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海外調査の事例あり

情報通信業界の市場調査の方法は?規模や事例を徹底解説!

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情報通信の市場は世の中の情勢や、ニーズによって幅広く対応することで拡大してきました。

それに伴い、情報通信技術も短い期間で進歩を遂げています。

目まぐるしく変わっていく市場の動向を把握するには、情報通信市場の現状から未来の展望を予測していかなければなりません。

本記事では、情報通信市場の調査方法や結果から今後の動向について紹介しています。

各自治体による、デジタルデバイドの対策事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

情報通信市場調査の基本知識

情報通信市場調査とは、情報通信分野の現状や動向を把握するために行われる調査です。

情報通信が扱っている分野は幅広く、以下のようになっています。

分野対象
コンテンツ・サービス・動画、音楽配信
・電子書籍
・SNS
・EC
・電子決済
 など
クラウド・データセンタークラウドデータセンター
ネットワーク・固定系通信
・海底ケーブル
・移動系通信
・衛星通信
 など
端末・機器・固定電話
・テレビ、ラジオ
・パソコン
・スマートフォン、タブレット
・IoT
 など

令和5年の総務省による調査では、情報通信における国内の市場規模は約15兆円で、国内における全産業の10%を占めるといわれています。

2022年頃には、コロナか収束の兆しが見え、一旦落ち込んだ設備投資が増加しました。

しかし、世界情勢の悪化によりエネルギーコストは高騰し、情報通信における設備投資は再び抑制されていったのです。

今後は、高速大容量や多数同時接続を目指した、6G通信の実用化がどこまで活躍するのかが期待されています。

【参考文献:令和5年版情報通信白書(PDF版)

情報通信市場調査の目的

情報通信市場調査の目的は、市場の動向を把握することで、現状の課題発見や新しい施策の立案に活用することです。

情報通信市場調査は、総務省と経済産業省によって一年に一度のペースで行われています。

主な調査内容は以下の通りです。

調査名調査内容
通信利用動向調査・情報通信機器の普及率
・年齢別のインターネット利用状況
・テレワークの導入状況
・クラウドサービスの利用状況
・IoT・AI等のシステム・サービスの導入状況
 など
情報通信業基本調査・企業の概要
・事業内容
・財務状況
・取得設備投資額
・従業者の状況
・外部委託の状況
・事業運営の状況
・今後の事業運営

デジタル化の現状と課題

スマートフォンの普及により、急速に日常生活がデジタル化してきました。

便利になってきた一方で、以下のような課題があります。

  • モバイル端末の普及率が増加したものの、ショッピングや決済、動画配信の利用などが中心となっており、公的サービスなどへの利用率は低い
  • 情報通信機器の利用率に世代間の格差が大きい

世代間の格差は70歳以上とそれ以下の世代から広がっており、「使い方がわからない」「自分の生活には必要ない」などのように考えている人が多いようです。

コロナ禍で加速するデジタル化

スマートフォンが世間に出回ってから、モバイル端末の利便性は目覚ましい発展を遂げ、コロナ禍によってその技術は加速しました。

コロナ禍初期は「おうち時間」が推奨され、日常生活において非接触が重要とされていました。

それに伴い、情報通信の分野では、インターネットショッピングや動画配信サービスの市場が拡大し、サービスの利用率も上昇していきます。

その反面、対面型の業種は営業の縮小などにより、徐々に業績が悪化していきました。

デジタルデバイド

デジタルデバイドとは、情報通信技術の使用可否で生まれる情報格差のことをいい、以下の三つに分けられます。

  1. 個人間:年齢や学歴、収入によっておきやすくなります
  2. 地域間:都市部と地方部の間でおきやすくなります
  3. 国際間:先進国と発展途上国の間でおきやすくなります

デジタルデバイドは、ただ情報を得る手段に格差があるだけというわけではなく、以下のような問題が生じます。

  • 教育や経済の格差につながる
  • 緊急時などの初期対応が遅れる
  • 高齢者が社会から取り残される
  • 企業における人材不足につながる
  • 国際的に置いていかれる

【総務省】通信利用動向調査結果について

総務省は、国内における通信利用動向調査を年に一度行っています。

ここでは、令和5年に実施された通信利用動向調査を以下の項目に分けて解説していきます。

  • 調査概要
  • 情報通信機器の普及状況
  • インターネットの利用動向(個人)
  • SNSの利用動向(個人)
  • テレワークの導入状況等(企業)

通信利用動向の調査結果は、情報通信技術の発達とともに大きく変化していくため、どのような調査が行われているのか参考にしてください。

【参考文献:令和5年通信利用動向調査の結果

調査概要

通信利用動向調査は、総務省によって毎年実施されており、「世帯調査」と「企業調査」の同じ項目を調査対象としています。

通信利用動向調査は、平成2年に世帯調査のみ実施していましたが、平成5年から企業調査も追加で実施するようになりました。

主な調査事項は、通信サービスの利用状況や、情報通信関連機器の保有状況などです。

情報通信機器の普及状況

情報通信機器は、スマートフォン、パソコン、固定電話、タブレット端末が調査対象となっています。

平成26年ごろにはスマートフォンの普及率は64.2%で固定電話の75.7%を下回っていました。

しかし、平成28年を境に普及率の割合は逆転していき、令和5年にはスマートフォンが90.6%、固定電話が57.9%と大幅に差が付いたのです。

パソコンの割合も固定電話と同様に、平成28年を境に普及率の割合が逆転しました。

これは、スマートフォンが固定電話とパソコン両方の機能を備えたことによる影響が伺えます。

タブレット端末は便利であるものの、スマートフォンと機能が重複する面もあり、現状では普及率の大きな変化はありません。

インターネットの利用動向(個人)

インターネットの利用動向は、スマートフォンの普及によって大きく変わり、13~69歳の年齢層で9割を超えています。

69歳以上でも、他の世代と比較するとやや低いものの、利用者数は増加傾向にあるようです。

これは、携帯電話からスマートフォンに持ち替える人が増えたことで、インターネットに触れる機会が多くなったためであると考えられます。

各年齢層のインターネット利用機器の状況でも、それぞれの世代でスマートフォンが1位を独占しています。

SNSの利用動向(個人)

SNSの利用動向は、現状では全年齢においてほぼ横ばいとなっています。

SNSの利用目的としては、コミュニケーションの手段として用いる人が多く、次いで知りたい情報の検索に用いる人が多いようです。

テレワークの導入状況等(企業)

テレワークは、コロナ禍になりだしたころから徐々にその知名度は広がり、多くの企業で導入されてきました。

テレワークの導入率をみると、令和元年には20.2%であったのに対し、令和2年には47.5%と前年の倍近くにまで増加しています。

その後は、導入を検討している企業が導入し終え出したこともあり、導入率は横ばいとなっています。

導入目的として、「新型コロナウイルス感染症への対応」の割合が多めでした。

感染状況が徐々に落ち着いてからは、「勤務者のワークライフバランスの向上」に注目されるようになっています。

情報通信市場に関する重要調査テーマ

情報通信は通信技術の発達や、世間の情勢などから大きな影響を受けます。

そこで、情報通信市場に関する重要調査テーマをピックアップし、以下の項目を解説します。

  • 携帯電話の所有動向調査
  • IT人材需給に関する調査
  • テレワークセキュリティに関する実態調査
  • 中小企業のIT導入・活用状況に関する調査

これらの調査を実施することで、情報通信における今後の動向をつかむ参考になるでしょう。

携帯電話の所有動向調査

携帯電話を所有している人のうち、スマートフォンである人の割合は2024年時点で9割を超えています。

さらに、10代女性の約2割がスマートフォンを2台所有している、という調査結果も出ています。

2010年のスマートフォン普及率が4%程度であったことを考えると、時代の流れが大きく変わったといえるでしょう。

IT人材需給に関する調査

IT人材需給に関する調査は、みずほ情報総研株式会社が実施した、IT人材の需要動向を試算した調査です。

調査の構成は以下の通りとなっています。

  • IT人材全体数に関する需給調査
  • 先端人材・従来型IT人材に関する需給調査
  • IT人材需給に関する総合分析

この調査結果によると、2030年までには最悪の場合、79万人ものIT人材が不足するといわれています。

テレワークセキュリティに関する実態調査

テレワークセキュリティに関する実態調査では、全国の企業向けにWebアンケートが実施されました。

テレワークは、コロナ禍をきっかけに市場が急拡大し、今後も活用予定の企業は7割を超えています。

テレワークの導入状況は、「会社支給のPC端末」が71.5%で、続いて「会社支給のモバイル端末」が44.5%と高めです。

テレワークの導入が進む中、端末を持ち出したり、データのやり取りが増えたりする分、セキュリティの確保が課題とされています。

調査結果によると、「マルウェア対策」は65.9%十分実施しているのに対し、「脅威インテリジェンス」は50.9%が実施しているが不十分と感じているようです。

企業は、独自にテレワークセキュリティガイドラインを作成していますが、その存在自体を知らないという社員もいます。

このことから、テレワークの導入を検討している企業は、セキュリティに関するガイドラインを周知させる必要があるでしょう。

中小企業のIT導入・活用状況に関する調査

中小企業のIT導入・活用状況に関する調査は、商工中金が実施した調査票によるアンケート調査です。

この調査は2021年に実施され、新型コロナウイルス拡大前後で、ITの導入動向を調査しています。

IT導入は約6割の企業で進んでおり、情報通信業や電気機器、輸送用機器が導入割合が高いようです。

IT導入されているなかでも、テレワーク・Web会議システムの導入が他の項目よりも倍近く、コロナの影響により導入が進んでいます

日本のICT(情報通信技術)市場の概況

日本のICT市場は、2023年~2032年の間に2倍近く収益が増加すると見込まれています。

年平均成長率(CAGR)は、2024年から2032年の間に8.6%成長すると予測されています。

日本におけるICT市場へ影響を与えると予測される要因は、以下の通りです。

  • IoTデバイスの採用拡大とその影響
  • 日本における情報通信関連の規制状況
  • 市場セグメンテーションの分析と洞察

IoTデバイスの採用拡大とその影響

IoTとは、ものがインターネットに接続することで、情報のやり取りをより快適にする技術のことをいいます。

日本では、IoTデバイスがさまざまな分野での利用が浸透してきており、ICT技術市場の拡大をけん引しています。

日本のIoT技術の導入率は63%で、世界的に見ても平均値の40%を上回っている状況です。

日本における情報通信関連の規制状況

日本は、世界的に見ると情報規制が厳しく、市場へ参入することを難しくしています。

  • コンプライアンスとリスク管理の面で整備が必要
  • ICT市場における急速な技術の進歩に対応が追い付かなくなる

日本における、厳格なデータプライバシーおよびセキュリティー規制が、上記のような要因となっています。

市場セグメンテーションの分析と洞察

日本における情報技術セグメントは、IoT技術や5Gネットワーク、AI技術によって急激な成長を遂げてきました。

近年ではDXへの関心が広がりつつあり、情報技術のセグメントはさらに拡大していくでしょう。

また、クラウド技術では、インフラコストの削減やアプリケーションの拡大を後押ししています。

産業別にみると、銀行・金融・保険の市場においてICT市場は拡大傾向にあります。

自治体による独自のデジタルデバイド対策事例

自治体による独自のデジタルデバイド対策事例をいくつか紹介します。

デジタルデバイドは、教育や収入、その他生活に必要な情報に差が生じ、地域格差を大きくさせる深刻な問題です。

日本国内における、対策事例を参考にしてください。

東京都渋谷区による無料スマホ貸出支援

東京都渋谷区では、スマートフォンを所有していない65歳以上の区民に対し、無料貸し出しをするという取り組みをしています。

日本国内では、高齢者のスマートフォン普及率は低く、他の世代とのデジタルデバイドが大きくなる要因となっています。

2年間という期限付きではありますが、その期間内に機器やアプリの活用法を支援することで、高齢者のQOLを向上させることが目的です。

神奈川県川崎市による公衆無線LAN環境の整備

神奈川県川崎市では、すべての市民を対象として、公衆無線LAN環境の整備に取り組んでいます。

気軽にWebへアクセスできるようにすることで、平等に必要な情報を得られる社会づくりを目的とした施策です。

愛媛県松山市による一人親家庭の在宅就業支援

愛媛県松山市では、一人親家庭を対象に、「松山市ひとり親家庭等の在宅就業支援事業」を行っています。

一人親世帯が社会から孤立しないよう、基礎訓練から応用訓練・OJT研修を実施した後、さまざまな場所へ雇用を支援するという取り組みです。

石川県加賀市による高齢者向けスマホ講座

石川県加賀市では、高齢者向けのスマートフォン講座を開催しています。

2020年3月に「加賀市スマートシティ宣言」を提唱し、地域が抱えている消滅可能性都市の問題解消のための取り組みとして開始されました。

なかでも、高齢者に向けたスマートフォン講座では、参加者の習熟度に応じて教室を開いています。

情報通信市場は利便性と平等性の向上により拡大していく

日本における情報通信の市場は、世界的に見ても先端を走っており、今後も技術の進歩により拡大していくと予想されます。

しかし、それは国内でもさまざまな条件によって、デジタルデバイドを生じさせる要因ともなってしまうでしょう。

利便性を求めるあまり、使い勝手が悪くなってしまっては、その市場は今後拡大していくことは難しくなります。

多角的な視点で技術を導入できるかどうかを考えられると、さらに市場の拡大が見込まれるでしょう。

情報通信の市場調査ならAXIA Marketing

AXIA Marketingでは、情報通信の市場調査を承っております。

情報通信の市場調査は、さまざまな分野が介入しており、自社の調査のみでは困難な部分も出てくるでしょう。

AXIA Marketingでは、技術の進歩によって変わりゆく市場の動向を、専門的な知識を持ったスタッフが、貴社が希望されたサービスを提供します。

サービスの詳細については、こちらをご覧ください。

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参考文献
IT・通信業界の市場規模-MIRAIT ONE
情報通信業基本調査-経済産業省
令和3年版 情報通信白書のポイント-総務省
令和5年通信利用動向調査の結果-総務省
2024年調査 スマートフォン比率97%:2010年は約4%-モバイル社会研究所
IT人材需給に関する調査とは?注目された理由やIT人材不足の原因・対策を解説-ISF NET
テレワークセキュリティに関する実態調査(R4年度)-総務省
中小企業のIT導入・活用状況に関する調査 [2021年1月調査]-商工中金
日本ICT市場規模、シェア、動向、競争環境分析レポート: 提供別(デバイス、ソフトウェア、ハードウェア、情報技術サービス、データセンターシステム、通信、その他)、技術別(IoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、コンテンツ管理、セキュリティ、その他)、産業分野別(金融サービス、情報通信技術、政府、小売及び電子商取引、製造業、エネルギー及び公益事業、その他): 2024年から2032年までの機会分析と産業予測-REPORT OCEAN
【デジタルデバイド】高齢者だけの問題じゃない! 情報格差がもたらす問題点と解決策-GDX TIMES

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