金田大樹

記事の監修者

金田大樹

AXIA Marketing代表取締役

リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。

鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。

インド進出にはコンサル会社による支援が必要です。インドは地域ごとに需要が異なり、日本と異なる法規制や外資規制があることから、現地のデータ分析ができるだけでなく現地ネットワークをもつコンサル会社を選びましょう。また、やみくもに市場調査をすればいいわけではなく、最初にインド進出の目的を確定して、目的に沿って必要なことを調べるのが大事です。

インド進出の5つのメリット

インド進出を検討するうえで、まず知っておきたいのは数多くの魅力的なメリットです。経済成長のスピードや豊富な労働力、さらに政府による特区の設置など、事業展開に追い風となる要素が揃っています。

ここでは、日系企業にとって特に大きな利点となる5つのポイントを解説していきます。

1.目覚ましい経済成長

インドは世界でも有数の経済成長を遂げている国の一つです。近年のGDP成長率は常に高水準を維持しており、世界銀行やIMFの予測でも今後さらに拡大していくと見込まれています。特にIT分野や製造業、自動車産業などは国際的に存在感を増しており、日系企業にとって大きな商機が期待できる市場です。

経済成長に伴い。インド国内の消費市場も拡大しています。中間層の増加によって購買力が高まり、生活水準の向上に合わせて日本製品やサービスへの需要も高まっています。高品質を武器とする日系企業にとっては、インド市場でブランド価値を築くチャンスが広がっているといえるでしょう。

インド政府は経済発展を支えるために積極的な投資政策を進めています。製造業振興策「Make in India」をはじめ、外資誘致やインフラ整備にも力を入れており、今後も事業拡大に有利な環境が整っていくことが期待されます。

このように、経済成長と政策の両面でプラス要素が重なる点は、インド進出の大きなメリットです。

2.人口ボーナス期の継続

インドはすでに世界最大規模の人口を抱えており、その数は今後も増加していくと予測されています。特に注目すべきは、若年層の割合が非常に高い点です。労働力人口の増加は「人口ボーナス」と呼ばれ、経済活動の活発化や消費市場の拡大に直結します。この人口構造こそが、インドを長期的に魅力的な市場へと押し上げる大きな要因となっています。

日本をはじめ先進国では少子高齢化が進んでおり、労働力不足や内需縮小が大きな課題となっています。その一方で、インドは若い世代が経済を牽引していくため、企業にとって長期的な成長を支える安定した市場として期待できます。教育水準も向上しており、ITや工学分野に強い人材が増えている点も注目に値するでしょう。

加えて若年層は新しい商品やサービスを積極的に受け入れる傾向が強く、デジタル分野や消費財市場の拡大において大きな推進力となります。スマートフォンの普及やインターネット利用者の増加によって、Eコマースやデジタルサービスも急速に拡大中です。

こうした背景から、インドの人口ボーナスは単なる労働力供給にとどまらず、新たな産業創出や消費拡大の原動力にもなっています。

3.豊富な労働力と安価な人件費

インド進出の大きな魅力の一つが、労働力の豊富さと人件費の安さです。先ほどの人口ボーナス期に加え、多くの若年層が労働市場に参入しており、製造業からサービス業まで幅広い分野で人材を確保しやすい環境が整っています。特に日本と比べると賃金水準が低いため、製造コストの削減や競争力の強化につながります。

さらに、インドは高度なスキルを持つ人材も多い点が強みです。IT技術者やエンジニアは世界的に高く評価されており、米国や欧州でもインド出身の人材が活躍しています。このように、単に人件費が安いだけでなく、質の高い人材を確保できることは、企業にとって大きな利点です。

また、スタートアップ支援や教育投資が進んでいることから、今後も高付加価値分野で活躍できる人材が増加していくと予想されます。日系企業がインドに拠点を置くことで、こうした人材を直接採用し、研究開発や新規事業に活かすことも可能になります。コストと人材の両面で優位性を持つ点は、インド進出を検討する企業にとって見逃せないメリットといえるでしょう。

4.特別経済特区

インド政府は外資導入や産業振興を目的に「特別経済特区(SEZ)」を各地に設けています。これらの地域では税制優遇措置や関税の免除、輸出入の簡素化といった支援策が整えられており、外国企業にとって事業展開がしやすい環境となっています。日系企業にとっては、初期投資を抑えつつスムーズに事業を開始できる点が魅力です。

SEZにはインフラ整備が優先的に行われており、一般地域と比べて電力や通信などの基盤が整っているケースが多いです。製造拠点や研究拠点を置く際のリスクを軽減できるだけでなく、政府による外資誘致の姿勢が明確であるため、規制緩和や手続きの効率化が進んでいる点も安心材料となります。

実際に多くのグローバル企業がSEZを活用しており、日系企業の成功事例も少なくありません。現地政府との連携やインフラ利用を通じて効率的に事業を展開できるため、インド市場への足がかりとして有効な選択肢となっています。

5.英語が通じる利点

インドの大きな特徴の一つが、英語が広く通じる国であることです。公用語の一つとして英語が使用されており、ビジネスや教育の場でも標準的に用いられています。日本企業が進出する際、現地社員やパートナー企業とのコミュニケーションを英語で円滑に行える点は非常に大きなメリットです。

特に他の新興国では、言語の壁がビジネス拡大の大きな障害となるケースが多く見られます。その点、インドでは英語を共通言語として使用できるため、外国企業にとって参入ハードルが比較的低いといえます。国際的なビジネス慣習に適応している人材が多いため、交渉や契約の場面でもスムーズに対応可能です。

インド出身のIT技術者やビジネス人材はグローバルで活躍しており、海外市場との橋渡し役としても期待できます。現地での人材確保においても、英語力を前提とした採用が可能なため、国際展開を進める企業にとっては大きな強みとなります。このように言語面での優位性は、インド進出の際に安心感をもたらす重要なポイントです。

インド進出の4つのデメリットと注意点

一方で、インド市場には見逃せない課題も存在します。急速に成長する国だからこそ、インフラ不足や文化の違い、規制の変動といったリスクを伴います。

進出を成功させるためには、こうしたデメリットを事前に理解し、適切に対策を講じることが重要です。ここでは、代表的な4つの注意点を解説します。

1.インフラ整備の遅れ

インドの経済は目覚ましい成長を遂げていますが、インフラ整備はそのスピードに追いついていません。道路や鉄道、港湾、電力などの基盤が不十分である地域が多く、物流や生産活動に支障をきたす可能性があります。特に地方部では電力不足や停電が頻発することもあり、製造業にとって大きなリスク要因となります。

また、都市部であっても交通渋滞や老朽化したインフラが深刻な課題です。製品の輸送や人材の移動がスムーズに進まないことで、事業コストが増加するケースも少なくありません。こうした背景から、進出する際には拠点を置く地域のインフラ状況を十分に調査する必要があります。

政府はインフラ改善に積極的に取り組んでいますが、進展には時間を要するのが現状です。そのため、企業側としてはインフラ不足を前提にしたリスクマネジメントが求められます。例えば、自家発電設備を導入したり、複数の物流ルートを確保したりするなどの対策が有効です。こうした準備を整えることで、インフラ面のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

2.根強い旧カースト制度

インドでは法的には廃止されているものの、社会の一部には依然としてカースト制度の影響が残っています。特に地方や伝統的な業界では、雇用や取引関係において暗黙の上下関係が存在することがあります。外資系企業が現地で人材採用や組織運営を行う際、この社会的背景が摩擦を引き起こす可能性があります。

たとえば、同じ職場で働く従業員同士の間に見えない壁が生じたり、昇進や役割分担に対して不満が出たりするケースがあります。こうした問題は、組織の生産性やチームワークに悪影響を及ぼすリスクがあるため注意が必要です。
ただし、都市部やグローバル企業で働く層ではカーストの影響は薄れてきており、特に若い世代ほど価値観の変化が進んでいます。そのため、採用や教育の段階でダイバーシティを尊重する方針を明確に示すことが有効です。

日系企業が進出する際には、現地の文化や社会背景を理解しつつ、公平な評価制度や働き方を導入することが求められます。組織としての一貫したスタンスを示すことで、旧カースト制度によるトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

3.日本とは異なる文化や仕事の進め方

インドと日本の間には、文化や価値観の違いが大きく存在します。特にビジネスの場面では、その差が取引やプロジェクトの進行に影響を及ぼすことがあります。たとえば、日本企業は時間厳守や計画性を重視する傾向がありますが、インドでは柔軟さや即興的な対応が重視される場面も多いです。こうした違いが誤解や摩擦につながる可能性があります。

意思決定のプロセスにも違いがあります。日本企業では合意形成に時間をかける一方、インドではトップダウン型の判断が多く見られます。そのため、交渉や契約の進め方において、想定以上にスピーディーな対応を求められることもあります。

宗教や習慣に基づく価値観も尊重する必要があります。祝祭日や食文化、働き方に関する考え方が日本とは異なるため、現地で事業を進める際には十分な理解が欠かせません。現地スタッフとの信頼関係を築くためには、文化的背景を踏まえた柔軟なマネジメントが不可欠です。

このように、文化や仕事の進め方の違いはデメリットであると同時に、新しい価値を学ぶ機会にもなります。日系企業がインドで成功するには、相互理解を深める努力が重要です。

4.外資の規制強化・緩和の動きが読めない

インドは外資導入に積極的な一方で、政策の変動が激しいという特徴があります。外資規制の強化や緩和が短期間で繰り返されることもあり、企業にとって予測が難しい環境となっています。この不安定さは、長期的な投資計画や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

特に小売業や農業分野などでは規制の変更が頻繁に行われ、外資系企業が市場参入を検討する際に障壁となることがあります。税制改革や関税政策の見直しも突然行われることがあり、進出企業にとってリスク管理が欠かせません。

ただし、こうした変動は裏を返せば新たなチャンスにもなり得ます。政府が特定分野を重点的に支援する場合、規制緩和によって市場が一気に拡大することもあります。そのため、現地の最新情報を継続的に収集し、柔軟に戦略を調整する体制が必要です。

日系企業が安心して事業を進めるためには、現地の法律や規制に精通した専門家やコンサルタントのサポートを受けることが効果的です。変化の激しい環境に対応するためには、リスクを分散しつつ柔軟に対応する姿勢が求められます。

インド進出に成功した日系企業の進出事例

インドに進出した日系企業は複数あり、成功した企業の多くは現地に密着した製造と販売を行っています。日本とインドの気候・風土は大きく異なるため、インドの高温環境に合わせた製品が求められています。また、現地に素早く製品を届けるためとコスト削減のために現地生産に力を注いだ企業もあります。インドは広大な国であるため、地域ごとに異なるニーズに答えることも必要です。

  • パナソニック
  • スズキ
  • ダイキン
  • 大森機械工業
  • Zenwavesジャパン

パナソニック

パナソニックはインド市場における多様なニーズに対応し、家電製品やソリューション事業を展開しています。同社は現地のライフスタイルに合わせた製品開発を行い、効率的な販売網を構築することで成功を収めました。

また、インド特有のビジネス環境に適応するため、現地パートナーとの連携や法規制への対応を重視しています。

スズキ

スズキはインド市場での成功例としてよく知られており、1980年代に現地企業マルチ・ウドヨグ(現マルチ・スズキ)との合弁事業を開始しました。インドの需要に合った小型車を提供し、コスト競争力を高めるため現地生産を強化したことが成功の秘訣です。

さらに、販売網の拡充とアフターサービスの充実に注力し、長年にわたり市場シェアを維持しています。

ダイキン

ダイキンはインド市場でのエアコン需要の拡大を見込み、現地生産と販売網の強化を推進しました。コスト競争力を高めるための現地調達や、インド特有の高温環境に対応した製品開発に注力したことが成功の要因とされています。例えば、過酷な気候条件や電力事情に対応する製品を提供し、地域ごとに異なるニーズを満たしました。

また、積極的なマーケティング戦略や顧客サポートの充実も、市場シェア拡大に寄与しました。

大森機械工業

埼玉県の中小包装機械メーカーである大森機械工業は、インド市場へ進出する際に、現地企業の買収(M&A)を活用しました。この方法によって、土地や施設、販売ネットワークを一度に確保し、ゼロからの設立に比べて大幅にリスクを抑えることに成功しています。

投資額はおよそ33億円程度で、比較的コンパクトな規模でありながら、現地の既存設備や人材を活用できる点が大きな強みでした。日本側の技術力を組み合わせることで、買収先の製品性能や生産効率を高める取り組みも進められており、品質面で差別化を図りながら、現地の販売基盤を活かして即時に市場へ製品を展開できました。

大森機械工業の事例は、資金や人材に限りのある中小企業にとって、単独進出よりも「現地企業との協力・買収」を通じた展開が有効であることを示しています。短期間でインド市場に根付くための現実的な手法と言えるでしょう。

Zenwavesジャパン

技術系中小企業であるZenwavesジャパンは、特許を持つ蓄光型素材「αVEGA」を武器にインド市場へ進出しました。この素材は暗闇でも長時間発光する特性を持ち、停電や電力供給が不安定な地域の多いインドにおいて、高いニーズを獲得しました。

同社はまず、銀行施設の非常口表示板として製品を導入し、その実績を足がかりにインフラ関連分野へ展開を進めました。ダムの水位表示板や鉄道・地下鉄の安全表示など、公共性の高い分野での活用事例が広がり、現地での認知度を高めています。

インドの環境に適応させるため、耐久性やメンテナンスのしやすさにも重点を置き、現地条件に合った製品改良も実施。公共機関や大手銀行と契約を結ぶことで信頼性を獲得し、競合との差別化を図ることにも成功しています。

この事例は、ニッチな技術であっても、現地の社会課題を的確に解決できるのであれば、インドのような新興市場で大きなチャンスを得られることを示しています。特に技術力を持つ日本の中小企業にとって、学びの多いモデルケースと言えるでしょう。

インドに進出する日本企業の特徴と形態

インドは人口規模の大きさや経済成長率の高さから、世界的にも注目を集めている市場です。日本企業にとってもインドは有望な投資先であり、多くの企業が製造業やサービス業を中心に進出を進めています。

しかし、インド市場は文化や商習慣、法制度が日本とは大きく異なるため、現地の事情を理解したうえで戦略を立てることが不可欠です。ここでは、インドに進出している日本企業の特徴や傾向について整理し、成功のポイントを解説します。

進出形態

インドは州ごとに制度やインフラ状況が異なるため、一度に全国展開を目指すのはリスクが高い部分がありました。そうした点を鑑み、多くの日本企業はまず一部の州に限定して進出し、成功モデルを確立してから他地域へと拡大する段階的進出のスタイルを採用しています。

代表的な拠点としては、自動車関連の集積が進むタミル・ナドゥ州、IT産業が発展するカルナータカ州、工業地帯が広がるマハーラーシュトラ州などがあります。これらの州では比較的インフラが整備されており、外国企業に対して優遇措置を行う自治体も多いため、日本企業にとって魅力的な進出先となっています。

複数の拠点を持つことでリスクを分散させる動きも広がっています。物流や人材供給を複数の州に分けることで、特定地域のトラブルに影響されにくくなるためです。このような「段階的かつ分散型」の進出戦略は、インド市場特有のリスクを抑えつつ成長機会を最大化する効果的な方法だと言えるでしょう。

産業の特徴

インドに進出している日本企業の多くは、製造業を中心としています。特に自動車や自動車部品、工作機械、電気機器などの分野で進出が活発です。

例えば、トヨタやスズキといった大手自動車メーカーだけでなく、そのサプライヤーである中小規模の部品メーカーも数多く進出しており、産業クラスターを形成しています。現地での部品調達率が向上し、インド全体の製造コスト削減や競争力強化に繋がっているのです。

現地でのアセンブリ生産を行うことで、関税の削減や輸送コストの抑制も実現しています。インドは巨大な国内市場を持つため、完成品を輸出するのではなく、現地で製造して販売するモデルが有効です。

特に自動車業界では「現地生産・現地消費」の流れが強く、日本企業の進出の多くはこの形態をとっています。製造業に強みを持つ日本企業にとって、インドは今後も重要な拠点となることは間違いありません。

地域別の特徴

カルナータカ州、特にバンガロール周辺は自動車製造とソフトウェアが共存する地域です。トヨタはToyota Kirloskar MotorとしてBidadiに大規模な生産拠点を置き、地元の部品サプライヤーと連携しながら生産・研究開発を行っています。

グジャラート州は港湾アクセスやインフラ、工業団地の整備に力を入れており、大量生産拠点に向いています。スズキはHansalpurに大規模工場を設け、年間数十万台規模の生産能力を確保しています。

チェンナイ周辺は自動車産業クラスターが発達しており、ルノー・日産の合弁工場が拠点を構えるなど、自動車関連のサプライチェーンが集積しています。港湾を活用した輸出ルートの利便性や、完成車・パワートレイン生産の受け皿が整っているため、輸出指向の製造や部品調達が行いやすい地域です。

他にも、マハーラーシュトラ州のプネーはIT・ソフト開発の拠点として定着しており、多くの日系企業がソフト開発やGCCを設立しています。加えて、航空・アビオニクス関連の設計・ソフト開発拠点など、先端分野の技術拠点としてのポジションを強めています。

税制

インドで事業を行う際には、中央政府および州政府の税制制度を理解する必要があります。まず法人税ですが、国内企業と外国会社で規定が異なるほか、企業の種類・収入規模・活動内容によって適用税率が変動します。

最近の制度改正では、特定の新設工場が成立して、一定条件を満たせば15%の優遇税率が適用されるケースがあります。国内企業であれば、通常22%の税率を選べる制度もありますが、特定の控除・優遇を受けるためには一定の条件を放棄する必要があります。

外国企業に対しては通常40%ほどの基本税率が課されることが多く、さらにサーチャージや教育・保健を目的とした付加税、健康税などの追加税が加わることで、実効税率は高くなることがしばしばです。

Minimum Alternate Taxという制度もあり、法人が利益を減らすための控除を多く取った結果、本来の税負担が非常に低くなることを防ぐために、帳簿上の利益に対して最低限の税率を適用する制度が存在します。

インドには統一された間接税制度であるGSTが導入されており、物品とサービスの供給に関して登録義務や納税義務が発生します。州をまたがる取引、輸入や異なる州からの調達などに関して、州や中央、州間それぞれの制度に対応しなければなりません。

関税も輸入品に対してかかるため、部品や原材料を国外から輸入して組み立てて販売するタイプのビジネスでは関税コストが重要です。また、外国企業へのロイヤルティ・技術サービス料・利息などを支払う際の源泉徴収税も高めに設定されており、どの国と二重課税防止協定を結んでいるかで軽減できる可能性があります。

インド進出支援の海外販路開拓や海外事業戦略の構築の流れ

インド進出によって海外販路を開拓し、事業戦略を立てるには、順序が大事です。市場調査は必要ですが、インドに進出する目的が明確でないと、インドのどの市場をどのように調べるべきかの目算が立ちません。また、インドの技術や法律の調査も重要となります。

インド進出に関わるコストや、法規制・文化などによる進出リスクなども調べておくべきです。

①インド進出の目的を明確にする

インド進出支援における海外販路開拓や海外事業戦略の構築の最初のステップは、進出の目的を明確にすることです。インド市場は多様で成長著しい一方で、地域ごとの特性や商習慣の違いから、進出計画を曖昧なまま進めると、リスクが高まる可能性があります

目的を明確にすることで、戦略が一貫し、具体的な成果を目指すことが可能になります。たとえば、「現地市場での販売拡大」「生産コスト削減」「ブランド認知度向上」など、測定可能な目標を設定することが重要です。

目的が定まれば、ターゲット市場や適切なエリアの選定、リソース配分、現地パートナーの選定が効率的に行えます。また、目的に基づき、必要な市場調査やリスク評価も的確に進めることができます。

②情報収集をする

インド進出支援における第二ステップは、徹底した情報収集を行うことです。インド市場は多様性が非常に高く、地域ごとに消費者ニーズ・文化・法規制が異なるため、成功には詳細なデータの収集と分析が欠かせません。

情報収集では、ターゲット市場の市場規模や競合状況、消費者の購買行動に関する調査が重要です。例えば、都市部ではデジタル化が進む一方で、農村部では従来型の販売網が主流であるため、地域ごとの特性を理解することで適切な戦略が立てられます。

また、インド独自の税制や労働法、関税など、法的要件に関する情報も進出計画に欠かせません。さらに、現地のインフラ状況や物流網の評価を行い、最適なサプライチェーンを設計する基盤を構築します。

信頼できるコンサルティング企業と連携することで、現地の最新情報を得て、より正確な判断を下すことが可能です。

③技術面での調査

インド進出には技術面での調査も重要です。インド市場での成功には、製品やサービスが現地のニーズや環境に適合しているかを確認することが不可欠となります。

技術面での調査では、現地のインフラ状況や通信環境、エネルギー供給の安定性を把握することが重要です。例えば、製造業の場合は、現地で必要な機械や設備の調達可能性やメンテナンス体制を確認する必要があります。

また、IT関連事業では、インドの急速に成長するデジタル市場に対応するため、現地の技術基盤や人材リソースを調査することが必要です。さらに、環境規制やエネルギー効率基準など、進出先での法的要件に準拠するための技術的な適合性も確認する必要があります。

④法律面での調査

法律面での調査を徹底的に行うのは、インド進出に欠かせません。インドは州ごとに異なる法規制や税制が存在し、進出企業にとって法的要件の理解と遵守が必須となります。

法律面での調査では、会社設立に必要な手続き、事業許可の取得条件、現地の税制(GSTや関税など)の詳細を把握することが重要です。例えば、インド特有の労働法や環境規制に対応するため、従業員の雇用契約や製品製造プロセスが適法であることを確認する必要があります。

また、知的財産権の保護に関する制度も調査し、自社の技術やブランドを守るための措置を講じることが求められます。さらに、進出後の運営において法的なトラブルを未然に防ぐため、現地の信頼できる法律事務所やコンサルティング企業との連携が効果的です

⑤リスク面での調査

インド進出に必要なステップとして、リスク面での調査が挙げられます。インド市場は急成長している一方で、地域ごとの文化・規制・インフラ状況などの違いから多くのリスクが存在します。

リスク面での調査では、政治的安定性や経済動向、法規制の変化、為替リスクなどのマクロ要因を分析することが重要です。また、特定の地域や業界における競争環境や消費者の嗜好の変化もリスクとして考慮する必要があります。

さらに、物流網やサプライチェーンの信頼性、労働市場の状況、自然災害リスクなど、進出後の事業運営に直接影響を与える要因も調査対象です。

⑥インド進出に必要なコストの分析

インド進出のコスト分析は極めて重要です。インド市場は成長性が高い一方で、コスト構造が地域や業界ごとに大きく異なるため、正確なコスト評価が事業成功の秘訣となります。

コスト分析では、まず現地法人設立費用やライセンス取得費用を確認する必要があります。また、オフィスや工場の賃貸料、建設費用、設備投資に加え、人件費や福利厚生費も考慮に入れるべきです。

さらに、物流コストや関税、税制(GSTなど)に関連する費用も詳細に分析することが求められます。特に、進出地域によってはインフラ整備の状況が異なるため、輸送や電力供給にかかる追加コストも発生する可能性があります。

⑦最終的な海外進出計画を策定

インド進出の最終ステップは、綿密な海外進出計画を策定することです。この計画は、事業の目的・ターゲット市場・リスク・コスト・技術的要件・法的要件など、これまでの調査で得られた情報を基に構築されます。具体的には、短期・中期・長期の目標を設定し、それに基づいた資金計画やリソース配分を明確にすることです。

また、現地での市場参入戦略や販路開拓方法、必要なパートナーシップの詳細も含めましょう。さらに、進出後のリスク管理やフォローアップ体制を計画に組み込むことで、持続可能な成長を目指します。例えば、競合他社との差別化ポイントや現地消費者へのアプローチ方法を具体的に示すことが重要です。

インド進出を成功させるポイント

インドでの事業展開を成功させるには、メリットを最大限に活かしつつ、デメリットを回避する戦略が欠かせません。そのためには市場調査やパートナー選び、現地文化の理解が重要な要素となります。
ここからは、進出を成功に導くための具体的なポイントについて解説します。

インド進出には市場調査が必須

インド進出において市場調査は不可欠です。インドは多様な文化や消費習慣を持つ巨大市場であり、地域ごとのニーズや競争環境が大きく異なります。適切な市場調査を行うことで、ターゲット市場の選定や製品・サービスの適合性を高めることが可能です。

また、法規制や経済情勢の把握もリスク回避に役立ちます。調査を基に戦略を構築することで、進出後の成功確率を大幅に向上させましょう。

インドへの進出を支援する優秀なコンサル会社の選び方

インド市場への進出を検討する際、現地の制度や文化、ビジネス習慣に精通したコンサル会社の存在は欠かせません。コンサル会社を選ぶ際には、まず実績と専門分野を確認することが大切です。過去に日系企業の支援を行った経験や、進出サポートの成功事例を持つ企業は信頼性が高いといえます。

次に、現地ネットワークの強さも重要です。行政機関や現地企業とのつながりを持つコンサル会社であれば、手続きの効率化やビジネスパートナーの紹介など、実務面で大きな支援を受けられます。規制変更や経済動向に関する最新情報を提供できる会社は、変化の激しいインド市場で大きな力となるでしょう。

サポート範囲の広さも比較ポイントです。法人設立や税務・会計支援だけでなく、人材採用や労務管理、さらにはマーケティングまで幅広く対応できる会社を選ぶと安心です。特に初めての進出企業にとっては、ワンストップで支援を受けられる体制が理想的といえるでしょう。

最後に、日系企業とのコミュニケーション力も見逃せません。日本語でのサポート体制や、日本の商習慣を理解した担当者がいるかどうかは、進出後の安心感につながります。こうしたポイントを踏まえてコンサル会社を選ぶことで、インド進出のリスクを抑えつつ、スムーズに事業を展開することができます。

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インド市場の調査において、AXIA Marketingは包括的な支援を提供します。同社は、短納期での柔軟な調査体制・課題整理から報告書作成までの一貫サポート・豊富なインタビュー実績を強みとしています。競合分析・市場動向の把握・新規参入市場の可能性発掘などを通じて、企業の戦略立案を支援します。

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参考文献

インドビジネスを支援する「インド進出コンサルティング企業」まとめ-Digima~出島~
海外進出における「フィジビリティスタディ(FS)」の進め方-Digima~出島~
インド進出にあたって知っておきたいM&A入門-BUSINESS LAWYERS
インド進出のメリット・デメリット|日本企業の最新進出動向・成功事例-Digima~出島~

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