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成功率がアップする新規事業の市場調査の方法とは?具体的な手法や手順を解説

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気候変動やカーボンニュートラル等の環境規制、コロナ禍による消費活動の変容など、社会は日々めまぐるしく変化しています。

インターネット、SNSの普及によりそのスピードは加速度的に上昇しました。

変化の速い環境で市場に合わせたビジネスを展開し続けることは、多くの企業にとっての課題です。

成長分野にいち早くアプローチするのはどうすればよいのでしょうか。

本記事では新規事業成功のにおける市場調査のポイントを具体的に紹介します。

最後まで読むことで、具体的な手法の選び方や実践的な戦略立案方法まで包括的に理解できます。

ぜひ参考にしてください。

新規事業における市場調査の目的

新規事業の立ち上げにおいて市場調査は極めて重要な活動の一つです。

新規事業を立ち上げる際は、参入市場の環境や消費者ニーズをしっかりと把握したうえで立ち回りを考える必要があります。

新規事業は既存事業の拡大戦略と異なり、自社にとって未踏の市場へ資本を投入する行為です。

自社のポジションやリソースを改めて把握し、参入する市場を見極めることで、リターンを得る確率をいかに高められるかが勝負です。

市場調査とは

市場調査とはビジネスやマーケティングにおける意思決定に必要な情報を市場から収集し、分析することです。

市場調査は新規事業の開発だけでなく、企業のあらゆる事業活動の起点となります。

新規事業における市場調査の役割

新規事業における市場調査はどの市場に向けた事業を開発するかを決定するための活動です。

参入市場の規模、消費者の数、市場参加者の状況や成長性など、その市場への参入を裏付けるための情報を集めるのが新規事業における市場調査の役割です。

市場調査で収集すべき情報は業界の特性によっても変わりますが、主に市場規模、業界構造、競合状況、過去の事例などに分類され、それぞれに適した手法で収集します。

新規事業の市場調査に役立つ手法

新規事業の市場調査手法を大きく分類すると定性調査と定量調査に分かれます。

定性調査は人の主観に基づく要素の調査に適しており、新たな発想を生み出しやすいアプローチです。

定量調査は数値を計測し、統計的にデータを分析するため、客観的な示唆を得ることに長けています。

それぞれの代表的な手法を紹介します。

定性調査

消費者の意見や行動など、数値や量で比較できないデータを収集するための調査手法です。

具体的な手法は以下の通りです。

  1. インタビュー:個別もしくはグループでの会話で情報を引き出す手法
  2. 観察調査:調査対象者の自然な行動を観察して記録する手法
  3. 家庭訪問:調査対象者の生活環境を直接観察して記録する手法
  4. ワークショップ:調査対象者が共同作業の中で意見やアイデアを出し合う手法
  5. MROC(マーケティングリサーチオンラインコミュニティーズ):オンラインコミュニティで意見を収集しする手法

定性調査は、個人の感情や意識、行動を数値化せずに「言葉」で捉える調査のことを指します。

定量調査

定量調査は、数値もしくは量で明確に比較できるデータを収集するための調査手法です。

具体的な手法は以下の通りです。

  1. インターネットリサーチ(デスクリサーチ):インターネット上で情報を収集する方法
  2. インターネットアンケート:インターネット上でアンケートを実施して情報を収集する方法
  3. 会場調査:調査対象者に指定会場へ来てもらい直接情報を収集する方法
  4. ホームユーステスト:調査対象者の自宅に試用品などを送付し、感想や評価を得る手法
  5. 郵送調査:アンケートを調査対象者に郵送して回答を得る方法
  6. 電話調査:調査対象者に電話でアンケートの回答を得る手法
  7. 街頭調査:街頭で通行人に声をかけてアンケートに回答してもらう手法

定量調査は、調査結果が最終的に「数値」として表される調査のことを指します。

新規事業開始に向けた市場調査の手順

価値ある新規事業作り出すためには正しい順序で計画的に実行することが重要です。

手順に沿って行うことで必要な情報を抜け漏れなく収集することが可能です。

具体的に市場調査は大きく3つのステップに分かれています。

以下で具体的な手順を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

調査の目的を明確にする

まずは市場調査の目的を定めることが大事です。

調査に着手する前に、取得したい情報の量や種類、調査結果の活用方法を明確にしておくことで最適な手法を選択できます。

目的やゴールから逆算した調査を設計するためにも、しっかりと認識を定めておかなければなりません。

目的に合った調査手法を選定する

目的に合わせて必要な調査手段を決定します。

誤った調査手法を選択しないよう、得たい情報の性質と手法の特徴を抑えたうえで選択しましょう。

まずはインターネットリサーチなどで誰もが得られる情報(二次情報)を取得・整理します。

その後、インタビューやアンケート調査などの手法を用いてさらに踏み込んだ情報(一時情報)を収集する流れが一般的です。

市場調査を実施・結果を分析する

調査項目に合わせて対象を選定し、調査を開始します。

調査結果から得られたデータを分析する際は必ずデータの信憑性を確認してください。

とくに二次情報の場合は調査時期や調査対象、調査手法、実施主体をしっかりと確認しておくことをお勧めします。

信頼できると判断した情報は比較しやすいよう表にまとめます。

市場調査は新規事業の意思決定における非常に重要な材料です。

調査結果を報告する資料の見た目やレイアウトを整えて、読み手に正確に情報が伝わるようにまとめましょう。

新規事業の成功率を高める方法

新規事業を成功させるには消費者に新たな価値を提供しなければなりません。

消費者の潜在的なニーズをつかみ、ライバル企業とは異なる切り口で満たすことが重要です。

新規事業の立ち上げ段階において、どのような観点で準備を進めればよいのかを整理しました。

3つのポイントで解説しますので、貴社の新規事業立ち上げの参考にしていただければ幸いです。

調査結果を元に効果的な事業戦略を練る

顧客のニーズや市場動向を把握することで競争力の高い商品・サービスを開発できます。

市場調査によって得られた結果は市場の特性や業界構造を把握に役立ち、参入リスクを最小限に抑えるための示唆を与えてくれます。

競争優位性を得るためにも調査結果に基づいた事業戦略を練ることが重要です。

ライバル企業の分析

ライバル企業のマーケティング戦略、市場展開や商品・サービスの強みと弱みを徹底的に調査しましょう。

新規市場でシェアを獲得するには競合企業との差別化が必須です。

また 、ライバル企業の過去の失敗から学ぶことで同じ過ちを犯すリスクを軽減できます。

市場は常に変化しているため、ライバルの動向その顧客、特に新規参入者の動きは細かくチェックすべきです。

消費者ニーズの把握

インターネットやSNSの普及によって市場変化のスピードは非常に早くなっています。

このような環境の中で消費者の心をつかむには、市場のニーズを把握し続けることが重要です。

新規事業の場合、最新のトレンドや消費者の嗜好を組み込まなければ、的外れな商品・サービスを生むことになりかねません

新規事業における市場調査のポイント

新規事業を成功させるための市場調査について、ポイントをステップごとに説明します。

市場調査に取り掛かる前段階の準備についても記載しています。

立ち上げを成功に導き、市場調査の費用対効果を最大化させるためにも、各ポイントをしっかりと抑えたうえで市場調査を実施しましょう。

課題を明確にする

本格的な調査に入る前に課題を明確にしなければ新規事業のコンセプトが定まりません。

ターゲット選定やビジネスモデル策定に先立ち外部環境と自社の現状を把握しておきましょう。

外部環境と自社のポジションを把握するフレームワークにはSWOT分析、3C分析、PEST分析が有名です。

  • SWOT分析:内部の強み・弱みと外部の機会・脅威を分析する手法
  • 3C分析:市場、競合、自社を分析し、戦略を立案する手法
  • PEST分析:政治、経済、社会、技術の外部環境を分析する手法

適切な手法を選ぶ

調査の方向性が明確になったら目的に沿った手法を選択し、調査の詳細を設計します。

既に公開されている業界レポートや統計情報をデスクリサーチで収集し、さらに詳細なデータが必要な場合、アンケートやインタビューを実施して直接的な情報を取得します。

ここで重要なのが、既存情報の有無を見極めることです。

取得したい情報に関する既存調査の結果を見逃して、わざわざアンケートなどを実施してしまうと無駄なコストが発生します。

調査の際は、求めている情報は本当に既存のソースでは得られないのかを確認したうえで実行しましょう。

仮説を立てておく

調査結果から入手した情報を整理し、市場への参入根拠となる仮説を立てます。

情報はそれぞれの因果関係を元に整理し、ストーリー立てて仮説をたてましょう。

注意しなければならないのが自社に都合の良い因果関係を作り出してしまうことです。

情報の間に本当に因果関係が成り立っているのか、ただの相関関係なのかを見極めなければなりません。

楽観的な仮説を立てないよう、調査結果を分析する際はしっかりと整理しておきましょう。

新規事業の市場調査成功事例

実際の成功事例をもとに市場調査の重要性を改めて認識するために、2つの事例を紹介します。

それぞれの業界背景や各社の状況を自社の環境に当てはめてを考えてみると良いでしょう。

置き配バッグ「OKIPPA」

OKIPPAはYper株式会社が開発した置き配(不在時の荷物を玄関前においておく配達方法)専用の容器です。

布製でコンパクトに折り畳みができ、従来の宅配ボックスよりも低価格のため今まで置き配を敬遠していた消費者層に浸透し始めています。

従来の置き配ボックスへの消費者の不満(購入・設置しにくい)と24年問題や人手不足による物流業界の置き配に対するニーズの高まりをうまく取り入れ、顧客と市場の両方の課題を解決した新規事業です。

富士フイルム「ASTALIFT」

ASTALIFTは富士フイルムが展開している化粧品事業です。

富士フイルムは写真フィルムの製造において圧倒的なシェアを誇っていましたが、デジカメやスマホの普及により需要が減少していました。

同社は社運をかけて写真フィルムの研究開発で培った「ナノテクノロジー」「抗酸化技術」を活かした製品で、化粧品業界へ参入します。

とはいえ、富士フイルムにとって化粧品業界は未知の領域です。

綿密な市場調査を重ねた結果、若年層向けの製品開発に成功し、調査結果に基づくマーケティングによりASTALIFTの知名度は大きく高まりました。

市場分析によって自社の強み(写真フィルム分野の研究や技術)を業界にマッチさせたお手本のような事例です。

新規事業を成功させるための正しい市場調査の方法

新規事業における市場調査の概要とその手順、各ステップにおけるポイントを解説しました。

市場調査の成功事例から、事業成功に向けた調査の重要性を再認識いただけますと幸いです。

新規事業の成功は的確な市場調査にかかっています。

調査の軸を設定し、最適な手法を選択・実行して取得した情報をもとに、根拠ある仮説を立てることが新規事業成功の第一歩です。

このコラムが貴社の新規事業において有効な情報を提供する一助となれば幸いです。

新規事業を市場調査するならAXIA Marketing

急速に変化する市場環境の中で自社のポジションを冷静に客観視するためには、第三者視点でのベンチマーク調査が有効です。

アクシアマーケティングのベンチマーク調査サービスは調査目的の設定からデータの収集・分析、戦略の提案までワンストップでお客様の要望に合わせたサービスを提供しています。

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参考文献
新規事業開発における市場調査のポイントー株式会社日本能率協会総合研究所 マーケティング・データ・バンク
新規事業のマーケティング戦略とは?市場構造を把握したうえで競合との差別化を図るーPASONA JOBHUB
新規事業の成功率が格段に上がる市場調査の方法!具体的なステップと注意ポイントとはーFreeConsultant.jp®For Business
新規事業の市場調査のやり方とポイント!成功率を高める方法とは?ーJINCHI
新規事業の定性調査のやり⽅とポイント!成功率を⾼める⽅法とは?ーJINCHI
経験と勘じゃダメ?事業計画に必要な市場調査のやり方と手順【事業計画書の書き方・基本】ー経営ノウハウの泉 by KOKUYO
【新規事業の成功事例9選!】成功する企業の共通点やアイデアの発案方法などもご紹介ーBBS.i
OKIPPAが伝えたい、製品へのこだわり OKIPPAだから解決できることーOKKIPA
日本を代表する大企業の新規事業成功事例ーHONE
富士フイルムがなぜ化粧品? アスタリフト誕生の実話。ー@COSME

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