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Column
2024.10.15
記事の監修者
金田大樹
AXIA Marketing代表取締役
リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
高齢化や人口減少の影響を受け、大きく成長が見込まれる日本のヘルスケア市場。
IoTやAIを活用するサービスが増えたことで、今までヘルスケアに無関心だった消費者層も取り込みつつあります。
今回はヘルスケア業界の現状や参入のポイントをはじめ、以下の内容を解説します。
貴社のヘルスケア業界に関する情報収集の一助となれば幸いです。
ヘルスケア業界の市場調査について1時間の無料オンライン相談も承っております
お見積りなどもお気軽にお問い合わせください
日本のヘルスケア業界は大きな変革期を迎えています。
高齢化による人手不足、医療費の高騰、新たなテクノロジーの登場など、業界の成長を加速させる要因が多く存在します。
またAIの登場によって意思決定スピードが早まり、業界の構造は劇的に変化するでしょう。
まずはヘルスケア業界の現状と、業界を取り巻く環境の変化についてご紹介します。
日本におけるヘルスケアの定義とは「健康保持・増進に働きかけるもの」と「患者や要支援、要介護者を支援するもの」の2つです。
治療分野に比べて参入ハードルが高くない点、IoTやAIの発展により多様なサービスが生まれやすいという背景もあり、スタートアップや大学発ベンチャーの参入が増えています。
加えて、企業の健康経営(労働者の健康維持)の取り組みも業界の成長を後押ししています。
経済産業省の調べでは、ヘルスケア業界の市場規模は2030年に31兆円になると推計されています。
日本の2030年に人口の約3割が高齢者になると予測されており、この「2030年問題」はヘルスケア市場を成長させる大きな要因です。
高齢化により「健康寿命(健康に生きられる期間)」への意識が高まり、ヘルスケアの考え方である「予防」や「診察による病気の発見」を重視する人が増えています。
また高齢者層のネット・スマホ普及率が上昇したことで、IoTを活用したヘルスケアサービスが身近になった事も要因の一つです。
新型コロナウイルスによるDXやデジタル化の流れは、ヘルスケア市場にも大きな影響をもたらしました。
診察のオンライン化や接触確認アプリなど、健康管理へのIoTデバイス活用が消費者の間で一般化したのです。
「健康管理にIoTデバイスを活用するのは当たり前」という認識は、ヘルスケア市場を成長させる追い風となりました。
ヘルスケア事業を成功させるためには、市場を深く理解する必要があります。
検討している事業内容や目的に合わせて適切な市場調査を実施するのが良いでしょう。
今回は、ヘルスケア業界で実施されている市場調査を4つご紹介します。
健康意識調査は消費者の健康意識や生活習慣、死生観を調べるアンケート形式の調査です。
厚生労働省をはじめ、多くの団体が実施しています。
世代・性別・地域ごとの健康意識における違いや、ヘルスケアに対するニーズの把握に役立ちます。
健康意識調査は調査主体によってアンケート項目が異なるため、複数の調査結果を参考にすると良いでしょう。
スマートウォッチなど、身に着ける事だけで健康データを記録できるのが、ウェアラブルデバイスです。
ウェアラブルデバイスで記録できる主な健康データは以下の通りです。
ヘルスケア業界では、ウェアラブルデバイスで収集した健康データの利活用を前提としたサービスが増えています。
参入を検討するのであれば、ウェアラブルデバイスの利用状況には常に目を光らせる必要があるでしょう。
介護サービスの利用状況調査は厚生労働省が実施する統計調査です。
施設数や訪問介護の事業者数、1か所あたりの定員や職員数について調査しています。
日本の介護サービス利用者数が20年で3倍に増加している中、ヘルスケア市場の把握のために介護サービスの利用状況調査は欠かせません。
食品に関連するヘルスケア市場を調査する際に確認しておきたいのが、株式会社インテージヘルスケアが実施した「健食サプリ・ヘルスケアフーズ調査」です。
2012年から毎年調査を実施しており、10万人以上の生活者に対するサンプリング調査で得た結果から、
これら3つの市場に関するサマリーレポートを提供しています。
健康食品をはじめとするセルフヘルスケアの市場を把握する際に、非常に有効な調査です。
ウェアラブルデバイスの活用や、医療・介護業界における業務効率の向上などに大きな影響を与えるのが、PHR(パーソナルヘルスレコード)の存在です。
ここではPHRに関する以下の情報をご紹介します。
PHR(パーソナルヘルスレコード)とは、個人の健康・医療に関するデータの事です。
【PHRの一例】
従来は病院や薬局で個別に管理されていた情報や、今まで収集されていなかった日々の健康情報を一元管理し、共有することで製品開発や医療現場の効率化に役立てることを目的としています。
コロナ禍でデジタル化が進んだとはいえ、医療や介護の現場はいまだにアナログな運用が多く残っています。
患者データのデジタル化が進んでいない病院も多く、全ての病院間での情報共有にはかなりの時間がかかるでしょう。
またPHRは個人情報であるため、常にサイバー攻撃による流出リスクがついてまわります。
とはいえPHRの普及率が、医療技術の向上や新薬開発に大きく寄与する事は間違いありません。
PHR活用の取り組みの一環として、母子手帳アプリをご紹介します。
母子手帳アプリとは、今まで母子健康手帳に記入していた妊娠や子育てに関する記録を、スマホで入力・管理出来るようにしたアプリのことです。
予防接種や検診のスケジュール管理、子供の発育記録などを一括管理できるため、子育て家庭の負担軽減につながっています。
また医療機関や自治体との連携により、子育ての状況に合わせた情報を受け取れるなどのメリットがあります。
電子処方箋は病院がマイナンバーと紐づけた処方箋情報をクラウド上に登録し、薬局側はマイナンバーを元に患者の処方箋を取得するPHRの仕組みです。
電子処方箋の導入は、患者・医療機関・薬局のそれぞれにメリットがあります。
【電子処方箋導入のメリット】
健康診断の結果をPHRとして活用するために、結果表を撮影するだけで取り込むことができる健康管理アプリも増えてきています。
健康診断結果をアプリで管理することで、受診率の向上や再検査の受診勧奨に役立てる狙いがあります。
また、健康経営の実現においても検診結果の活用は健康経営のための有効な手段の一つです。
健康診断の受診は従業員の健康維持や医療費の削減につながるため、企業主導でアプリの活用が促進されるかもしれません。
高齢化が進む日本において、今後大きな成長が期待されるヘルスケア事業。
テクノロジーによる進化と市場のニーズを捉え、新たな価値を提供するにはどうすれば良いのでしょうか。
ここからは参入を成功に導くためのポイントを3つご紹介します。
ChatGPTをはじめとする生成AIの業務活用が進む中、医療機器においてもAIによる進化が始まっています。
レントゲンやCT、MRIの画像分析、PHR(パーソナルヘルスレコード)の解析によって、今までよりも患者個人に合わせた対応が可能になるでしょう。
AIがもたらす医療技術の進化は、ヘルスケア業界においても新たなニーズを生む可能性があります。
ウェアラブルデバイスによって健康情報が簡単に管理できるようになったことは、ヘルスケア業界に大きな影響を与えました。
とくに人口減少が進む日本においては、ウェアラブルデバイスによる健康管理は人手不足を解消する有効な手段です。
企業においてもウェアラブルデバイスは、消費者のニーズを捉える貴重な情報源となりつつあります。
ヘルスケア事業への参入において、ウェアラブルデバイスの動向は常に目を光らせる必要があるでしょう。
ビジネスケアラーとは、介護と仕事を両立しなければならない人のことで、2030年には家族介護者の4割がビジネスケアラーになると予測されています。
経済産業省はビジネスケアラーの問題による生産性の低下や、代替人員の採用などによる経済的損失を約9兆円と予測しており、早急な対策が必要です。
一方で、ヘルスケア市場においてヤングケアラー向けの新たな事業の創出が見込まれています。
成長著しいヘルスケア市場への参入において、何よりも重要なのが市場調査。
今回は、市場調査の実施によってマーケティングに成功した事例を2つご紹介します。
それぞれの企業が行った調査の切り口を参考に、ヘルスケア市場の調査をぜひご検討ください。
労働環境や食生活の多様化というニーズを捉えたのが「カロリーメイトリキッド」です。
カロリーメイトといえば固形の栄養食のイメージですが、液体にすることで今までのカロリーメイトよりも素早い栄養補給が可能になりました。
コロナ禍を経てビジネスパーソンの働き方が多様化した結果、食事時間が乱れているという調査結果を、うまくマーケティングに活かした事例です。
セサミンは、サントリーウエルネスが販売する健康食品です。
健康食品市場が抱える「広告競争による顧客獲得コストの上昇」という課題を解決するために、顧客の悩みを徹底的に深掘りする「オンライン家庭訪問調査」を実施しました。
顧客からヒアリングした意見をデータベースに蓄積し、商品やサービスの改善に活かすことでリピート顧客の確保に成功しています。
ヘルスケア業界は高齢化やウェアラブルデバイスの普及、AIの登場によって成長が期待されています。
しかし、変化が激しく常にプレイヤーが入れ替わるヘルスケア市場において、事業を成功させるには市場調査が欠かせません。
今回はヘルスケア業界の市場調査に役立つ情報をご紹介しました。
この記事が貴社のヘルスケア事業の成功に役立つことを願っております。
市場調査は参入市場の状況や競合の動向を調べるだけでなく、市場における自社のポジション理解が重要です。
AXIA Marketingの「ベンチマーク調査」は、自社の特定の要素をライバルや業界の常識と比べることで、自社の現在位置を客観的に理解することができます。
ベンチマーク調査は貴社のヘルスケア業界への参入の方向性を定めると共に、事業の成功率を高めるお手伝いをします。
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参考文献
・ヘルスケア市場調査レポートと業界分析ーSDKI(渋谷データカウント)
・ヘルスケア市場規模の推移 日本の異業種による新規参入意向は7割も実際は2.5割、なぜ?ーWOMANS LABO
・日本のヘルスケア産業を調査! 医療費問題を解決に導くための健康維持や健康増進の市場規模はどのぐらい?ーMembers Medical Marketing
・総務省|平成27年版 情報通信白書|ウェアラブルデバイスの認知度・利用意向
・介護分野の最近の動向についてー総務省
・生活者データからコロナ禍前後のセルフヘルスケア市場の変化を読み解くーMarkeZine
・ヘルスケア市場の規模は? 将来性や課題・取り組みを解説!ーデジタルトランスフォーメーション チャンネル
・ヘルスケア業界の課題とは?市場規模や求められる人材のトレンドなどを解説ーM&Aベストパートナーズ
・母子健康手帳アプリー母子健康手帳デジタル版
・電子処方箋とはーMedicom by WEMEX
・電子処方せん・電子処方箋ー厚生労働省
・健康診断サポートアプリ「CARADA健診サポート」-CARADA健診サポート
・健康診断結果をデータ化!方法やおすすめアプリ3選を紹介ーWEB DOCTOR
・健診結果を簡単に取り込み!PHRサービス「Smart One Health」が健康管理アプリ「パシャっとカルテ」と連携し、データの取り組みを簡便化。受診勧奨の促進に貢献。ーIntegrity Healthcare
・今の働き方に、飲む栄養バランスーカロリーメイト
・誕生秘話 | カロリーメイトについてーカロリーメイト
・サントリー「セサミン」がマーケ戦略大転換 顧客が離れないワケー日経XTREND
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