金田大樹

記事の監修者

金田大樹

AXIA Marketing代表取締役

リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。

鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。

自動車部品業界は、EV化やカーボンニュートラルへの移行など、世界的な構造変化の真っただ中にあります。日本国内では市場の成熟化が進む一方で、東南アジアやインドなどの新興国では、自動車需要の拡大に伴い部品市場も急速に成長しています。

こうした環境下で自社のグローバル戦略を成功させるには、各国の市場特性や規制、競合状況を的確に把握することが欠かせません。本記事では、自動車部品業界における海外市場調査の進め方と、成功に導くための7つのポイントを具体的に解説します。

自動車部品業界における海外市場調査の3つの目的

自動車部品業界における海外市場調査の3つの目的

海外市場におけるビジネス展開を成功させるためには、単なる市場規模の把握だけでなく、成長ポテンシャルや競合状況、規制リスクを総合的に理解することが求められます。特に自動車部品業界は、現地の経済成長率や自動車普及率、政策動向に大きく左右される産業です。

そのため、海外市場調査では「需要の把握」「競合分析」「リスク評価」という3つの目的を明確に設定し、戦略的な意思決定に役立てることが重要です。

  • 海外市場の需要と将来性の把握
  • 競争環境と自社の立ち位置の分析
  • 法規制や関税など事業リスクの洗い出し

海外市場の需要と将来性の把握

海外市場調査の第一の目的は、現地での需要構造と今後の成長性を正確に把握することです。自動車部品業界では、国や地域ごとに自動車普及率や車種構成、購買力が大きく異なります。

例えば、インドネシアやベトナムでは二輪車から四輪車への移行期にあり、エントリーモデル向け部品の需要が高い一方、欧州では電動化・高機能化パーツが中心となっています。こうした市場ごとの特性を把握することで、自社の製品ラインナップを最適化できるほか、中長期的な販売計画や設備投資戦略の立案にもつながるでしょう。

将来予測を含めた市場需要の分析は、海外展開の成否を左右する最も重要な要素と言えます。

競争環境と自社の立ち位置の分析

2つ目の目的は、競争環境を把握し、自社の立ち位置を明確にすることです。海外市場では、現地メーカーや他国のサプライヤー、日系企業などが複雑に競合しています。そのため、競合企業の製品構成・価格帯・販路戦略を分析することで、自社の強みや差別化要因を明確にすることが重要です。例えば、品質・納期・アフターサービスなど、どの要素が市場で評価されているのかを定量的に把握すれば、現地での競争優位を築くための戦略が立てやすくなります。また、現地企業とのアライアンスやOEM供給といった協業の可能性を見出す上でも、競合分析は欠かせません。

法規制や関税など事業リスクの洗い出し

3つ目の目的は、法規制や関税制度など、海外展開に伴う事業リスクを事前に把握することです。自動車部品業界では、各国の環境規制や安全基準、原産地規則が頻繁に改正されるため、最新の情報を常に把握しておく必要があります。

また、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の締結状況によって、関税率や輸出入のコストが大きく変動します。さらに、為替変動や現地の政治・経済情勢もリスク要因です。こうしたリスクを可視化し、対策を講じることで、予期せぬコスト増やサプライチェーンの混乱を防ぎ、安定した事業運営を実現できます。

自動車部品業界における海外市場調査で調査すべき項目

自動車部品業界における海外市場調査で調査すべき項目

自動車部品業界で海外市場へ進出・拡大を目指す際は、多角的な市場調査が不可欠です。市場環境・競合状況・消費者ニーズなど、事前に把握すべき項目を整理し、データに基づいた戦略立案につなげることが重要です。

ここでは、自動車部品業界における海外市場調査で調査すべき項目について解説します。

  • 市場環境
  • 競合環境
  • 顧客・消費者ニーズ

市場環境

海外市場調査を行う上でまず重要となるのが、市場環境の把握です。自動車部品業界においては、各国の経済発展段階や自動車保有台数、政府の産業政策などが需要構造を大きく左右します。

市場規模や成長率といった定量的データに加え、政治・経済の安定性、環境規制や労働法の影響も見逃せません。これらを総合的に分析することで、事業展開のリスクとチャンスを正確に判断し、現地戦略を最

市場規模・成長率

海外進出を検討する際、最初に確認すべきは市場規模と成長率です。自動車部品の需要は、現地の自動車販売台数や製造拠点数に強く連動しています。新興国ではモータリゼーションが進行しており、エンジン部品やブレーキ関連、電装品などの需要が拡大傾向にあります。

市場規模の推移を5〜10年スパンで分析することで、今後の投資優先度や参入タイミングを見極めることが可能です。また、GDP成長率やインフラ整備計画といったマクロ経済指標も考慮することで、持続的な成長が見込める市場を特定できます。これにより、リソース配分の最適化や中長期戦略の構築が容易になります。

政治・経済情勢

政治や経済の安定性は、海外ビジネスの成功を左右する大きな要素です。政権交代や政策転換が頻繁な国では、輸出入規制や関税の変動リスクが高まり、サプライチェーンへの影響が懸念されます。特に自動車部品業界では、現地生産を行う場合に労働法や税制改正の影響を受けやすく、事業継続性を脅かすリスクも。

また、為替レートの変動や物価上昇などの経済要因もコスト構造に直結します。そのため、IMFや世界銀行、現地商工会議所などの公的データを活用し、最新の政治・経済動向をモニタリングすることが重要です。安定した経済環境を選ぶことは、長期的なビジネスリスク軽減につながります。

関連法規・環境規制

海外で事業を展開する際には、関連法規や環境規制の理解が欠かせません。自動車部品業界では、安全基準、品質認証、排ガス規制、リサイクル法など、各国独自のルールが存在します。例えばEUではRoHS指令やREACH規則など化学物質に関する厳しい規制があり、製造段階から対応が求められます。

また、新興国でも環境意識の高まりを背景に、CO₂削減義務やEV推進政策が強化されつつあるのです。これらの規制に適合できない場合、市場参入が困難になるだけでなく、罰金やブランド毀損のリスクも生じます。

したがって、現地の法制度を常にアップデートし、法務・品質・生産部門が連携して対応策を講じる体制づくりが不可欠です。

競合環境

海外市場調査において競合環境の把握は、自社戦略の方向性を定めるうえで欠かせない要素です。自動車部品業界では、現地メーカーの台頭や他国のグローバルサプライヤーとの競争が激化しており、単に製品の品質や価格だけでなく、調達スピード・サービス対応力・技術提携の有無など多面的な要因が競争力を左右します。

現地市場の競合構造を正確に把握することで、自社が差別化できる領域や強化すべきポジションを明確にすることが可能です。

現地メーカー・日系メーカーの動向

東南アジアやインドなどの新興市場では、現地メーカーの技術力が急速に向上しており、日系・欧米系サプライヤーにとって大きな競争要因となっています。特に政府主導の自動車産業育成政策によって、国産部品比率を高める動きが強まっており、現地企業の調達網や価格優位性が拡大しているのです。

一方で、日系メーカーは品質・信頼性・納期遵守などの面で依然として優位性を持ち、ハイブリッド車や電動化技術の分野では高い競争力を維持しています。現地企業との提携・合弁など協業モデルを検討する企業も増加しており、単純な競合関係から共存共栄型のビジネスモデルへの転換も見られます。こうした市場構造の理解は、戦略的パートナーシップ形成の判断にも役立つでしょう。

競合の製品・価格・販売チャネル

競合他社の製品ラインナップや価格設定、販売チャネルの分析は、海外市場におけるポジショニング戦略の基盤となります。例えば、欧米メーカーは高付加価値・高価格帯の製品でブランド力を発揮する一方、アジア系メーカーは低コスト・大量供給による市場浸透を狙う傾向があります。

販売チャネルも国によって大きく異なり、現地ディストリビューター経由での卸売や、自社直販モデル、アフターマーケットへの展開など、多様な戦略が採られています。これらの要素を総合的に比較・分析することで、自社が競合に対してどのポジションを取るべきか、またどの販売モデルを採用すべきかを明確化可能です。

さらに、価格競争に巻き込まれず差別化を図るためには、製品の品質保証やアフターサポート体制の充実が不可欠です。

顧客・消費者ニーズ

自動車部品の海外市場調査では、顧客・消費者ニーズの把握が最も実務的な価値を生み出します。国や地域によって車の用途・保有率・好まれる車種・価格感度が大きく異なるため、単一の製品戦略では通用しません。

また、アフターマーケット(補修・交換部品市場)の規模や成長性も国ごとに差があり、BtoB・BtoC双方の視点から分析することが求められます。現地ユーザーの購買行動・価値観を深く理解することで、製品設計・販売チャネル・マーケティング施策を最適化できます。

自動車の保有状況と車種トレンド

海外市場では、自動車の保有状況や車種トレンドが部品需要に大きな影響を与えます。例えば、東南アジアでは依然として低価格帯のコンパクトカーや二輪車の需要が高く、耐久性・コストパフォーマンスを重視した部品が求められています。

一方、中国や欧米市場では、電気自動車(EV)やSUVなどの大型車が主流化しており、電子制御系部品や軽量素材へのニーズが拡大中です。また、シェアリングエコノミーやカーリースの普及により、メンテナンス頻度の高い部品や再生部品市場も成長しています。車種構成や保有台数の推移を正確に把握することは、どのカテゴリの部品に成長機会があるかを見極める上で不可欠です。

部品に対する品質・価格への要求

消費者や自動車メーカーが部品に求める品質や価格基準は、国ごとに大きく異なります。新興国市場では価格競争力が重視され、一定の品質を確保しつつコストを抑える設計・生産体制が求められます。対して、欧米や日本の成熟市場では品質・安全性・環境性能への要求が高く、国際的な認証やサステナビリティ対応が取引条件となるケースも増加中です。

また、自動車の電動化・自動運転化の進展により、ソフトウェア制御部品やセンサー類などの高精度・高信頼性部品の需要が急増しています。こうした多様なニーズに応えるためには、現地市場の購買基準をリサーチし、ターゲットセグメントに応じた価格・性能戦略を構築することが重要です。

購入チャネルとアフターマーケットの状況

海外の自動車部品市場では、購入チャネルの多様化が進んでいます。従来のメーカー直販やディーラー経由の販売に加え、ECサイトや専門オンラインモールを通じた個人購入が増加傾向にあります。特にアフターマーケットでは、整備工場や小売店がオンライン仕入れを行うケースも多く、流通経路の短縮と価格競争が進行しているのです。

また、車両の長期保有が一般的な地域では、補修・交換需要が高く、リビルト(再生)部品やOEM部品の市場も拡大しています。企業が成功するためには、現地の販売経路・物流体制・アフターサービスの水準を詳細に把握し、最適な流通戦略を構築することが不可欠です。オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド販売も有効な手法となっています。

【参考事例】東南アジア各国の自動車業界の特徴

【参考事例】東南アジア各国の自動車業界の特徴

東南アジアは、世界の中でも自動車産業の成長ポテンシャルが高い地域として注目されています。各国は経済発展の段階や政策方針が異なるため、自動車市場の構造や部品需要にも大きな差があります。

例えば、インドネシアやタイは自動車生産拠点として発展し、輸出型産業の中心を担っています。一方、ベトナムやフィリピンでは新興市場として国内需要の拡大が続いているのです。

ここでは、東南アジア主要6カ国の自動車業界の特徴を整理し、部品メーカーが進出を検討する際に注目すべきポイントを解説します。

  • インドネシア
  • タイ
  • ベトナム
  • マレーシア
  • シンガポール
  • フィリピン

インドネシア

インドネシアは、東南アジア最大の自動車市場として知られています。人口が2億7,000万人を超える巨大市場であり、中間所得層の増加と都市化の進行により、自家用車の需要が拡大しています。

特にトヨタやダイハツなどの日系メーカーが早期から進出しており、小型多目的車(MPV)や低燃費車(LCC)が主力です。また、政府は電気自動車(EV)産業の育成を国家戦略と位置付け、バッテリー製造やサプライチェーン構築を積極的に推進しています。今後は部品メーカーにとってもEV関連部材や軽量素材など、新分野でのビジネスチャンスが拡大すると見込まれています。

タイ

タイは東南アジアのデトロイトとも呼ばれ、自動車生産・輸出の中心地として発展してきました。完成車メーカーだけでなく、1次・2次サプライヤーも多数集積しており、ASEAN全体の生産ネットワークを支えています。政府のBOI(投資委員会)は電動化を推進するEV3.0政策を発表し、EV生産拠点としての地位強化を図っています。

また、日系企業に加え、中国や欧州メーカーの新規参入も進み、競争が一層激化。高品質かつコスト効率の高い部品供給体制の構築が鍵となります。特にEV用モーター部品、バッテリー関連製品、電子制御ユニットなどの市場成長が期待されています。

ベトナム

ベトナムは、新興市場の中でも特に成長著しい国の一つです。急速な経済成長と所得水準の上昇により、自動車保有率が年々拡大しています。国内メーカー「VinFast」の登場により、自国ブランド車の開発とEV推進が活発化しているのも特徴です。

また、政府は外国資本の導入を促進しており、製造拠点として日系・韓国系部品メーカーの進出が進んでいます。一方で、インフラ整備や部品供給網の脆弱さが課題であり、現地パートナーとの連携が重要です。今後はEV部品、車載電子機器、プラスチック成形品などの分野で参入余地が広がると見られています。

マレーシア

マレーシアは、東南アジアの中でも比較的成熟した自動車市場を持ち、国内ブランド「Proton」「Perodua」が確立しています。政府は長年にわたり産業保護政策を展開し、輸入車には高関税が課されてきましたが、近年は外資導入にも柔軟化が見られます。

特にハイブリッド車やEV関連の投資を促進する税制優遇が強化されており、電動化技術を持つメーカーにとって有望な市場です。また、高い技術力を有する中小企業が多く、部品の品質・精度面での競争も激化。市場参入時は、品質管理体制や現地調達ネットワークの最適化が成功の鍵を握ります。

シンガポール

シンガポールは自動車市場規模こそ小さいものの、ASEANにおける金融・物流・イノベーションの拠点として戦略的重要性が高い国です。政府は環境負荷低減を重視し、内燃機関車の新規登録制限やEV普及支援策を進めています。

自動車メーカーや部品企業にとっては実験都市としての魅力があり、自動運転やスマートモビリティの実証プロジェクトが盛んです。

また、国際企業のリージョナル本社が多く集積しているため、情報収集・販路拡大の拠点としても有用です。研究開発型企業やソフトウェア・AI分野のサプライヤーにとっては、パートナーシップ構築のチャンスが広がっています。

フィリピン

フィリピンは人口増加率が高く、今後の自動車需要拡大が見込まれる有望市場です。中間所得層の台頭により、乗用車や商用車の販売台数が着実に伸びています。政府は自動車産業の育成を目的としたCARSプログラムを導入し、国内生産拠点の強化を図っています。

ただし、インフラ未整備や輸送コストの高さ、電力供給の不安定さといった課題が残るのも事実です。市場ではトヨタ、三菱など日系企業の存在感が依然として強く、補修部品・アフターマーケット分野でもビジネスチャンスが拡大中です。特に小型車・商用車用の汎用部品やメンテナンス関連サービスが有望分野とされています。

海外市場調査を進める5つのステップ

海外市場調査を進める5つのステップ

海外市場調査を効果的に進めるためには、明確な目的設定と体系的なプロセスが不可欠です。特に自動車部品業界のように技術革新が早く、国ごとに法規制や市場環境が異なる分野では、感覚や経験だけに頼った判断はリスクを伴います。

市場調査は情報を集めることが目的ではなく、戦略的な意思決定の精度を高めるための手段です。ここでは、成功する市場調査を実現するための5つのステップを解説します。

  • 調査目的と仮説の設定
  • デスクトップリサーチ(二次情報収集)
  • 現地調査(一次情報収集)
  • 情報の分析
  • 戦略立案とアクションプラン策定

調査目的と仮説の設定

市場調査の第一歩は、何を明らかにしたいのかという目的を明確にすることです。例えば、東南アジアでのEV部品需要の可能性や現地メーカーとの競争力比較など、具体的な焦点を設定することで、調査の方向性が定まります。

また、目的に基づいて仮説を立てることも重要です。仮説があることで、収集すべきデータや分析の観点が明確になり、調査が効率的に進みます。仮説は固定的なものではなく、調査の進行に合わせて柔軟に修正していくことが成功の鍵です。

デスクトップリサーチ(二次情報収集)

次に行うのが、公開されているデータやレポートなどをもとにした二次情報の収集です。政府機関の統計データ、業界団体の報告書、信頼性の高いニュースサイトや市場調査会社のレポートなどを活用し、現地の市場規模・成長率・法制度などを把握します。

この段階では、俯瞰的な市場理解と仮説の検証を目的とし、特定国の経済情勢や競合動向を整理します。また、AI分析ツールやデータベースを併用することで、効率的に最新情報を収集できます。ここで得た情報は、次の一次調査の土台となる重要な基礎データです。

現地調査(一次情報収集)

二次情報で得た仮説を実際に検証するのが、現地での一次情報収集です。現地企業へのヒアリング、ディーラーや販売代理店の訪問、消費者アンケート、展示会の視察などを通じて、生の情報を入手します。

特に自動車部品分野では、現場の技術者や購買担当者との対話が重要です。机上のデータでは把握しきれない実務的な課題を確認できます。現地調査は時間とコストがかかりますが、信頼性の高い判断を下すためには不可欠なプロセスです。

情報の分析

収集した情報は、そのままでは戦略に活かせません。定量データと定性情報を組み合わせて分析することで、全体像を可視化します。PEST分析やSWOT分析などのフレームワークを用いると、外部環境と自社の強み・弱みを整理しやすくなります。

また、仮説との整合性を検証し、想定外のリスクや機会を明らかにすることも大切です。この分析段階で得た洞察が、次の戦略立案の基盤となります。重要なのはデータを眺めるのではなく、意思決定に活かす分析を行うことです。

戦略立案とアクションプラン策定

最後に、分析結果をもとに具体的な戦略と行動計画を策定します。例えば、「どの国に、どの製品ラインを展開するのか」「どの販売チャネルを優先するのか」「現地パートナーをどう選定するか」といった意思決定を明文化します。

戦略立案では、リスクとリターンを明確にし、短期的な目標と中長期的な成長方針をバランスよく設定することが重要です。また、調査で得た知見を社内共有し、経営・営業・開発の各部門が一体となって実行に移せる体制づくりも欠かせません。市場調査は、戦略を立てて終わりではなく行動に移して成果を出すためのプロセスです。

海外市場調査を成功させる7つのポイント

海外市場調査を成功させる7つのポイント

海外市場調査を成果につなげるためには、単に情報を集めるだけでは不十分です。目的の明確化からデータの信頼性確保、現地文化の理解、分析結果の継続的な活用に至るまで、戦略的なプロセスが求められます。特に自動車部品業界のように国ごとで市場特性・法規制・技術トレンドが異なる分野では、リサーチの精度が事業成否を左右するのです。

ここでは、調査を成功に導くための7つの重要ポイントを詳しく解説します。

  • 調査の目的をに絞り込む
  • 信頼できる情報ソースを見極める
  • デスクリサーチで仮説を立てる
  • 現地パートナーや専門家を活用する
  • 複数の調査手法を組み合わせる
  • 現地の商習慣や文化を理解する
  • 調査結果を定期的に見直す

調査の目的をに絞り込む

海外市場調査の第一歩は、明確で具体的な目的を設定することです。「どの国の市場に参入するか」「現地企業との価格競争に勝てるか」「EV部品の需要は伸びるのか」など、調査の焦点を限定することで、情報収集の効率が格段に向上します。

目的を広げすぎると、データが膨大になり、分析の精度が低下してしまいます。自社の経営課題や製品戦略と直結したテーマを明確にし、意思決定に必要な情報は何かを意識しましょう。これにより、限られたリソースで最大の成果を得られます。

信頼できる情報ソースを見極める

海外市場の情報は膨大ですが、その中には信頼性が低いデータも少なくありません。政府や国際機関(JETRO、IMF、世界銀行など)が提供する公式統計、業界団体や市場調査会社のレポートを中心に活用することが望ましいです。

また、ニュースサイトやSNSから得られる現地の生情報も補助的に使うと効果的です。特に自動車部品業界では、各国の輸入関税、技術基準、環境規制などの正確な情報が欠かせません。出典を明示し、複数ソースで照合することで、分析の精度と信頼性が高まります。

デスクリサーチで仮説を立てる

二次情報を収集するデスクリサーチは、現地調査の前段階として非常に重要です。各国の市場レポートや企業情報、経済統計をもとに、どの製品が注目されているのか、どのプレイヤーが市場をリードしているのかを把握します。その上で、ASEANではエンジン部品よりEVモーター部品の需要が増加しているなどの仮説を立てることで、現地調査の方向性を明確にできます。

仮説をもとに調査を進めることで、無駄なデータ収集を減らし、実務的な示唆を得やすくなるでしょう。

現地パートナーや専門家を活用する

海外市場では、現地の文化や商慣習に精通した専門家やパートナーの存在が不可欠です。自動車部品の調達や販売ルートには、国ごとに異なるネットワークや許認可制度があり、外部からの理解だけでは限界があります。

現地のコンサルティング企業や業界団体、通訳・調査会社を活用することで、よりリアルで実践的な情報を得られます。また、現地企業との協働により、文化的な誤解を避け、信頼関係を築きやすくなるでしょう。

ローカルパートナーの選定は、調査の質を大きく左右する重要な要素です。

複数の調査手法を組み合わせる

海外市場調査では、1つの調査手法に頼るのではなく、複数のアプローチを組み合わせることが効果的です。デスクリサーチで全体像をつかみ、一次調査で定性的な情報を補うことで、より立体的な分析が可能になります。

特に自動車部品業界では、定量データと現場の声を両立させることが重要です。定性と定量を統合することで、単なる市場データではなく、実際の商機につながる洞察が得られます。

現地の商習慣や文化を理解する

海外展開の成功には、現地の商習慣や文化への理解が欠かせません。例えば、商談の進め方、支払い条件、意思決定スピードなどは国によって大きく異なります。東南アジア諸国では信頼関係が取引の前提となる一方、欧米では契約ベースでの交渉が中心です。

こうした文化的背景を理解していないと、交渉の遅延やパートナーシップの不成立につながるリスクがあります。また、現地消費者の価値観や生活スタイルを踏まえた製品設計・マーケティングが、長期的な成功の鍵を握ります。

調査結果を定期的に見直す

海外市場は政治・経済・技術の変化が早く、一度の調査で長期的な有効性を保つことは困難です。そのため、定期的にデータを更新し、市場動向をモニタリングする仕組みが必要です。自動車部品業界では、電動化・脱炭素化の流れが急速に進み、数年で市場構造が一変する可能性があります。

定期的なレビューを通じて、新たなリスクやチャンスを早期に把握し、戦略を柔軟に修正していくことが重要です。市場調査は一度きりの作業ではなく、継続的な改善プロセスと捉えるべきです。

海外市場調査を依頼できる会社3選

海外市場調査を効率的かつ正確に行うためには、専門知識とネットワークを持つリサーチ会社への依頼が効果的です。自動車部品業界のように、国際的なサプライチェーンや規制対応が複雑な分野では、現地事情に精通したプロフェッショナルの支援が欠かせません。

ここでは、グローバル市場調査に強みを持ち、企業の海外展開を多面的にサポートしている信頼性の高い3社を紹介します。

  • AXIAMarketing株式会社
  • 株式会社クロス・マーケティング
  • 株式会社マクロミル

AXIAMarketing株式会社

AXIAMarketing株式会社
引用:AXIAMarketing株式会社

AXIA Marketing株式会社は、海外市場進出支援に特化したコンサルティング企業で、市場調査から戦略立案・現地展開までを一貫してサポートしています。特に自動車部品や製造業、IT、消費財など幅広い業種での実績を持ち、東南アジアを中心にアジア全域でのリサーチに強みを発揮しています。

AXIA Marketing株式会社の特長は、PEST分析や競合分析などの定量調査に加え、現地企業へのインタビューやサプライチェーン調査など、定性的なデータも重視する点です。また、調査結果を経営戦略へ落とし込む支援まで行うため、実行可能な市場戦略を導き出せるのが強みです。海外市場参入を検討する企業にとって、最適なパートナーと言えるでしょう。

株式会社クロス・マーケティング

株式会社クロス・マーケティング
引用:株式会社クロス・マーケティング

株式会社クロス・マーケティングは、アジア・欧米・中南米を含む世界100か国以上で市場調査を実施できるグローバルリサーチ企業です。自社で構築した海外パネルを活用し、現地消費者や法人を対象にしたオンラインアンケートやインタビュー調査が可能です。

自動車部品業界向けには、車種別・用途別の購買意識調査やブランド評価など、精度の高いデータを提供しています。さらに、海外現地のパートナー企業と連携し、ローカル市場特有の文化的背景や購買行動の違いを考慮した分析ができる点も強みです。短期間で信頼性の高い結果を得たい企業にとって、非常に頼もしい調査パートナーと言えます。

株式会社マクロミル

株式会社マクロミル
引用:株式会社マクロミル

株式会社マクロミルは、世界90か国以上でリサーチネットワークを展開する国内最大級のマーケティングリサーチ会社です。海外市場調査では、現地の生活者パネルを活用した大規模な定量調査を強みとし、消費者の購買行動やブランド意識を数値的に可視化できます。

自動車関連分野では、部品選定や購買意思決定プロセスの把握、競合比較調査などを幅広く実施。さらに、AIを活用したデータ分析により、複雑な市場トレンドをわかりやすく可視化するレポートを提供しています。グローバル規模でのマーケティング戦略を立案したい企業にとって、マクロミルはデータドリブンな意思決定を支える最適なパートナーと言えるでしょう。

海外市場調査を依頼するならAXIAMarketing

自動車部品業界で海外展開を成功させるには、現地市場の構造や競合動向を的確に把握し、データに基づく戦略を立てることが不可欠です。

AXIA Marketingでは、PEST分析や競合分析をはじめとした多角的な市場リサーチを実施し、各国の規制や商習慣を踏まえた実践的な提案を行っています。海外展開を検討中の企業は、リスクを最小限に抑えつつ成果を最大化するためにも、AXIA Marketingの専門チームによるサポートを活用してみてはいかがでしょうか。

参考文献

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