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2024.06.30
記事の監修者
金田大樹
AXIA Marketing代表取締役
リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
韓国市場への進出を検討している日本企業にとって、的確な市場調査は成功の鍵となります。隣国である韓国に多くの日本企業が進出を図っているのは、日本から地理的に近く、文化的な共通点も多いためです。
しかし、韓国独自の市場特性や消費者行動を理解せずに進出することは、大きなリスクを伴います。韓国の市場調査においては、基本的な経済データから消費者の嗜好、競合状況まで幅広い情報収集が必要です。
特に、韓国の主要産業である電子機器、自動車、化粧品業界では、激しい競争が展開されており、参入時期やポジショニングが明暗を分けると言っても過言ではありません。本記事では、韓国市場調査の基本から具体的な手法、成功事例まで詳しく解説していきます。
韓国市場を理解するには、まず国の基本情報を押さえることが欠かせません。韓国は朝鮮半島の南部に位置し、国土は約10万平方キロメートルで日本の約4分の1ほどの規模です。人口は約5,156万人で、その約半数が首都ソウルと周辺地域に集中しています。
宗教は仏教、プロテスタント、カトリックが主流で、多様な信仰が共存しています。国の経済を支えとなる産業面で輸出入の中心となるのは、電子機器や自動車、鉄鋼、造船、石油化学です。
輸出先は中国や米国、ベトナム、日本など、輸入元も中国や米国、日本、オーストラリアが主要な相手国となっています。
2024年の韓国経済は緩やかに成長しており、2024年1月に韓国銀行が発表したデータによると、年間を通じてのGDPは2.0%で前年比で1.4%増加しました。
比較的低い成長率に止まった要因は、主に民間消費の停滞、情報技術部門の需要減退、継続する高金利と物価上昇の影響が考えられます。
韓国銀行は2023年の後半から見られる輸出の回復が、景気回復に繋がると予想していました。しかし韓国銀行の2025年の実質GDP成長率予測は0.9%です。韓国政府も、2024年の実質GDP成長率は0.9%、2026年は1.8%と予測しています。と
しかし、国際経済の不確実性と貿易環境の変動に直面している現在、これらの目標が達成されるとは言い切れません。特に世界経済の動向や国際市場における競争激化は、韓国の輸出目標に大きな影響を与えるでしょう。
韓国の2024年の出生率は0.75となり、2023年の0.72を0.03上回り9年ぶりに上昇しました。
少子化が懸念される日本の出生率1.15(2024年)を大きく下回っています。
2024年に生まれた子供数は23万8,300人で、2023年よりも8,300人増加しました。出生数と死亡数の差で表される「自然増減」は12万人減となり、5年連続で人口が減少しています。
2015年以降も出生率が低下し続けている背景には、長期的な経済停滞や高い教育・住宅費、働く女性を支援する制度不足が挙げられます。
韓国では1980年代に『少なく産んでよく育てよう』という家族計画キャンペーンが進められましたが、中国のような一人っ子政策は実施されていません。
こうした過去の人口抑制政策の影響に加え、若年層の不安定な雇用状況も少子化を加速させる要因となっています。
その他、2012年以降の経済成長率2%前後という長期的な低成長が続いたことも要因の一つです。若者の失業率や非正規労働者の割合の増加に繋がり、少なからず出生率にマイナスの影響を与えていると見られています。
韓国市場調査を効果的に実施するためには、複数の手法を組み合わせたアプローチが必要です。主な調査方法として、インターネット調査、支援機関・調査会社の活用、専門家へのヒアリングの3つが挙げられます。
それぞれの特徴と活用法について詳しく見ていきましょう。インターネット調査は最も手軽で費用対効果の高い方法として知られています。韓国のインターネット普及率は95%を超えており、オンラインでのデータ収集が非常に有効です。
特にソーシャルメディアやECサイトでの消費者行動分析、検索トレンドの把握などができます。ただし、情報の信頼性やバイアスの存在については十分に注意しましょう。支援機関や専門の調査会社を活用することで、より専門性の高い分析結果を得られます。
JETRO(日本貿易振興機構)や現地の調査会社は、業界特化型の詳細なレポートや競合分析を提供してくれます。コストは高くなりますが、戦略策定に直結する価値の高い情報を取得できるところがメリットです。
専門家へのヒアリングは、現地のビジネス慣習や文化的な面まで含めた深い洞察を得られるため、長期的な事業展開を考える企業にとって非常に有益な手法となるでしょう。
市場調査は大きく定量調査と定性調査の2つのアプローチに分類されます。韓国市場において効果的な調査を実施するためには、両方の手法を適切に組み合わせることが重要です。調査の目的や予算、時間的制約を考慮しながら、最適な手法を選択する必要があります。
定量調査は、アンケート調査やオンラインでの調査などを使用し、数値データを集めて分析する調査方法です。
大規模なデータを集めて、消費者の購買行動やブランドの認知度などを統計的に分析します。数量や割合で明確に示せるため、説得力があることが特徴です。
定性調査は、デプスインタビューやフォーカスグループインタビューなどを通して、消費者の心理や価値観を深掘りする方法です。
近年では、SNSやモバイルアプリなどを利用した、リアルタイムでのデジタルリサーチが普及しています。特に、若年層の動向を効率良く把握できると考えられます。
韓国の消費者は独自の購買行動を示すことで知られています。特に新技術や流行への反応が早く、「パリパリ文化」と呼ばれるせっかちな気質が商品サイクルを短くする要因です。
さらに品質重視の傾向が強く、価格より性能や効果を優先する傾向が見られます。美容・健康関連商品では成分や効能に敏感で、詳しい情報が購入判断を左右します。
SNSや口コミの影響力も絶大で、インフルエンサーマーケティングが大きな効果を発揮します。加えて、見た目や「映え」を意識した購買や、旧正月や秋夕に代表される贈答文化も市場の特徴です。
韓国の少子高齢化は日本よりも深刻で、労働力の減少や社会保障負担の増加は、今後より深刻な社会課題として顕在化されることが予想されます。
数少ない若年層は、オンラインショッピングやモバイル決済を積極的に利用し、ファッションやモバイル等への支出が主な消費行動です。中高年層は健康関連商品や旅行への関心が高まり、全体的に品質やブランドを重視する消費傾向が見られます。
今後、企業は人口減少と高齢化を念頭に置いて、ターゲット市場の変化に対応した商品やサービスの提供が求められるでしょう。
韓国では、少子高齢化だけでなく格差社会も深刻です。都市部と地方の間では所得水準に大きな差があり、大企業と中小企業の所得格差も顕著です。安定した収入を求める若者の公務員、大企業志向はより高まっています。
消費者の支出は住居、教育、食費、交通に多く割かれています。格差社会を見据えた教育費への支出は大きく、子供の教育に力を入れる家庭が多いです。
また、スマートフォンや家電製品などのテクノロジー製品にも高い関心があり、購買意欲の高さも特徴的です。その他、健康や美容関連の支出も増加しています。
韓国の若者はトレンドに敏感で、ファッションや美容に対する関心が高いです。K-POPや韓流ドラマの影響もあり、エンターテインメントの消費が盛んです。また、食に対するこだわりも強く、新しい食体験を求める傾向があります。
都市部では、若者を中心にカフェ文化が発展しており、国民にとって友人や同僚と過ごす時間はとても大切です。健康志向が強まり、フィットネスやヨガなどの運動習慣も増えています。
デジタルデバイスの普及により、オンラインショッピングやデジタルコンテンツの消費はますます盛んです。全体的に見ると、韓国国民は流行に敏感でありつつも健康とライフバランスを重視した生活を送っています。
韓国で事業を展開するには、現地特有の法制度や規制を把握することが欠かせません。とりわけデジタル関連や個人情報保護のルールは改正が頻繁なため、事前調査と専門家の助言が必須です。
投資や会社運営では外国人投資促進法や商法の理解が求められ、労働基準法も日本と異なる点が多いため、勤務時間や解雇規定に注意しなければなりません。
税制では法人税や付加価値税の仕組みが日本と大きく違うため、税理士との連携が重要です。さらにEPAや原産地規則の把握、中国・ASEANとの取引を見据えた競争力強化も不可欠です。加えて環境規制やESGへの対応も今後の成功要因となります。
韓国は、アジアの中でも特にスマートフォンやWi-Fi環境が整っています。公共の場でインターネットを利用しやすい環境が整っているため、世界でも注目を集めているのです。
特に、韓国の独自のWebサービスのひとつとして、「政府24」というものがあります。「政府24」では、住民登録書や土地台帳、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書など、さまざまな書類をオンラインで取得することが可能です。
また、転入や転出、妊娠、出産などのライフステージに応じた手続きを管理できるサービスも提供されています。こういった韓国独自のWebサービスは、OECD加盟国の中でも「デジタル政府指数」や「開かれた政府」において高評価を集めています。
企業はWebサービスを活用することで、顧客との接点を増やしたり、ビジネスの効率を向上させたりするなど、大きなチャンスを獲得できるでしょう。
韓国市場への進出に際して、ビジネスに関係する法律は重要です。まず、外国企業は韓国の法律に基づき会社設立登録を行う必要があります。税制では法人税や付加価値税(VAT)が適用され、税務コンプライアンスの順守が求められます。
その他、労働時間、最低賃金、労働者の権利に関する厳格な規定が定められており、雇用契約の遵守が不可欠です。
特定の業種にはライセンス取得や規制遵守が求められることがあります。韓国市場で成功するためには、まず韓国国内の法律を理解し、適切な対応をとる必要があります。
韓国でのビジネスに関連する主な税制は、法人税と付加価値税(VAT)、関税です。法人税は日本と同じく累進課税制度で、税率は11%から25.2%です。様々な控除・税額軽減措置が設けられています。
付加価値税(VAT)は日本で言うところの消費税です。標準税率は10%で、輸出品には免税が適用されるケースもあります。関税は個人の輸入品に対して適用され、製品の種類によって税率はまちまちです。
韓国の労働規制は労働者の権利保護に重点を置いています。労働基準法にて定められた労働時間の上限は週52時間です。
超過勤務には追加賃金が支払われ、情勢に合わせた最低賃金の見直しも頻繁です。解雇には正当な理由が必要で、事前に通知しなければなりません。
また、雇用形態にかかわらず、社会保険への加入が義務付けられており、労働者の福祉が守られています。企業はこれらの規制を遵守し、労働環境の整備に努めることが求められます。
輸出主導型経済を支えるための貿易政策は韓国にとってとても重要です。韓国政府は自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進し、多くの国とFTAを結んで貿易の障壁を低くしています。
韓国製品の競争力の高さは、国際市場でのアクセスの良さと言っても大げさではありません。また、自由貿易を推進する一方で、関税制度や非関税障壁の管理を通じて、国内産業の保護と成長を図っています。
オープンな市場と一定の制限により、韓国はグローバルな貿易環境で有利な立場を築いています。
韓国の経済基盤を形作る産業は幅広いですが、中でも電子機器、自動車、鉄鋼、石油化学、造船が主要分野です。輸出の中心を担うだけでなく、世界市場で高い評価を得ています。
さらに近年は、ITやソフトウェア、バイオ分野、再生可能エネルギーなど新産業の台頭も目立ちます。サムスン電子は半導体やスマートフォンで世界を牽引し、LG電子も家電や車載ディスプレイで存在感を示しています。
自動車では現代自動車グループが環境対応技術で注目を集め、造船業では大規模LNG船や海洋設備の分野で韓国企業が優位性を発揮する存在と言えるでしょう。
韓国の化粧品業界は「K-Beauty」として国際的に知られ、急成長を遂げた分野の一つです。天然由来の成分と先端技術を融合させた高機能アイテムが強みで、特にスキンケアではBBクリームやクッションファンデ、シートマスクなどが世界的な定番となりました。
背景にはK-POPやドラマと連動した巧みなプロモーションがあり、人気アイドルや俳優の愛用品として注目されることで市場拡大に弾みがついています。また、男性の化粧品利用も増え、性別にとらわれない美容文化が根付いている点も特徴です。
さらに、低価格帯から高級ラインまで幅広く展開し、多様なニーズに対応できます。SNSやライブ配信を活用した販売戦略にも積極的で、YouTubeやInstagramを通じたインフルエンサーの影響力が購買に直結しています。
こうした要因により、2024年の化粧品輸出額は、過去最高の102億ドルを記録しました。同国を代表する輸出産業へと成長しています。
韓国のファッション産業は、独自のスタイルとトレンドを世界に発信しており、特に若者文化の影響力が大きいです。K-POPや韓流ドラマの人気が、ファッションのトレンドを牽引しています。
大きな特徴の一つとして、洗練されたデザインとリーズナブルな価格が挙げられます。ストリートファッションから高級ブランド品まで、そのラインナップは多彩です。アクセサリーやコスメと組み合わせたトータルコーディネートも人気ジャンルの一つです。
また、オンラインショッピングの発展により、国内外での購買が容易になり、韓国ブランドはアジアを中心に人気を拡大しています。また、SNSを活用したマーケティング戦略により、トレンドが広まる早さは加速する一方です。
韓国の自動車は世界中で活躍しています。中でも現代自動車と起亜自動車の活躍は目覚ましいものがあります。高品質でデザイン性に優れた車は、世界中の憧れの的です。
韓国製の自動車が好評を得ている理由は、技術革新と安全性能のレベルの高さにあります。電気自動車やハイブリッド車の開発にも注力しており、環境に配慮した車を生産し続けています。
最近では、自動運転技術やコネクテッドカーの分野でも研究開発を進めており、未来のモビリティ産業での競争力は高まる一方です。
韓国のエレクトロニクス産業では、特にサムスン電子とLGエレクトロニクスの活躍が目立ちます。2つの企業はスマートフォンや、テレビ、家電製品などを製造・販売する会社です。
革新的な技術開発とデザインを強みとしており、特にディスプレイ技術や半導体の分野では、常に世界をリードするほどの先進性を持っています。多機能性や利便性は世界のユーザーが評価するところです。
エレクトロニクス産業は、韓国経済の中核をなしており、輸出の大部分を占めています。
世界市場でもシェアを拡大し続けており、技術革新と新製品の開発を通じて、持続的な成長を目指しています。
韓国市場進出において競合分析は成功の鍵を握る重要な要素です。主な分析項目として主要競合企業の詳細調査、市場シェアと競争優位性の評価、SWOT分析による自社の位置づけ確認が挙げられます。
これらの分析を通じて市場の競争構造を正確に把握し、自社の参入戦略を最適化することが可能です。韓国市場は国内企業と外国企業が激しく競争する成熟市場の特徴を持っています。
特に電子機器、自動車、化粧品などの主要産業では世界的な企業が参入しており、高い技術力とブランド力が求められる環境となっています。
新規参入企業は既存企業との差別化戦略を慎重に検討することが必要です。競合分析の結果は単なる情報収集に留まらず、具体的な事業戦略の策定に活用されるべきです。
市場での自社のポジショニング、価格戦略、マーケティング手法、販売チャネルの選択など、すべての意思決定において競合分析の洞察を反映させることで成功確率を高められるでしょう。
韓国の市場は幅広い産業で国内外の企業が競い合うダイナミックな環境を形成しています。電子機器分野ではサムスン電子やLGエレクトロニクスが強い影響力を持つ一方、AppleやXiaomi、Huaweiといった海外勢も積極的にシェア拡大を狙っています。
継続的な研究開発への投資が企業成長に直結する競争の鍵となるのは、技術革新とブランド力です。
自動車産業では現代自動車と起亜を中心とするグループが国内市場の大半を占めていますが、トヨタやフォルクスワーゲン、BMW、ベンツといった海外メーカーも影響力を持っています。電気自動車の普及が進む中で、価格や品質に加え、新技術への迅速な対応が市場競争のポイントとなっています。
さらに化粧品業界では、アモーレパシフィックやLG生活健康などの国内ブランドが強固な基盤を築く一方、ロレアルやエスティローダー、P&Gといった外資系ブランドも積極的に展開中です。韓国独自の美容文化を理解した製品開発と、消費者の好みに寄り添う戦略が成功の鍵を握っています。
韓国市場は、多様な産業が競争を繰り広げるダイナミックな環境です。特に電子機器、化粧品、自動車産業などでの市場シェアは韓国市場進出を考える時に、非常に重要なポイントとなります。
サムスン電子やLGエレクトロニクスといった大手企業は、革新と技術力でグローバルな競争優位性を保っています。化粧品産業では、K-Beautyの人気により国内外でのシェアを拡大中です。
これらの企業は品質、デザイン、マーケティング戦略において優位性を持ち、国内市場だけでなく国際市場でも強い影響力を持っています。直接の競合にならないとしても、大企業が生み出すトレンドは抑えておかなければいけません。
SWOT分析は、企業が事業戦略を考える際に幅広く利用される代表的なフレームワークです。
自社の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」と、市場に存在する「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つの観点から整理することで、現状を冷静に把握し、的確な判断材料を得ることができます。
特に韓国市場への進出を計画する企業にとっては、自社が持つ競争力と現地環境を体系的に見極める手段として有効です。強みの分析では、技術力やブランド力、財務的な安定性、人材資源などの内部要素を確認します。
一方、弱みでは現地に関する知識不足や資源面での限界、競合との比較劣位など克服すべき課題を抽出します。機会の視点では、市場拡大の余地、新たな消費トレンド、規制の緩和や技術革新などを見極め、脅威の分析では競合企業の攻勢、規制強化、経済情勢の悪化、為替変動などのリスクを考慮しなければなりません。
これらを総合的に評価することで、韓国市場での最適な進出戦略と事業展開の方向性を導き出せるでしょう。
韓国市場で成功を収めた日本企業の事例として、株式会社ダイオーズ、サイバーステップ株式会社、鳥貴族の3社を紹介します。これらの企業は異なる業界でありながら、それぞれ独自のアプローチで韓国市場での地位を確立しています。
成功事例から学べる点は多岐にわたり、成功要因として共通するのは、現地市場への深い理解と柔軟な事業戦略の実行です。早速、各企業の成功までの道のりを見ていきましょう。
韓国へ進出している日系企業の内訳は約60%が製造業、約40%が非製造業となっています。
そのうち、大企業は6割、中小企業は4割程度です。
北東アジア、ASEANの中で見ると、韓国へ進出している日系企業は、大企業67社、中小企業18社と、13の国や地域の中でも10番目と低くなっています。なお、日系企業が最も進出している国は中国、ついでベトナムです。
韓国に進出している日系企業が、2022年の営業見込み利益を黒字と回答した割合は85.5%です。アジア・オセアニア地域の中では2位のオーストラリアを4%ほど引き離しています。
赤字と答えた企業3.6%まで考慮すると、韓国におけるビジネスの黒字割合が断然トップです。黒字と答えた企業のうち、5割は今後1年〜2年以内の事業拡大を計画しています。韓国の事業成長性と潜在力の高さに魅力を感じている企業が多いようです。
ダイオーズは1969年に創業した歴史のある企業です。1977年には新たなマーケットとしてオフィスサービス事業へ参入し、日本で最初にオフィス向けのコーヒーサービス事業をスタートします。
ウォーターサービス、リサイクルトナー、クリーンケアサービス、カバーオールなどにも事業領域を拡大し、現在では国内屈指のトータルオフィスサービス企業として発展を遂げました。
米国進出に成功したダイオーズは、次の注目マーケットをアジアに定めました。アジア進出には、地元会社との連携が重要と考えたダイオーズは、2000年に合弁により台湾ダイオーズを設立、2004年には上海ダイオーズを設立します。
2005年にはダイオーズ韓国を設立するタイミングで日本貿易振興機構ジェトロの「韓国投資・ビジネスミッション」に参加しています。またとない知遇を得て、韓国進出を成功させました。
その後もインドやベトナムへの進出を進め、アジアでのオフィスサービスにおいて存在感を示しています。
サイバーステップは、自社で開発したオンラインゲームの運営サービスおよびライセンス事業を国内外で展開する会社です。
サイバーステップが開発するゲームは、インタラクティブ性とリアルタイム性にこだわった高い技術とゲーム性を強みとして、一定のユーザーに愛され続けています。
韓国進出を果たしたのは、2001年に開発した3D格闘ゲーム「GetAmped(ゲットアンプド)」によるブランディングでした。
当時からオンラインゲームが盛んだった韓国で本物をリリースすると、アジア圏進出の足掛かりになるという目論見の元、「GetAmped(ゲットアンプド)」はヒットします。
韓国ではじめに火がついた後は、アジア圏を中心に順調にライセンスを拡大することができました。
日本の焼き鳥チェーンである鳥貴族は、2024年9月に韓国へ進出しました。初めて出店した場所は弘大地区で、日本とほとんど同じ価格設定です。
韓国では、高級店とリーズナブルな価格のお店の二極化が進んでいます。リーズナブルな市場の中で、「焼き鳥」というジャンルが空いていることを利用して韓国へ進出し、成功をおさめました。
韓国での事業展開には、企業の規模や目的に応じて複数の進出方法があります。代表的な形態には、駐在員事務所、支店、現地法人、合弁会社があり、それぞれに利点と注意点を考慮しなければなりません。
駐在員事務所は市場調査などに特化し、費用を抑えて設立できる反面、営業活動が制限されます。支店は本社の一部として営業可能ですが、リスクとして親会社が無限責任を負うということです。
現地法人は独立性が高く、税制上の優遇を受けられる場合もあり、本格進出に適しています。合弁は現地企業との協力で販売網やノウハウを活用できるのが強みです。
韓国市場での成功を実現するには、綿密な市場調査に基づいた戦略的なマーケティングアプローチが不可欠です。市場参入戦略、ブランド戦略、広告とプロモーション、デジタルマーケティングの4つの要素を統合した包括的なマーケティング戦略の構築が求められます。
韓国の消費者特性と市場環境を深く理解し、現地に最適化されたアプローチを展開することが成功への鍵です。市場参入戦略では段階的なアプローチが効果的とされています。
まず限定的な地域や顧客層でテストマーケティングを実施し、その結果を基に本格展開の戦略を策定します。
ブランド戦略においては韓国の文化的背景と価値観を理解したブランドイメージの構築が重要であり、現地消費者との感情的なつながりを重視したメッセージ開発が肝心です。
広告とプロモーションでは韓国特有のメディア環境と消費者の情報接触行動を踏まえた戦略を練らなければなりません。
デジタルマーケティングにおいてはNAVER、KakaoTalk、YouTubeなどの主要プラットフォームを活用し、インフルエンサーマーケティングやソーシャルメディア戦略を効果的に組み合わせることで、ターゲット顧客へのリーチと認知度向上が期待できるでしょう。
韓国市場参入のための戦略には、現地ニーズの徹底的な理解と適応が重要です。まず、消費者の嗜好や文化的背景を考慮した商品・サービスのローカライズが鍵となります。
現地パートナーとの提携や合弁事業を通じて、ネットワークを活用し市場へのアクセスを強化する活動も重要です。デジタルマーケティングやSNSを駆使したブランディング戦略も効果的に機能します。
韓国特有の規制や法律に従うことは前提条件となり、適切な法務・税務対応が求められます。これらの要素を組み合わせて、持続可能な成長を目指すことが成功の鍵です。
韓国市場参入のためのブランディング戦略は、現地の文化とトレンドを深く理解し、共感を得ることから始まります。まず、韓国の消費者が重視する品質やデザインにフォーカスし、製品の差別化を図ります。
K-カルチャーやK-ビューティーなどの流行を活用し、ブランドストーリーを構築することも大切です。SNSやインフルエンサーを活用したプロモーションは、ブランド認知を高める効果があります。
現地のニーズに応じたコンテンツ提供と、顧客とのエンゲージメントの強化はより良いブランディング効果をもたらすでしょう。ローカライズしたアプローチで、ブランドの信頼性と魅力を高めることが成功の鍵となります。
広告とプロモーション戦略は、デジタルメディアの活用がポイントです。SNSやインフルエンサーを通じて、ターゲット層にリーチし、認知度を高めます。
特に、若年層をターゲットにする場合、InstagramやTikTokなどのプラットフォームは大いに活躍してくれるでしょう。K-POPや韓国ドラマとのタイアップやコラボレーションを通じて、ブランドの親和性を高めることも有効です。
韓国の文化やトレンドに沿ったキャンペーンを展開し、現地の消費者との共感を築くことで、持続的なブランドロイヤルティを確立することができます。
デジタルマーケティングをうまく機能させるには、現地のデジタルトレンドを活用することが重要です。まず、KakaoやNaverなどのプラットフォームを利用し、SEOやコンテンツマーケティングを行います。
SNSでは、InstagramやTikTokを活用してビジュアルコンテンツの発信を効果的に実践しましょう。インフルエンサーとのコラボレーションは、ターゲット層への認知度向上に寄与します。
また、韓国特有のモバイル決済やショッピングアプリを通じて、消費者の購買体験を向上させることも大切です。
現在の日韓関係では、両国の企業が技術協力の関係を深めており、観光業と文化交流も盛んになりつつあります。今も昔も韓国は日本にとって重要なビジネスパートナーであることに変わりはありません。
海外市場の調査実績が豊富で、現地の文化的背景と消費者行動を深く理解した専門スタッフが所属するAXIA Marketingが、貴社の事業展開を支援します。定量調査から定性調査まで、多様な調査手法を駆使して正確な市場情報を収集し、戦略的な意思決定に必要な洞察を提供します。
韓国での市場調査サービスをお考えの企業や韓国への進出にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。公式サイトより提供サービスの詳細をご覧いただけます。
参考文献
・韓国 | アジア – 国・地域別に見る – JETRO
・2021年度海外進出日系企業実態調査韓国編- JETRO
・コリアインサイト 人口構造の変化による消費パターンの変容 -ゼロから学べるアイザワ投資大学
・最先端ライフスタイルショップで韓国のトレンドが丸わかり!(FRaU) -FRaU
・主要韓国企業の現在地と展望(韓国) – JETRO
・大韓民国基礎データ-外務省
・韓国における市場調査 – SISインターナショナルリサーチ
・韓国における商標を対象にした企業動向調査 – 一般財団法人カケンテストセンター
・韓国の法律と表示 – 一般財団法人カケンテストセンター
・外資に関する規制 | 韓国 – アジア – 国・地域別に見る – JETRO
・韓国進出【決定版】-利用実績20,000社の「Digima〜出島〜」
・BtoB領域における韓国市場参入のあり方-MarketOne
・ジェトロ活用事例 – 韓国へ進出 – ジェトロ
・韓国の市場調査の方法とは?特色、成功戦略を解説-MACROMILL
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