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市場調査を検討の方必見!

カナダ進出における市場調査の重要性とは?主要産業や経済などの基本情報・進出事例を紹介

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カナダは北米大陸の北部に位置し、ロシアに次ぐ面積を誇る広大な国です。豊かな森林資源や鉱物資源を有する資源大国でありながら、近年は再生可能エネルギーの利用も進んでおり、持続可能な発展を目指しています。

先進国の中でも治安が良く、教育水準が高いことから留学先としても人気です。日本との経済的な結びつきは年々深まっており、進出先として注目を集めています。

豊富な資源と充実したビジネス環境を持つ一方で、地域による文化的な多様性が大きいことから、進出にあたっては綿密な市場調査が欠かせません

本記事では、カナダへの進出を検討している方のために、次の内容を詳しく解説します。

  • カナダの基本情報
  • カナダ進出において市場調査が必要である理由
  • カナダ市場調査を行う時期
  • カナダ市場調査の方法とメリット・デメリット
  • 企業のカナダ進出の5つのメリット
  • カナダ進出に成功した日系企業の進出事例

本記事が貴社のカナダ進出戦略の立案に向けた一助となれば幸いです。ぜひ最後までお読みください。

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【カナダ市場調査】カナダの基本情報

カナダの前身であるカナダ自治領はイギリスの自治領として4つの州が統合し誕生しました。1931年のウェストミンスター憲章で実質的な独立を果たすも、完全な主権国家となったのは1982年のことです。

カナダの特徴は、豊富な天然資源、高度な教育水準、安定した政治体制です。主要都市であるトロントは国際的な金融センター、バンクーバーはアジア太平洋地域へのゲートウェイとして重要な役割を果たしています。

概要

面積998.5万平方キロメートル
人口4,010万人
首都オタワ
民族ファースト・ネーションズ(先住民インディアン)、メティス(先住民とヨーロッパ人の両方を祖先とする人々)、イヌイット(北極地方の人々)
言語英語、フランス語
宗教国民の半数以上(53.3%)がキリスト教徒(約29.9%がローマ・カトリック)
約3割(34.6%)が無宗教
主要産業金融・保険・不動産などのサービス業、製造業、建設業、鉱業、農林業
カナダ(Canada)基礎データ-外務省
カナダの基礎知識-カナダ教育連盟

経済

カナダは世界第9位のGDPを誇る先進国として、安定した政治体制と健全な金融システムを基盤に発展してきました。

サブプライムローンなどの高リスク商品に対して厳しい規制が敷かれており、リーマンショック時にも主要先進国の中で、最も早く回復しました。堅実な金融システムは国際的に高い評価を受けています。

対外貿易への依存度が高く、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を通じた連携は、カナダ経済の重要な基盤です。近年はアジア太平洋地域との経済関係も深くなっており、貿易相手国の多様化が進んでいます。

カナダは移民に対して開放的な政策をとっており、世界中から優秀な人材を積極的に受け入れています。こうした多文化主義的な姿勢は、イノベーションの促進や経済の活性化に貢献していると言えるでしょう。

主要産業

カナダの主要産業は、豊富な天然資源を活かした資源・エネルギー産業です。石油・天然ガス産業は国の重要な経済基盤を担っています。

製造業では自動車産業が大きなシェアを占めており、日本を含む世界の主要自動車メーカーが生産拠点を構えています。

近年急速に発展しているのがICT産業です。トロント、バンクーバー、モントリオールなどの主要都市にはテック企業が集積し、AI研究開発の分野で世界的な注目を集めています。

金融サービス業も主要産業の一つです。保険、銀行、投資サービスが発達しており、安定した経済成長を支えています。

観光

カナダ観光局は年間観光収入を、2030年までに1,600億カナダドルまで引き上げる新戦略を掲げています。豊富な観光資源への投資期待から、観光業はカナダの産業の中でもとくに注目されています。

世界的に有名なナイアガラの滝は年間数百万人の観光客が訪れる重要な観光スポットです。バンフ国立公園やロッキー山脈は美しい湖や雪山、野生生物など、豊かな自然を求める観光客から高い人気を得ています。

壮大な自然景観を活かした観光業は、今後もカナダ経済の重要な柱であり続けるでしょう。

カナダと日本の関係

1928年以来、カナダと日本は重要な経済パートナーとして、友好関係を築いてきました。

今や日本はアジアの中でも、中国に次ぐ貿易相手国です。カナダからは主に石炭や木材、小麦、菜種などを輸入し、日本は自動車や電機製品などの工業製品を輸出しています。

産業面ではトヨタとホンダが生産拠点を設置するなど、製造業を中心に多くの日本企業がカナダに進出しています。近年は再生可能エネルギーや技術革新分野での協力も盛んです。

多くの自治体が姉妹都市となっていることから、若者の交流や、留学生の相互受け入れも活発です。

カナダ進出において市場調査が必要である理由

世界第2位の国土面積を持つカナダでは、各地域で文化的・法的な特性が大きく異なります。そのため、綿密な市場調査が欠かせません。

たとえばケベック地域はフランス系の文化が発展していますが、オンタリオ地域ではスコットランド・アイルランド系の文化が根付いています。都市によって消費者のニーズや嗜好、購買行動が大きく異なるのです。

また、各州は独自の法規制や取引慣行を敷いており、州によって商品表示や広告に関する規制、環境基準、労働法が異なる場合があります。

カナダ進出を成功に導くには、地域ごとの内情を深く理解するための市場調査が不可欠なのです。

カナダ市場調査を行う時期

カナダ市場調査のタイミングは、事業計画の初期から段階的に実施するのが良いでしょう。

まず、進出前には事業の実現可能性や基本的な方向性の見極めから始めます。政治、経済、社会、技術面での基礎的な調査がメインです。

方向性が固まった段階で、ターゲット市場の選定、競合分析、消費者調査を実施します。カナダは季節変動が大きく、季節によって消費者行動が大きく変化するため、通年で市場動向を把握することが重要です。

最後に具体的な商圏調査や立地選定、規制調査などの実務的な調査を行います。現地パートナーの選定や、必要な許認可の確認も並行して実施します。カナダは州ごとに規制が異なるため、この段階の調査はとくに重要です。

カナダ市場調査の方法とメリット・デメリット

カナダ市場での事業成功には、綿密な市場調査が不可欠であることが理解いただけたと思います。では具体的にどのような方法で市場調査を行えばよいのでしょうか。

今回はカナダの市場調査を行うための、3つの方法をご紹介します。

  • 自社で調査する
  • 支援機関を活用する
  • 民間の調査会社を活用する

それぞれの特徴を見ていきましょう。

自社で調査する

自社調査は、自社で直接カナダを訪問し、競合の視察、消費者インタビュー、商習慣の観察などを行います。

メリット

調査コストを抑制できることに加え、自社の視点や事業特性に基づいて調査できます。また調査過程で得られた知識や経験が社内に蓄積し、将来の事業展開に活かせるかもしれません。

デメリット

専門的な知識や調査経験が不足している場合が多く、調査の質や範囲が限定的になりがちです。現地でのネットワークが少ない状態での調査は、時間と労力がかかる上、最終的にコストがかさむ原因になります。

支援機関を活用する

JETROなどの支援機関では、市場情報の提供、現地企業とのマッチングなどのサービスを提供しています。社内のリソースが限られている場合は、支援機関に協力を依頼するのも有効な手段です。

メリット

公的機関ならではの幅広いネットワークを活用して、信頼性の高い情報が低コストで入手できる点がメリットです。定期的に開催されるセミナーや展示会を通じて、他社の情報も入手できます。

デメリット

提供される情報が一般的・汎用的なので、個別のニーズに対応しきれない場合があります。サービスの利用に時間がかかることもデメリットの一つです。

民間の調査会社を活用する

専門の市場調査会社やコンサルティング会社に調査を委託する方法です。現地に精通した会社に委託することで、細かい競合分析や流通経路の調査などを実施できます。

メリット

専門家による質の高い調査が可能な点です。現地でのネットワークや、客観的なデータに基づく洞察が得られます。自社リソースを他の業務に集中できる点も利点です。

デメリット

調査会社とのコミュニケーションが不足すると、ニーズと調査内容にズレが生じてしまいます。調査結果の解釈や活用においても、慎重に検討する必要があります。

外部への協力や委託を検討する際は、こちらの記事も参考にしてください。

企業のカナダ進出の5つのメリット

日本企業が進出先としてカナダを選ぶことのメリットは、主に次の5つです。

  • 大きな市場へのアクセスの良さ
  • 多くの利点をもたらす市場の多様性
  • 質の高い労働力
  • いくつかの国際貿易協定に加盟
  • 事業運営のコストの低さ

カナダの特徴をしっかりと活かし、有利にビジネスを展開するためにも、それぞれのメリットを詳しく理解しておきましょう。

①大きな市場へのアクセスの良さ

カナダは米国と隣接している上、大西洋を挟んで英国やEU市場にも近いため、大きなマーケットへのアクセスが容易です。

この地理的優位性を活かし、トロント、モントリオール、バンクーバーといった大都市には多くの国際企業が進出しています。

今後グローバルな展開を狙っている企業にとって、カナダは拠点を置くのにふさわしい国と言えるでしょう。

②多くの利点をもたらす市場の多様性

カナダ経済を支える特徴の一つが、豊富な天然資源による市場の多様性です。

たとえばカナダは世界の石油生産量の6%を占めていると同時に、漁業、農業、林業といった産業においても、安定した生産供給を維持しています。そのため特定の産業が低迷した場合でも、補完し合うことでダメージを軽減できるのです。

進出企業にとって、国内経済の影響を受けにくい点は大きな強みと言えるでしょう。

③質の高い労働力

カナダは、OECD学習到達度調査(PISA)でも常に上位にランクされ、高等教育を受けた市民の割合が非常に高い国として知られています。

加えて政府は移民政策により、世界中から優秀な人材を受け入れており、多言語対応が可能な人材も豊富です。産学連携が活発で、トロント大学、ブリティッシュコロンビア大学、ウォータールー大学といった有名大学では企業のニーズに合わせた人材育成も行われています。

労働者の定着率も比較的高く、長期的な人材育成が可能な環境が整っています。これらの特徴は、進出する企業にとって魅力的なポイントです。

④いくつかの国際貿易協定に加盟

カナダはG7諸国のすべての国と貿易協定を結んでいる唯一の国であり、グローバル展開を視野に入れている企業において、大きな利点です。

カナダが各国と結んでいる代表的な協定は次のとおりです。

  • 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)
  • カナダ・EU包括的経済貿易協定(CETA)
  • 環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)

これらの協定により関税の削減や知的財産権の保護を実現し、貿易における優位性を確保しています。

⑤事業運営のコストの低さ

カナダ進出を後押しするのが事業運営コストの低さです。

カナダの連邦法人税率は15%と主要先進国の中でも低水準に設定されており、実効税率も多くの州で低く抑えられています。公的医療保険制度により、企業の従業員健康保険負担が比較的軽減されているのも特徴です。

政府は科学研究実験開発(SR&ED)税額控除プログラムを提供しており、R&D関連支出に対して税額控除を受けられます。

これらの要因により、長期的な事業運営における収益性の確保が期待できます。

カナダ進出に成功した日系企業の進出事例

財務省の調査によると、2024年10月時点で、カナダに在留する日本人の数は75,112人、日本企業の拠点は982箇所と報告されています。

カナダに進出している日系企業の中から、今回はとくに成功を収めた3つの企業をご紹介します。

  • 任天堂
  • WHILL
  • ホンダ

これらの企業はどのようにしてカナダ市場へ進出したのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

任天堂

任天堂はカナダのゲーム開発会社ネクスト・レベル・ゲームズ(NLG)を子会社化し、北米市場での開発力と競争力の強化に成功しました。

NLGは2005年から任天堂向けのゲーム開発に携わり、2019年には「ルイージマンション3」の開発を担当。同作品は2020年9月末時点で783万本の売上を記録し、任天堂の人気タイトルの一つとなっています。

現地企業の子会社化という戦略が、カナダ市場での成功につながりました。

WHILL

電動モビリティのスタートアップ企業WHILL株式会社は、2022年12月、ウィニペグ国際空港に自動運転サービスを正式に導入しました。

タッチパネル操作だけで搭乗口まで移動できるこのサービスは、利用者の利便性向上に加え、スタッフの負担軽減も期待されています。

WHILLはカナダでの成功を足がかりに、世界中の空港での快適な移動環境の実現を目指しています。

ホンダ

1986年からカナダで自動車の生産/販売を行っているホンダは、2024年に北米市場でのEV供給体制を強化する計画を発表しました。

オンタリオ州アリストンに年間最大24万台の生産能力を持つEV専用工場、およびバッテリー工場を建設し、総投資額は約150億カナダドル(約1兆7,250億円)に上る予定です。

北米市場のEV市場攻略を目指すホンダは、今後もカナダと日本の経済連携の中心的存在として、成長が見込まれます。

カナダへの進出を考えるなら市場調査は必須

今回はカナダ進出における市場調査の重要性や、カナダに進出するメリットをご紹介しました。

カナダは豊富な資源や人材レベルの高さから、進出先として注目を集める一方、地域ごとに市場の特徴が大きく異なるため、綿密な市場調査が欠かせません

しかし、市場の多様性を読み解き、自社にとって本当に必要な情報を収集するには、自社内での調査や支援機関を活用するだけでは不十分です。

カナダの市場調査ならAXIA Marketing

AXIA Marketingは、カナダの市場特性の分析や、先行している競合のリサーチ、新製品のマーケット評価など、さまざまな進出準備をご支援します。

年間200件以上のインタビュー実績のある専門家が、現地の声を収集し、公開情報では得られない生の情報をご提供します。

サービスの詳細については、こちらをご覧ください。

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参考文献

カナダの市場調査 ーSIS International Research

海外市場調査の基本は?費用相場など徹底解説ーBeeCruise株式会社

カナダってどんな国?~天然資源、観光資源に恵まれた経済大国~ーわらしべ瓦版(かわらばん)

カナダ基礎データー外務省

カナダの基礎知識-カナダ教育連盟

日加関係ーGovernment of Canada

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カナダ進出のメリットと課題ーG-P

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カナダ(主にバンクーバー周辺)におけるライフスタイル分野(日用品)市場調査(カナダ・トロント発) | 海外発トレンドレポート – 海外ビジネス情報ージェトロ

バンクーバーの市場調査 | SIS インターナショナル リサーチ

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ホンダ、カナダ・オンタリオ州でEV工場建設の計画発表(日本、カナダ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュースージェトロ

ホンダ、カナダに電気自動車新工場 電池含め1.7兆円投資ー日本経済新聞

<プレスリリース>国外空港初!ウィニペグ国際空港でWHILL自動運転サービスが実用化 | 次世代型電動車椅子 近距離モビリティーWHILL公式

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