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【インドの市場調査】進出前にしておくべき現地のビジネス動向や消費者ニーズ

インドの市場調査

インドの人口(14億2860万人)は、2023年に中国(14億2570万人)を抜いて世界一になりました。

今後は日本を抜き世界3位の経済大国になるといわれており、中国からインドへと拠点を移す企業も多く、国内市場の縮小に悩む日本企業も乗り出しています。

日本貿易振興機構「海外進出日系企業実態調査」によると、2023年度は在インド日系企業の約7割が黒字を確保し、約76%の企業が今後1~2年間で事業を拡大する計画をしています。

この記事では、インド市場進出を検討している企業が把握しておくべき情報や注意点を網羅的に解説しています。

記事を通じて、インド市場の基礎情報の理解と具体的な進出戦略に役立てることで、現地でのビジネス成功につなげてください。

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インド市場の特徴

インド市場には以下の特徴があります。
・世界1位の人口大国で人口ボーナスは2060年まで続く
・就業率が伸び悩み、離職率が高い
・GDP世界第5位の経済規模で、今後も6%以上成長見込み
・輸出入の最高値を更新しているものの貿易赤字は拡大

以下からは、こうしたインド市場の特徴についてより詳しく解説していきます。

世界1位の人口大国で、世界第2位の英語話者を抱える

国連の統計データによると、2023年にインドの人口(14億2860万人)が中国(14億2570万人)を抜いて世界一になりました。

インドの公用語はヒンディー語ですが、準公用語が英語となっており人口の10%が英語話者です。

インドは多民族国家のため所説ありますが260言語で溢れており、使用人口がもっとも多いヒンドゥー語は2億人以上が使用しています。

2060年まで続く人口ボーナス

これまで人口世界一位だった中国が減少に転じる一方で、インドは2060年中頃まで人口増加が続く見込みです。

内務省の標本登録制度統計(SRS)報告によると、日本の平均年齢が48.4歳(2023年時点)に対し、インドは28.2歳で日本とインドの平均年齢差は20歳です。

人口ボーナス期は個人消費が活発になることに加え、高齢者が少なく社会保障費が抑えられるため、経済成長も上向きになります。

中国に対する地政学・経済安定保障リスクがある中、代替国としてインドが注目されており、新興国の新リーダーとしての存在感を増しています。

就業率が伸び悩み、離職率が高い

インドは14歳以下の若年層が人口の約25%を占める「若者大国」で、労働力人口(15歳~64歳)が9億6000万人に達している一方、労働参加率は40%台半ばであり、主要アジア諸国の90%超に比べて低水準です。

労働力人口の増加に見合った雇用の創出が緊急課題で、雇用が不足した状態で人口が増加すると、飢餓の深刻化やスラム人口の増加などの貧困問題悪化に繋がります。

さらにインドの離職率の高さも深刻化しています。
2021年度に25歳以下の大学学部卒業生の42.3%が失業状態で、25~29歳の大卒者の失業率も22.8%に達し若年層の失業問題が深刻化しています。

出典:人口動態からみたインドの成長性

労働者の平均月収

インドにおいての給与は製造業の平均賃金が上昇しており、前年比15~21%と上昇幅が非常に大きくなっています。

月額の平均基本給は以下の通りです。※1ドル=約157円で換算
・製造業:188~1,034ドル(29,257~160,917円)
・非製造業:520~1,274ドル(80,925~198,267円)

転職では、求職者に前職給の2~3割増の給与を提示する企業もあり、好調なインド経済を受けて今後の昇給率も引き続き高い水準で推移することが見込まれています。

出典:世界各国の平均賃金

GDP世界第5位の経済規模で、今後も6%以上の成長見込み

2023年国際協力銀行が行った調査|投資有望国ランキングで2年連続第1位のインドに対し、有望国に挙げた企業のうち45.8%が実際の事業計画があると考えています。

世界のGDPシェアでは、2026年にはG7を抜き40%超になる見込みです。

インド国内の平均年齢28歳という若さと、賃金水準・豊富なIT人材、生産連動補助金による製造支援、増加する中間所得層の消費拡大などから、インドが注目されています。

輸出入の最高値を更新し、貿易赤字が拡大

インドの貿易収支は、2020年6月以降大幅な輸入超過による貿易赤字が課題となっています。

2022年の貿易は、前年比14.6%増の約4,532億ドル、輸入は25.7%増の約7,202億ドルとなり、ともに過去最高を記録した一方で、貿易収支は約2,669億ドルの赤字となり、赤字幅は前年比1.5倍に拡大しています。

輸出入ともに、石油製品が全体の3割を占め拡大傾向にあるものの、輸入が上回っていることが背景にあります。

輸出においては地政学的緊張が高まるなど、世界的な逆風の中でもプラス成長となり受注が拡大していることから、今後はより速い成長が期待できると見られています。

インドの主要産業

インドの経済構造の代表的な産業は、農業・工業・IT産業です。

広大なインド国土面積は42%が農地で、労働者の約半分が農業に従事しています。

また、インドの自動車部品産業も成長を続けており、2026年までに世界第3位の製造国になると予測され、インド政府は売り上げ拡大・雇用創出を推進していることからも今後の成長が見込まれます。

さらにインドのシリコンバレーと言われる「バンガロール」には、世界的なIT企業の拠点を有しており国際的なIT戦略策定・研究開発が行われています。

出典:インド基礎データ|外務省

各産業の就業者比率

インドの国内総生産(GDP)に特に貢献している産業が製造業です。

2023年のGDP産業部門別の粗付加価値成長率では、「製造」(11.6%増)、「建設」(9.5%増)、「電力・ガス・水道」(9.0%増)など、第二次産業の各部門が好調でした。

内閣府の調査による就業者比率をみてみると、第1次産業〔農業、林業、漁業〕は44.0%、第2次産業〔鉱業、建設業、製造業〕は25.3%、第3次産業〔電 気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業、飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業、公 務(他に分類されないもの)〕は30.7%でした。

就業者の農業部門における滞留が、マクロ経済の生産性の改善を停滞させる可能性があると見られており、農業改革・雇用の流動化を進めていく必要性が示唆されています。

出典:インド、2023年度第3四半期のGDP成長率は8.4%(インド) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

インドに進出している日本企業の数・推移

日本貿易振興機構「海外進出日系企業実態調査」によると、2023年度は在インド日系企業の約7割が黒字を確保し、約76%の企業が今後1~2年間で事業を拡大する計画をしています。

インドに進出している日本企業の数は年々増加傾向にあり2022年時点で1,400社に達し、インドは日本企業にとって重要な進出国となっていることがわかります。

国際協力銀行の2023年調査「日本企業が進出したい国」第1位に選ばれたインドには、投票した企業の45.8%が実際の事業計画があると回答している事実から、今後も有望な進出先とされていることが伺えます。

実際に進出している日本企業の事例

インド市場で成功を収めている日本企業の事例として製造業を取り上げます。

輸送用機器事業を行うスズキは、日本では旧式設計となった安価な小型車を販売することで、インド自動車市場にて実績を残してきました。

パナソニックは、自社買収した「サンヨー(三洋)」を復活させ、液晶テレビやスマートフォンを販売し、堅調な売上を記録しています。

一方、中小企業に対してインド政府が日系企業の進出支援に乗り出し、インド大使館内に「中小企業促進室」を設置しました。

従業員数262名の株式会社MORESCOは、自動車に使われる特殊潤滑油を主要製品とし、潜在需要が大きいインドで市場開拓を開始しています。

こうした企業事例から、インドへの進出成功の鍵は、市場のニーズと嗜好を理解し現地文化・経済状況に適応すべきということがわかります。

出典:株式会社MORESCO:海外進出で事業拡大 | ジェトロ活用事例

日系企業数は減少、拠点数は増加

2022年の全インドにおいての日系企業数は1,400社で、前年の1,439社と比較して39社の微減しています。

一方全インドの日系企業拠点数は4,901拠点で、前年の4,709拠点と比較して111拠点増加しています。

コロナ禍の影響で事務所の閉鎖、合併・日系資本撤退などの企業の再編、拠点統廃合があったことで企業数が減少する一方、既存企業の新規拠点設立により拠点数が増加しました。

インド内地域別の傾向としては、ラジャスタン州、カルナータカ州で日系企業数が増加し、ハリヤナ州、マハーラーシュトラ州などでは減少しています。

出典:インド進出日系企業リスト2022

インドで調査をする際に必ず押さえるべき調査項目

インド市場に参入する際、多角的かつ専門的な市場調査が必要です。
意味のある結果を出すためには、エビデンスに基づいた調査項目を事前に設定する必要があります。
下記は私たちが調査を行う際に用いている項目の一例になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
※例として、自動車部品に関する調査を取り上げております。

市場規模と成長率

・インドの自動車部品市場の現在の市場規模と過去数年間の成長率を調査します。
・将来の市場成長予測を含め、成長を裏付ける要因を掘り下げます。

消費者動向

・インドの消費者から人気のメーカーや車種の部品・原材料を調査します。
・乗用車・二輪・三輪車・電気自動車(EV)への関心など、消費者の価値観や動向を分析します。

競合分析

・インド市場における自動車部品メーカーのシェアと企業を特定します。
・競合他社のラインナップ、価格戦略、機能、目的、マーケティング戦略を分析します。

販売チャネル

・自動車部品が販売されている主要なチャネル(代理店・ディーラー等)を調査します。
・各販売チャネルの市場シェアやポテンシャルを分析・評価します。

製品カテゴリーと付加価値

・市場で人気のあるメーカー・車種の部品カテゴリー(エンジン・車体・操縦装置等)を特定します。
・新商品や定番商品などの、どういった要素が顧客に人気なのか潜在ニーズを分析します。

規制と政策

・インドにおける自動車の安全基準規制や自動車製品に関する特定の法律、政策を調査します。
・輸入製品に対する関税や規制など、市場への進出障壁になり得る政策を分析します。

文化的要因

・インドの文化や伝統が自動車の利用にどのように影響しているかを分析します。
・宗教大祭における自動車の利用など多民族国家インドでの利用について調査します。

SWOT分析

・Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の観点から、市場全体を分析します。

上記の観点で抜け漏れなく調査を行うことが非常に重要になりますが、その際には適切な調査手法を用いることが求められます。

インド市場進出における注意点

インド市場に進出する際には、以下の注意点を意識する必要があります。
・人手不足深刻化により高騰する人件費
・多民族・宗教の障壁
・煩雑な税制・政務手続き
・高い離職率
・金利の連続引き上げ・インフレ

以上の点を踏まえ、インド市場への理解を深めなければ、インド市場への進出は難しいです。
この5つの注意点それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

人手不足深刻化により高騰する人件費

インドは14億人超の人口大国で、中間層の拡大に伴う巨大な国内市場を持ちますが、人口増加に対する雇用の確保および人口増大に伴う旺盛な内需拡大に製造業が追いついていない現状があります。

インド政府は新規雇用の創出等を目的として、GDPのうち製造業が占める割合を現在の15%から将来的に25%にまで引き上げる目標を掲げ、国内製造業の振興を進めています。

また、優秀な人材ほど勤続年数が短く、短期間での転職を繰り返すジョブホッピングがインドでは一般的です。
そのため、離職率が高く人件費が高騰する原因となっています。

出典:メイク・イン・インディアの成果に夜明け?(インド) | 地域・分析レポート

多民族・宗教の障壁

インドには、ヒンドゥー・ムスリム・キリスト・仏教など多様な教徒・宗教が共存してるため、ヒンディー語・ベンガル語・テルグ語、マラヤーラム語など複数の言語が話されています。

多数の州で構成されているインドは、「民族」「宗教」「言語」が異なるため、ビジネスの管轄も障壁があるでしょう。

具体的には、宗教的慣習が異なり、消費者の購買行動が変化したり、ビジネスの営業時間が短縮されるなど、ビジネス活動に影響を与えます。

出典:インドビジネス基礎知識まとめ-インド進出時に知るべき3つの情報 | 海外進出ノウハウ | Digima〜出島〜

煩雑な税制・政務手続き

インドにおける投資環境上のリスクとして税務面での問題点が約70%を占めるほど、税制・政務手続きに課題があります。

インドでは税関職員の権限が強く、通関を巡るトラブルが絶えません。

たとえば、日本・インド包括的経済連携協定を活用した輸入において、申告する関税分類が適切でないとして、関税率がより高い関税分類の適用を主張されたりといった事例があります。

昨今は製品輸入に際し、インド標準規格局(BIS)が定めるインド標準規格認証取得を義務付ける動きが加速し、認証取得には半年以上の期間を要するケースが多く、日系企業のサプライチェーンに影響をもたらす課題となっています。

出典:インドにおける関税制度の概要

高い離職率

インドでは、日系企業の多くが今後1~2年間にかけて、積極的に事業拡大を図る一方、十分な実務経験や専門性を持った人材が不足してきているため人材確保に苦慮しています。

さらに、キャリアアップが望めるため転職を重ねる働き方が一般的に浸透しており、在インド日系企業にとってのビジネス環境上のリスクになっています。

2023年の基本給のベースアップ率は9.7%で、消費者物価上昇率5.5%を上回る水準にもかかわらず転職を望む社内人材の引き留めのため、従業員からの賃金引き上げ要求に応じざるを得ない状況です。

そのため、成果主義の導入・強化やインセンティブ制度の構築などの「人事評価制度の見直し」、在宅勤務制度やフレックスタイム制の導入などの「福利厚生の充実化」などの施策により日系企業も離職率を引き下げる取り組みに着手しています。

出典:離職率引き下げへ、日系企業が取り組み拡大(インド)-ジェトロ

金利の連続引き上げ・インフレ

2022年1月以降、消費者物価上昇率が急上昇し上限値6%を超えて推移したことを受けて、2022年5月からインド準備銀行は段階的に政策金利を引き上げ、物価の安定化を図っています。

在インド日系企業は、原材料費や燃料でのインフレ影響を受けているものの、従来インドのインフレ率は相対的に高く給与も毎年10%程度上がっているため、消費動向への影響は少ないです。

一方で今後金利が上昇する場合、原材料・製品に在庫の積み増しをしているため、キャッシュフローに悪影響が出ると懸念されています。

原材料費などの高騰による価格転嫁については、地場企業との取引において寛容で、物流コストはコロナ禍前の水準より高いことからインフレの影響は限定的であると見られています。

出典:世界一の人口、旺盛な需要が見込まれるインドを自社成長に活かすには ジェトロ

今インド市場進出が特におすすめな業種とは?

現在インド市場への進出が特におすすめな業種は、自動車産業・自動車部品メーカーです。

インド国内の自動車市場も拡大傾向にあり、2023年度の自動車販売台数の中でも乗用車販売は多目的自動車(UV)が好調で、過去最高値を記録しました。

さらに乗用車のシェアトップはマルチ・スズキで、総販売台数が過去最高の200万台超を記録し、2030年までに年間400万台まで増産する目標を掲げ、インド国内での日系メーカーシェア拡大が期待されています。

国民の所得向上・政府による電気自動車(EV)支援策などにより、自動車市場の成長が今後も続くことは間違いないでしょう。

もちろん、上記以外の業種・業界についても成功の可能性は大いにあります。一例として、参考ください。

インド市場調査ならAXIA MARKETING

本記事では、インド市場に進出したい方向けの市場特徴や注意点、政治状況などの重要な情報を詳しく解説しました。

インドは世界人口第一位で今後も人口ボーナスが続くことからあらゆる可能性を秘めた国として魅力的です。

本記事の情報を、貴社の海外事業展開させる上でぜひ役立たせてみてください。
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