コラム COLUMN

  1. TOP
  2. コラム
  3. 家電市場の規模は拡大中?ジャンル別動向&市場調査方法を徹底解説

海外調査の事例多数

家電市場の規模は拡大中?ジャンル別動向&市場調査方法を徹底解説

alt

家電市場規模は、技術革新と消費者の購買行動の変化に伴い、過去数年間で着実に拡大してきました。

特に、ECの急速な普及が市場の成長を大きく後押ししています。

ECを通じて便利に製品を比較・購入できるようになり、持ち帰りの手間が省ける点や、どの販売チャネルでも同じ品質の製品が手に入る点が大きな魅力となっています。

この記事では、家電の市場規模拡大の要因やジャンル別の動向、さらに市場調査方法について詳しく解説します。

家電市場は拡大中?年代別売上推移

家電市場規模は、過去10年間にわたり安定した成長基調を示しており、生活様式の変化や技術革新、消費者の購買意欲がこの成長を支えています。

特に、エアコンやパソコンといった市場規模の大きい製品の復調が、新たな成長をもたらすと予測されています。

この市場の拡大に伴い、主要な家電メーカーの従業員の給与も増加傾向にあり、企業の業績向上が従業員報酬に反映されている状況です。

以下、具体的な家電市場の売上推移と成長率について詳しく見ていきましょう。

家電市場の売上推移(15~22年)

(※単位:億円)

【家電製品の国内出荷額】

■ 2015年: 5兆0,856億円
■ 2016年: 5兆2,094億円
■ 2017年: 5兆2,332億円
■ 2018年: 5兆4,229億円
■ 2019年: 5兆7,222億円
■ 2020年: 5兆5,951億円
■ 2021年: 5兆4,876億円
■ 2022年: 5兆5,717億円

過去8年間の家電市場の動向を俯瞰すると、全体として安定した成長基調にあることが分かります。

この成長は、生活様式の変化や技術革新による新しい製品カテゴリの登場、そして消費者の購買意欲の維持が要因と見られています。

一部の年では減少も見られましたが、全体としてはプラスの成長を示しており、家電市場が底堅く拡大していることは明白です。

この安定した成長基調が続く限り、家電市場は今後もさらに拡大していく可能性が高いでしょう。

参照:家電製品国内出荷額推移ー一般財団法人 家電製品協会

家電市場の成長率は4.5%!

2022年度の家電需要は、出荷金額ベースで前年比4.5%の成長が見込まれています。

これは、株式会社クロスが発表した「2022年度 国内家電需要予測」に基づくもので、同社は家電市場における総合的な需要予測データを提供しています。

この予測は、家電関連のメーカーや新規参入企業、広告代理店などに向けて、家電10部門・79商品にわたる出荷台数と金額の詳細な分析を行い、業界全体の動向を多角的に評価したものです。

2021年度は、新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり需要」が一段落し、需要がやや落ち込んだ年でしたが、2022年度はエアコンやパソコンといった市場規模の大きい商品の復調が期待されています。

これにより、出荷金額ベースでの成長が予測されており、それは従業員への給与面にも波及しています。

大手電機メーカー4社(日立製作所、ソニーグループ、パナソニック、三菱電機)の従業員の給与に関しても、各社の業績向上に伴い、全体的に増加傾向にあります。

日立製作所では、2021年度の平均給与が897万円となり、堅実な給与増加が見られ、安定した業績を背景に従業員の報酬を改善しています。

一方、ソニーグループは4社の中で最も高い平均給与を誇り、2021年度には1085万円に達しました。

連続して過去最高の売上高と営業利益を記録する中、その成果が従業員の給与にも反映されています。

パナソニックでも平均給与は759万円と安定的に増加しており、新しいグループ体制への移行と国内外での事業拡大が従業員の報酬に良い影響を与えています。

また、三菱電機は平均給与が807万円で、着実に増加を続けています。

特に産業メカトロニクスや重電システムといった事業の好調が、従業員の給与の増加に寄与しています。

これらの企業は、それぞれの強みを活かし業績を伸ばし、その成果を従業員に還元する形で給与を増加させています。

参照:2022年度の家電需要は出荷金額で4.5%アップの見込みーPR TIMES
大手4社(日立製作所・ソニー・パナソニック・三菱電機)を比較!―ONE CAREER

家電市場のジャンル別動向

家電市場においてはジャンル別に異なる動向が見られます。

大型家電市場では、物価の高騰や巣ごもり需要の反動により、2023年は前年をわずかに下回る水準で推移しましたが、2024年には消費者の買い控えがやや緩和され、回復の兆しが期待されています。

小型家電市場は、都市化やライフスタイルの変化が成長を支える要因となり、今後数年で安定した成長が見込まれています。

また、スマート家電市場は技術革新による家庭内の効率性向上を背景に急成長しており、今後も高い成長率が期待されます。

それでは、各ジャンルごとの詳細な動向について見ていきましょう。

大型家電

2023年の大型家電市場は前年に比べて約98%の水準で推移し、予測よりも4%程度下回りました。

その主な要因は、物価の高騰により消費者が生活必需品の購入を優先し、家電製品の需要を控えたこと、そして巣ごもり需要の反動で白物家電や調理家電の需要が減少したことにあります。

特に冷蔵庫や洗濯機といった大型家電の出荷台数は減少し、白物家電全体では前年を上回ったのはドライヤーのみという厳しい状況でした。

2024年については消費者物価の上昇が続き、商品単価の上昇が売上を下支えする一方で、インフレが収まり実質賃金が改善されることで、消費者の買い控えがやや緩和されると期待されています。

また家電量販企業も家電以外の成長領域への商品構成を強化し、ECとの連動を深めることで売上拡大を狙っています。

これらの要素を総合すると、2024年の家電市場は前年比100~101%程度で推移し、回復の兆しが見られる年になると予測されます。

参照:2024年(1~12月)の家電需要動向ー家電Biz

小型家電

Mordor Intelligenceの家電の市場規模予測によると、日本の小型家電市場は、2024年から2029年にかけて3.10%の年平均成長率(CAGR)で成長すると予測されており、2024年には30億4,000万米ドルから2029年には35億5,000万米ドルに達する見込みです。

この市場成長は、都市化や住宅部門の発展、一人当たり所得の増加、消費者のライフスタイルの変化など、さまざまな要因に支えられています。

コロナウイルス感染症の影響で一時的に成長が抑制されたものの、在宅勤務の普及により消費者の家庭内活動への関心が高まり、特に調理関連の小型家電の需要が増加しています。時間を節約し、生活の快適さを向上させる小型家電製品への需要が高まっており、これが市場の主要な成長要因となっています。

参照:日本の小型家電市場規模と推移株式分析 – 成長傾向と成長傾向予測ーMordor Intelligence

スマート家電

REPORT OCEANの家電の市場規模予測によると、日本のスマート家電市場は、2023年から2032年にかけて、収益が84億米ドルから380億米ドルに増加すると予測され、年平均成長率(CAGR)は18.20%に達すると見込まれています。

スマート家電とは、インターネットに接続され、センサーが搭載されたデバイスを指し、家庭環境内での効率性、利便性、自動化を向上させる役割を果たしています。

代表的な例として、スマート照明システムやキッチン家電、エンターテインメントシステムなどがあります。

この市場の成長を牽引している主な要因は、技術進歩の加速とそれに伴う家庭内での快適さや効率性の向上です。

IoTやAI技術の導入により、スマート家電はよりインテリジェントな機能を提供し、消費者の注目を集めています。

特にエネルギー効率や持続可能性への関心が高まり、スマート家電の需要が増加しています。

スマート家電の市場には、パナソニック、ソニー、シャープ、三菱電機などの日本の大手企業が参入しており、これらの企業は、技術革新を通じて市場をリードしています。

参照:japan smart home appliances market―REPORT OCEAN

家電市場の拡大はECの台頭が要因!その理由を徹底解説

家電市場規模の拡大には、ECの台頭が大きな役割を果たしており、その背景には消費者にとっての利便性が大きく影響しています。

特に「持ち帰らなくて済む」という物理的な負担の解消や、「店舗とECで品質が同じ」という信頼感、さらには「製品の比較検討が簡単」であることが、EC利用を一層促進しています。

これらの要因が相まってEC市場が拡大し、家電市場全体の成長を支えているのです。

以下、これらの要因について詳しく解説します。

持ち帰らなくて済む

家電市場の拡大において、ECの台頭は大きな役割を果たしていますが、その中でも特に「持ち帰らなくて済む」という点が消費者にとって大きな利便性を提供しています。

従来、大型家電製品や重い家電を店舗で購入した場合、購入者自身が持ち帰るのは非常に手間がかかるものでした。

しかしECを利用することで、この持ち帰りの手間が完全に解消されます。

消費者は自宅で簡単に注文し、自宅まで配送してもらえるため、大型家電の購入が非常に手軽になり、これがECでの家電購入を加速させています。

この「持ち帰らなくて済む」という利便性は、特に大型家電や重い製品において顕著であり、ECの利用を一層推進する要因となっています。

ECの成長が家電市場の拡大に寄与している背景には、このような物理的な利便性の向上が大きく関係しています。

参照:

生活家電市場の現状と動向ーECデータラボ

店舗とECで品質が同じ

さらに「店舗とECで品質が同じである」という点も挙げられます。

消費者にとって、家電製品は「型番買い」が可能であり、どの店舗やECサイトで購入しても同じ性能・品質の商品が手に入るという信頼感があります。

これにより消費者は最安値のショップを選びやすく、ECでの購入が進んでいます。

ECでは簡単に価格やサービスを比較できるため、消費者の購買行動がオンラインへとシフトする要因となっています。

参照:生活家電市場の現状と動向ーECデータラボ
家電EC業界のEC化率が今後も伸びる3つの理由―ebisumart Media

製品の比較検討が簡単

ECサイトでは、消費者が家電製品をオンライン上で簡単に比較できる環境が整っており、特に高価格帯のエアコンや冷蔵庫などの購入において、詳細な比較が重要な決め手となることが多いです。

EC間で同一商品の価格や機能の比較が容易であり、これが消費者にとって最良の選択を可能にしています。

この利便性が、家電市場におけるEC化率の高さを支え、EC市場の拡大を促進する重要な要素となっています。

参照:生活家電市場の現状と動向ーECデータラボ

家電市場の市場調査方法を徹底解説

家電の市場規模を効果的に理解し、戦略を立てるためには、さまざまな分析フレームワークが活用されます。

特に、4P分析とSWOT分析は、家電市場の動向や競争状況を把握するために重要なツールです。

これらの分析方法を活用することで、家電市場における競争力を高めるための的確な戦略が導き出せます。

それでは、「4P分析」と「SWOT分析」について、家電市場に関連した具体的な視点から詳しく見ていきましょう。

4P分析

家電の市場規模の拡大を理解するためには、マーケティングの基本フレームワークである4P分析が非常に有効です。

4P分析は、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)の4つの要素に焦点を当てて、市場戦略を立てる際に役立ちます。

以下に、家電市場における4P分析の概要を整理してまとめます。

■製品(Product)

家電市場では、多様なニーズに応えるために製品ラインナップが非常に重要です。

特にスマート家電やエネルギー効率の高い製品は、消費者の関心を引き、需要が高まっています。

製品の革新性や技術的な優位性が、消費者に対する大きなアピールポイントとなっています。

■価格(Price)

高価格帯の製品であっても、消費者が価格に見合った価値を感じるような付加価値を提供することが求められます。

ECサイトでは、価格比較が容易にできるため、消費者は最もコストパフォーマンスの高い選択をする傾向があります。

■流通(Place)

従来の店舗販売に加え、ECサイトを利用することで消費者は持ち帰りの手間を省け、便利に商品を購入できます。

現実的に、オンラインとオフラインの融合を進めた戦略が、消費者の利便性を非常に高めています。

■販売促進(Promotion)

家電市場における販売促進は、消費者に対する製品の認知度を高め、購買意欲を喚起するために不可欠です。

具体的な施策として、クーポン配布やポイントキャンペーン、レビューキャンペーンなどがあり、これらを組み合わせることで、効果的な集客と売上アップを実現します。

参照:4P分析の事例を7つ紹介!MarkeZine
【目的別EC販促事例10選】集客成功と売上アップ施策を一挙紹介!ーReCORE

SWOT分析

SWOT分析は、自社の経営戦略やマーケティング戦略を策定する際に非常に有用なフレームワークです。

家電市場においてもSWOT分析を活用することで、外部環境と内部環境を明確に把握し、競争優位性を確立するための戦略を導き出すことができます。

以下は、家電市場におけるSWOT分析の概要です。

■Strengths(強み)

家電メーカーが持つ強みは、高品質な製品やブランド力、先進技術の活用などが挙げられます。

特に日本の家電メーカーは技術力と信頼性で世界的に評価されており、これが市場での競争優位性を支えています。

■Weaknesses(弱み)

一方で、家電市場における弱みとしては、価格競争の激化や新興国メーカーとの競争が挙げられます。

技術革新が進む中で消費者ニーズに迅速に対応できない場合、市場シェアを失うリスクも存在します。

■Opportunities(機会)

外部環境における機会として、IoTやスマート家電の普及が挙げられます。

消費者のライフスタイルの変化に伴い、エネルギー効率の高い製品やスマートホーム関連の需要が増加しています。

このような新たな市場ニーズに応えることで、成長の機会を掴むことができます。

■Threats(脅威)

脅威としては、価格競争の激化や経済状況の変動、技術革新のスピードがあります。

海外メーカーの台頭や低価格製品の普及は、国内市場における競争をさらに激化させる要因となっています。

参照:SWOT分析とは?分析方法と上手に活用するためのポイントーMarkeZine
上場企業のSWOT分析―DareCon

家電市場の成功事例

家電業界は現在ECの台頭により拡大傾向にあり、売上が頭打ちになっていた家電会社も、ECを効率活用することで販路の拡大をし、売上を伸ばすことに成功しています。

さらに、ただECサイトを開設するだけではなく、ポイント制や口コミ欄を設け、販促効果を促したり、購入する際のミスマッチを減らす取り組みが多く見られます。

ここからは、家電業界で成功した企業をご紹介していきます。

ビックカメラ

コロナ渦では消費者は外出できず、ネットで物を購入するしかありませんでした。

そのため、ビックカメラはECサイトでもビックポイントを利用できるように変化し、これまで実店舗で買っていた顧客をECへと導入することに成功。

ビックカメラは、大衆心理からメリットを汲み取り、元々あるサービスにワンポイント変更を加えることでさらなる売上増加を実現しています。

ヨドバシカメラ

ヨドバシカメラもECサイトで売上増加に成功した企業の一つです。

ヨドバシカメラは家電ECサイトで業界1位を獲得していますが、その秘訣はECのデメリットである到着までの時間と配送料の改善を行ったという部分が革新的でした。

ヨドバシカメラはECサイトで商品を注文してから到着するまでの日数を短縮したり、商品代以外で別途配送料がかかっていたところを無料にし、ユーザーのニーズを的確にとらえて家電ECサイトで1位を獲得しています。                    

家電の市場規模は成長中!今後の戦略の重要性

家電の市場規模は技術革新やECの拡大などに支えられ、安定した成長を続けています。

この成長を理解し効果的な戦略を立てるためには、4P分析やSWOT分析などのフレームワークを活用することが重要です。

これらの分析手法を通じて、製品ラインナップや価格設定、流通戦略、販売促進策を見直すことで、市場における競争力を強化できます。

同時に、外部環境の機会を捉え脅威に備えることで、持続的な成長を実現できるでしょう。

家電市場への参入ならAXIA Marketing

AXIA Marketingでは、家電市場規模のリアルな現状や今後の動向等の情報をご提供し、家電市場への参入を強力にサポートいたします。

豊富な業界経験と専門知識を基に、マーケティング全般に関するご相談にも対応しております。

家電の市場調査ならAXIAマーケティング

サービスの詳細については、こちらをご覧ください。

1時間の無料オンライン相談も承っております
お見積りなどもお気軽にお問い合わせください

今すぐ相談する

【参考文献】

家電製品国内出荷額推移ー一般財団法人 家電製品協会
2022年度の家電需要は出荷金額で4.5%アップの見込みーPR TIMES
大手4社(日立製作所・ソニー・パナソニック・三菱電機)を比較!―ONE CAREER
2024年(1~12月)の家電需要動向ー家電Biz
日本の小型家電市場規模と推移株式分析 – 成長傾向と成長傾向予測ーMordor Intelligence
japan smart home appliances market―REPORT OCEAN
生活家電市場の現状と動向ーECデータラボ
家電EC業界のEC化率が今後も伸びる3つの理由―ebisumart Media
4P分析の事例を7つ紹介!MarkeZine
SWOT分析とは?分析方法と上手に活用するためのポイントーMarkeZine
【目的別EC販促事例10選】集客成功と売上アップ施策を一挙紹介!ーReCORE
上場企業のSWOT分析―DareCon

前の記事を見る コラム一覧に戻る 次の記事を見る
資料請求
無料相談・見積依頼