプローチです。予算内、期間内で効率的に調査を完了するためには、計画性が何よりも大切です。
市場調査を行う際には、個人情報保護法などの法律や倫理的な観点を考慮する必要があります。参加者のプライバシーを尊重し、適切な同意を得ることが重要です。
市場調査は自分でも実施できますが、信頼できる結果を得るためには、調査設計や分析を慎重におこなう必要があります。
自分で実施する場合は、調査の目的や方法を理解し、調査テーマについての専門知識をしっかりと身に着けたうえで、臨むべきです。
また、分析スキルが身についていない場合、情報の整理に時間かかることが多いため、スケジュールには余裕をもって実施しましょう。
市場調査は、様々な業界で活用されています。以下では、不動産業界とアパレル業界における具体的な市場調査の活用事例を紹介します。
不動産業界では、市場調査は物件の価値評価、投資決定、開発計画の策定などに不可欠です。市場調査を通じて、以下のような重要な洞察が得られます。
顧客ニーズの把握 | 住宅購入者やテナントの嗜好やニーズを理解し、物件開発やリノベーションの方向性を決定します。 |
市場動向の分析 | 地域別の不動産市場の動向、価格推移、供給と需要のバランスを分析し、投資戦略を立てます。 |
競合状況の評価 | 他の不動産会社や開発プロジェクトとの競合を評価し、差別化ポイントを見つけます。 |
アパレル業界では、市場調査はトレンドの把握、顧客の購買行動の理解、新製品開発に重要な役割を果たします。
ファッショントレンドの分析 | 最新のトレンドを把握し、それに基づいてブランディングや製品の設計に反映させます。 |
ターゲット顧客の特定 | 異なるセグメントの購買傾向や好みを分析し、マーケティング戦略や商品企画に反映させます。 |
競合ブランドの分析 | 競合他社の製品、価格設定、販売戦略を分析し、自社のポジションを強化します。 |
市場調査の概要から事業に必要不可欠な理由、実際の進め方を解説させていただきました。代表的な手法や活用事例から、より一層、解像度が上がることにお役立ちできていましたら、とても嬉しく思います。
市場調査の成功の鍵は、調査の目的を明確にし、適切な手法を選択し、得られたデータを戦略的に分析・活用することにあります。
このコラムが、市場調査の理解を深め、貴社のビジネスの意思決定において有効な指針を提供する一助となれば幸いです。
アクシアマーケティングでは、多岐にわたる業界での豊富な経験と専門知識を活かした市場調査サービスを提供しています。データ収集から分析、戦略提案に至るまで、貴社のニーズ・状況に寄り添った対応を心がけています。詳しいサービス内容はこちらを参考ください。
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