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メキシコ進出を成功させる5つのカギ|市場調査方法や進出事例も紹介

メキシコ進出

豊富な天然資源に恵まれているメキシコは、日系企業の海外進出先としても人気が高いです。

現に、近年、メキシコを次のビジネスの場として検討する日本企業が増えており、2023年時点で約1,500社の日本企業がメキシコに拠点を有しています(外務省「海外進出日系企業拠点数調査」)。

そんな中、「メキシコに進出したいけど、どのように進めれば良いのかわからない」「メキシコ進出のメリットや注意点を押さえておきたい」という方も多いのではないでしょうか。

今回は、メキシコ進出を検討している方に向けて、メキシコ進出の魅力や成功のポイント、市場調査の方法、日本企業の進出事例などをまとめて解説します。

本記事を読めば、メキシコ進出を検討している方であれば絶対に押さえておきたい知識を網羅的にキャッチアップできますので、ぜひ最後までお読みください。

メキシコの基本情報

メキシコ進出

メキシコは、アメリカと中央アメリカの間に位置し、日本の約5倍の国土と豊富な天然資源を有しています。太平洋やメキシコ湾に面しているほか、砂漠やジャングルなど多様な自然環境で構成されており、州・地域によって様々な文化があります。

広大な国土と多くの人口を有するメキシコは、経済も発展しており、IMF統計によると2023年の名目GDPは、約1.7兆円で世界第13位となっています。

概要

面積196万平行キロメートル(日本の約5倍)
人口約1億2,601万人
首都メキシコシティ
言語スペイン語
宗教国民の7割がカトリック
通貨1ドル=約18.36ペソ(2023年1月末時点)
在留邦人数10,143名(2022年10月時点)
メキシコ基礎データー外務省

主要産業

メキシコの主要産業

メキシコの主要産業は、自動車を中心とした製造業や、鉱業、商業です。特に輸出向けの自動車製造はメキシコ経済を支える重要な産業として位置付けられており、トヨタなどの日系自動車メーカーもメキシコで自動車製造を展開しています。

また、メキシコは銀の産出量で世界最大、さらに鉛や銅、亜鉛などの多様な金属が採れるため、これらを背景にした鉱業も盛んにおこなわれています。

さらに、メキシコは35の世界遺産を有し、美しい自然や歴史的建造物が多数存在する観光大国としても知られています。2023年には4,200万人の外国人観光客がメキシコを訪れるなど、大きな経済効果をもたらしています。そのため、これらの観光客をターゲットにした小売・飲食業などの商業も、メキシコの一大産業となっています。

メキシコと日本の関係

メキシコと日本は、伝統的に友好な関係にあります。2004年に経済連携協定が締結されて以降、2国間での貿易も盛んにおこなわれており、日本からは主に自動車部品や自動車、メキシコからは電気機器や豚肉・果実、非金属鉱などが輸出されています。

メキシコに進出している日本企業も年々増加しており、2023年時点で約1,500社の日本企業がメキシコに拠点を有しています(引用:外務省「海外進出日系企業拠点数調査」)。

特に、トヨタ、日産、マツダなどの多くの日系自動車メーカーは、メキシコで自動車製造を実施するなど積極的に進出しています。また、自動車以外にも、三井物産がインフラ事業を展開したり、大塚製薬が飲料水を販売したりなど、多くの日本企業がメキシコで活躍しています。

また、文化面でもメキシコと日本の関係は深いです。特に、日本食はメキシコでも人気が高く、メキシコには1,000店舗ほどの日本食料理店があると言われています。

メキシコ進出の3つの魅力

メキシコ進出の3つの魅力

日本企業がメキシコに進出することには多くのメリット・魅力があります。その中でも代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。

【メキシコ進出の3つの魅力】

  • 大きな市場規模
  • 豊富な天然資源
  • 積極的な規制緩和・優遇措置導入

大きな市場規模

メキシコは、人口1億2,600万人と、日本と同程度の人口を抱えています。一人当たりの名目GDPも1万ドルに達しており、世界で13番目に大きい水準です。

このように、人口が多く、経済成長を続けているメキシコの市場規模は非常に大きく、メキシコに販路を拡大することで大きな収益を上げられる可能性があります。

豊富な天然資源

メキシコは、日本の5倍以上に及ぶ広大な国土の中に豊富な天然資源を有しています。特に、銀の産出量は世界最大であり、メキシコの経済を支える重要な資源となっています。

また、カリブ海沿岸を中心に油田が広がっており、石油の生産量も世界トップクラスです。

このように、メキシコは豊富な天然資源を有しており、製造業、鉱業などの重工業を展開するための理想的な環境といえます。

積極的な規制緩和・優遇措置導入

メキシコは、外資系企業を誘致するために積極的な規制緩和や優遇措置の導入を行っています。例えば、2013年には、石油事業への民間参入を認めるエネルギー改革が行われ、外資系企業を含む民間企業がエネルギー事業を展開しやすくなりました。

メキシコの外資規制自体もそれほど厳しいものではなく、特定の規制業種を除く一般業種については、無条件で100%まで出資することが可能です。

また、メキシコの貿易担当官が2024年10月に語ったところによると、メキシコ政府では、電気自動車や半導体などの先進分野を中心に外国企業の投資を促すべく、税控除措置を検討しているとのことです(ロイター)。

このように、メキシコは、ここ数年、外資系企業を誘致するための規制緩和や優遇措置の導入を行っており、この動きは今後も加速すると考えられます。

メキシコ進出を成功させるための5つのポイント

日系企業にとって魅力的な市場の一つであるメキシコへの進出を成功させるためには、いくつかの注意点があります。

どの要素も進出後のビジネスの成否を分ける重要なポイントとなりますので、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

【メキシコ進出を成功させる5つのポイント】

  • しっかりと市場調査を行う
  • 信頼できる現地パートナーを見つける
  • 治安リスクの管理を行う
  • 現地特有の文化に配慮する
  • 現地特有の法規制・税制に注意する

しっかりと市場調査を行う

メキシコに進出するにあたっては、事前にしっかりと市場調査を行っておくことが重要です。主な調査項目としては、人口・市場規模・主要産業などの基本情報に加え、競合の存在、法規制・税制、現地の人々の生活・文化などが挙げられます。メキシコは、州ごとでの産業構造や規制環境の違いがあるため、自分たちが進出したい州にフォーカスした調査が重要となります。

企業が海外進出に失敗するよくあるパターンとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 投入した製品がその国の人々の生活や文化に合わず、ほとんど売れなかった
  • 思わぬ法規制や制度の罠に直面して思い通りのビジネスを展開できなかった

これらの失敗は、事前に入念な市場調査を行うことで回避することができ、その意味でも市場調査は非常に重要です。

市場調査の初期段階では、外務省やJETROなどの公的機関が発行する資料や、書籍・インターネット等などの公開情報の収集から開始することから始めましょう。

その後、本格的に進出検討を進める場合には、非公開情報も含めた調査や客観的な視点からの分析が必要となるため、専門の調査会社・コンサルティング会社に委託することをおすすめします

信頼できる現地パートナーを見つける

メキシコに限らず、海外進出を成功させるためには、信頼できる適切な現地パートナーを見つけることが重要となります。

現地パートナーは、現地で事業を展開するにあたり、適切な人につないでくれたり、必要な手続きの履行やコミュニケーションをサポートしてくれるなど、現地で事業をスムーズに展開するために欠かせない存在です。

いくら事前のリサーチをしっかりしていたとしても、現地に数十年住んでいる方には到底及びません。そういった現地人にしか分からない感覚をサポートしてくれるのが現地パートナーの存在です。

信頼できる現地パートナーと良好な信頼関係が築ければ、海外進出の成功率は格段に上がるでしょう。

治安リスクの管理を行う

海外進出に当たっては、治安リスクに対する対策を検討しておくことも重要となります。外務省は、「メキシコ全体の治安情勢は、ここ数年改善の傾向はみられず、依然として犯罪組織の活動が活発」「組織間の抗争、治安部隊との衝突、幹線道路の封鎖等が散発的に発生」など、公式サイトで注意喚起を行っています(外務省HP)。

日本人が被害に遭った事例も複数報告されているなど、メキシコは決して安全な国ではないため、事業展開に当たっても十分に注意する必要があります。夜間の外出や危険なエリアへの立ち入りは控える、できるだけ複数人で行動する、現地パートナーに安全対策について助言を受けるなど、事件に巻き込まれない対策を採っておきましょう。

また、メキシコの中でも、州・地域によって危険度は異なるため、できるだけ安全な地域を拠点に選ぶことも重要です。

現地特有の文化に配慮する

海外進出のよくある失敗例として、現地特有の文化や慣習に合わない製品・サービスを提供した結果、全く売れずに終わってしまうということが挙げられます。そうならないためにも、現地特有の文化や慣習をあらかじめ調査し、それに合わせて製品・サービスをローカライズすることが必要となります。

また、現地の人が大切にしている習慣や慣例を理解し、それらに配慮してビジネスを行うことも重要です。

メキシコの特徴的な慣習として、「シエスタ」が挙げられます。これは、毎日14時から16時頃に長い昼休みをとるもので、その時間帯は電話が通じなかったり、店が閉まっている場合があります。メキシコでビジネスを行うにあたっては、このような慣習への理解と配慮も必要です。

現地特有の法規制・税制に注意する

海外で事業を展開するにあたっては、現地特有の法規制や税制などを遵守するように注意しましょう。日本では当たり前に認められていても海外では禁止とされていたり、外資系企業に対して特別なルールが設けられていることもあります。

メキシコの場合、例えば外国法人が特定の地域の不動産を取得する場合に事前に外務省の許可が必要とされているなど、注意しなければならない法律がいくつかあります。また、メキシコには連邦法と州法が併存しており、これら両方の法律を遵守しなければなりません。

したがって、メキシコ進出に当たっては、メキシコ進出を支援するコンサル会社や法律事務所などに相談し、注意すべき法律や税制に関する助言を受けることがおすすめです。

日本企業のメキシコ進出事例3選

メキシコへの進出を果たしている日本企業は年々増えています。その中でも特に有名な事例を3つご紹介します。

  • 【トヨタ】自動車工場の操業を開始
  • 【カワサキモータース】オフロード四輪車の量産を開始
  • 【三井物産】総合インフラ事業会社を発足

【トヨタ】自動車工場の操業を開始

メキシコは、アメリカ向けの自動車生産拠点として、多くの自動車関連企業が集積しています。2023年の自動車生産台数は前年から14.2%増の約377万台となっており、国内全体で自動車産業が好調です(JETROビジネス短信)。

日本からも多くの自動車関連企業が進出しています。その中でもトヨタは、メキシコを北米地域で大きな成長が見込める重要な市場と位置付け、同地で20年以上も自動車生産を行っています。

2019年12月には、現地グループ法人であるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・デ・グアナファト(TMMGT)がグアナファト州に新工場を設置し、操業を開始しました。年間の生産能力は10万台に上るとのことで、さらなる売上げの拡大に貢献しています。

【カワサキモータース】オフロード四輪車の量産を開始

【カワサキモータース】オフロード四輪車の量産を開始
引用:カワサキモータース公式サイト

カワサキモータースは2024年4月、メキシコの現地法人において、オフロード四輪車の量産を開始したことを発表しました。上の画像は、メキシコ現地法人が保有する工場の写真です。

同社の現地法人は、年間3万台のオフロード四輪車の生産能力を有する主力工場の一つであり、生産ラインの自動化による安定した品質、素材加工から組立てまでの一貫生産などを実現しています。

同社は、今後も堅調な成長が見込まれるメキシコのオフロード市場を見据え、2025年までに四輪事業の売上収益を2022年比の2倍にする計画とのことです。

【三井物産】総合インフラ事業会社を発足

【三井物産】総合インフラ事業会社を発足
引用:三井物産公式サイト

三井物産は、メキシコにおいて水・電力・エネルギーソリューションビジネスを手掛ける総合インフラ事業会社として、Mitsui & Co. Infrastructure Solutions, S.A. de C.V.社(ミットインフラ社)を設立しました。

およそ1億2,000万人に上る人口と広大な国土を有し、あらゆる工業が盛んなメキシコにおいて、インフラの整備やエネルギーに対する需要は大きいです。

三井物産はミットインフラ社を通じて、メキシコにおける持続可能なインフラの構築とエネルギー供給に貢献していくとのことです。

メキシコ市場調査の3つの方法

メキシコ市場調査の3つの方法

メキシコで円滑にビジネスを展開するためには、事前の市場調査が欠かせません。市場踏査の方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 自社で調査する
  • 支援機関を活用する
  • 民間の調査会社を活用する

自社で調査する

自社で市場調査を行う場合、自社のリソースを活用するためコストの削減が可能です。調査を通じてノウハウが蓄積されるため、長期的なメリットもあります。しかし、専門的な知識やリサーチのノウハウが十分でない中、すべて自社で行うとなると多大な時間と労力がかかってしまいます。

自社で調査するメリット

自社で調査すれば、コストを安く抑えることができるうえに、自社のニーズに合わせた細かな調査が可能です。内部での情報共有がスムーズで、社内にノウハウが蓄積されるため、将来的な事業拡大に役立ちます。

自社で調査するデメリット

時間と労力がかかるため、スピード感を持った対応が難しいという問題点があります。また専門的な知識が不足していると、重要な事項を見落としたり、間違った情報をインプットしてしまったりなど、調査結果の精度が低くなるリスクがあります。

特に、メキシコの場合は、地理的にも日本から離れており、進出済みの日本企業もアメリカなどと比べて少ないため、日本で手に入る公開情報だけでは十分な調査ができない可能性があります。

支援機関を活用する

日本には海外進出を支援する様々な公的機関があります。公的な支援機関を活用することで、信頼性の高いデータや情報を入手しやすくなります。手続きが煩雑な場合もありますが、専門的なサポートを受けられる点が魅力です。

【公的機関の一例】

  • ジェトロ(日本貿易振興機構)
  • 中小企業基盤整備機構
  • 商工会議所
  • 政府系金融機関
  • 地方自治体

支援機関を活用するメリット

信頼性の高いデータ・情報が得られること、専門的なアドバイスが受けられることが主なメリットです。政府の補助金や助成金の活用により、コストを抑えることも可能です。

支援機関を活用するデメリット

手続きが煩雑な場合があり、結果が得られるまでに時間がかかることがあります。また公的機関の情報は一般的すぎる内容である場合があり、特定のビジネスに合わせた詳細な情報が入手しにくいこともあります。

民間の調査会社を活用する

民間の市場調査会社を利用することで、迅速かつ専門的な調査を実施することができます。コストがかかる一方で、高度なデータ分析が可能です。

民間の調査会社へ委託を検討する際はこちらの記事も参考にしてください。

民間の調査会社を活用するメリット

現地の専門知識を持つ調査会社がデータを提供するため、精度の高い情報が得られます。また、その会社独自のネットワークを活用することで、通常の調査方法では得られない深い情報を得られることも期待できます。

公的機関よりも迅速にデータを収集できるほか、収集したデータを踏まえた適切な助言を提供してくれるため、海外進出を検討する上で強力なサポーターになるでしょう。

民間の調査会社を活用するデメリット

コストが高額になることがあり、調査の内容に満足できない場合のリスクもあります。契約内容や調査前の取り決めでは、慎重な判断が必要です。

調査会社を選ぶ際には、顧客のニーズをしっかりとヒアリングしてくれるか、ニーズに合わせて柔軟に調査スコープや調査方法を変えてくれるか、成果物のイメージを事前に共有してくれるか、といった点に着目するとよいでしょう。

メキシコの市場調査・進出支援ならAXIA Marketing

AXIA Marketingでは、メキシコ進出を検討している企業様に向けて、メキシコの市場調査・進出準備をお手伝いしております。

世界中に計50万名規模の有識者ネットワークを有しており、公開情報では知ることのできない現地の深い情報まで徹底的にリサーチ・分析し、メキシコ進出の検討をサポートします。

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参考文献

海外進出日系企業拠点数調査 2023年調査結果 – 外務省

世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF) – グローバルノート

メキシコ基礎データ – 外務省

生産などが新型コロナ前に届かず 2022年のメキシコ自動車産業(1) – JETRO

大塚製薬メキシコ・金田社長に聞く、ポカリスエットのメキシコ進出と今後の展望 – MEXI TOWN

メキシコの日本食人気、さらなる売り上げ増のポイントは? – JETRO

エネルギー改革法が公布、資源開発や電力市場への民間参入を促進 – JETRO

メキシコ 外資に関する規制 – JETRO

メキシコ、外資誘致に向け税優遇策を検討 EVや半導体対象 – ロイター

メキシコの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ】 – 外務省

メキシコ ~世界の人々の暮らし~ – 日本成人病予防協会

2023年の自動車生産は14.2%増、国内販売は24.4%増と好調(メキシコ) – JETRO

トヨタのグアナファト工場が操業開始、生産能力は年間10万台(メキシコ) – JETRO

メキシコ工場でオフロード四輪車の量産開始 – カワサキモータース

メキシコで総合インフラ事業会社発足~水・電力・エネルギーソリューションの総合インフラサービス提供~ – 三井物産

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