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Column
2025.09.29
記事の監修者
金田大樹
AXIA Marketing代表取締役
リサーチ会社を活用した経営判断を、日本企業の常識にしていくことがモットー。
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅から大手調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
海外展示会への出展は、新規市場を切り開き、現地の取引先や販売チャネルを獲得する上で大きな効果を発揮します。一方で言語の壁や文化的背景の違い、複雑な物流や通関の手配など、国内展示会では想定しにくい課題に直面するのも事実で、場合によっては期待した成果を得られない可能性もあります。
こうしたリスクを避けるために注目されるのが、海外展示会専門の出展サポートサービスです。本記事では、海外展示会における出展サポートについて、費用対効果を高める工夫や留意点などを詳しく紹介します。海外展示会への出展予定がある・将来的な視野にある企業様は、ぜひ参考にしてください。
海外展示会の出展サポートは、企業が海外市場で効果的な展示会出展を行うための包括的支援サービスです。このサービスには、出展前の準備段階から会期中の運営、そして会期後のフォローアップまで、幅広い業務領域が含まれます。現地の文化や商習慣に精通した専門スタッフが、企業の海外展開戦略に合わせたカスタマイズ支援を行っているのです。
主な業務としては、展示会選定段階の業界特性や企業の目的に応じた最適な展示会の選定支援です。加えてブース設計・施工から通訳手配、マーケティング資料の多言語化まで、出展に必要な様々な準備作業をワンストップで対応する企業もあります。
会期中においても、現地スタッフによるブース運営支援や商談サポートで、言語の壁を解消しながら顧客対応を行う場合もあります。さらに重要なのが、会期後のフォロー体制です。商談のフォローとして、展示会での接触を実際の取引成約につなげる支援もまとめて行う企業であれば、海外展示会出展の成功確率を大幅に向上させることが可能となります。
海外展示会の出展サポートを選定する際には、押さえるべき確認ポイントがいくつかあります。自社のニーズに最も適したサポート会社を選ぶために、事前準備や調査は欠かせません。
特に初めての出展や新規市場への参入を検討している企業にとっては、サポート会社の選定こそが成功の可否を左右する重要な要素とも言えます。さっそく、出展サポートを受ける際のポイントについて確認していきましょう。
サポート会社の選定において最初に確認すべきなのが、過去の支援実績です。単に支援件数の多さではなく、自社の業界や展開予定地域での実績があるかがポイントです。特定の業界や地域に特化した知識と経験は、出展戦略の立案において不可欠と言えます。
実績を見るときは、具体的な成果指標も合わせて確認しましょう。商談件数や成約率、リード獲得数など、定量的な成果データを提示できる会社は、より信頼性の高いサポートを期待できるでしょう。過去の支援企業からの推薦状や事例紹介があるかどうかも、実際のサービス品質を判断する上で有効な材料となります。
さらに実績の質を見極める際には、同業他社での成功事例があるかどうかも重要な判断基準となります。業界特有の課題や商習慣を理解している会社であれば、より実践的な支援を受けることができるでしょう。長期的な関係構築を重視する会社かどうかも、継続的な海外展開を考える企業にとっては重視すべき選択基準となります。
優れたサポート会社を選ぶためには、企業の目的や予算、展開戦略に応じて最適な提案を行ってくれるかも注目したいところです。画一的なパッケージサービスではなく、企業の個別ニーズに合わせたカスタマイズ提案ができるかどうかが重要です。提案内容の妥当性を評価する際には、現地市場の特性や競合状況の分析が含まれているかを確認しましょう。
また、提案段階において、日本でのプロモーション戦略がそのまま通用するのか、文化の違いを考慮した戦略が検討されているかも要チェックです。現地の商習慣や消費者行動を理解しないまま出展を行うと、予想外のトラブルに巻き込まれかねません。提案書の内容が具体的で実行可能性が高いかどうかも、サポート会社の実力を測る指標となります。
過去の支援実績から得られた成果を具体的に確認することも評価ポイントです。単なる出展支援だけでなく、実際にビジネス成果につながった事例があるかどうかを確認しましょう。成約率や売上向上、新規パートナー獲得など、定量的な成果指標を示せる会社は、より実効性の高いサポートを提供できると考えられます。
成果の持続性も重要な確認項目であり、一度の出展だけでなく継続的なビジネス展開につながった事例があるかも確認すべきです。また、異なる業界や市場での成果実績があることで、多様な状況に対応できる能力を持つ会社であるかがうかがえます。過去の失敗事例と改善策についても包み隠さずに情報提供する会社は、リスク管理能力が高いと言えるでしょう。
海外展示会において言語対応は極めて重要ですが、単純な直訳ではなく、現地の文化やビジネス慣習に適した翻訳・通訳サービスであることも欠かせません。技術的な専門用語や業界特有の表現を正確に伝えられる専門性があるかどうか事前に確認することをおすすめします。
プロの通訳はもちろん、現地スタッフの手配が滞りなく行われるかどうか・商談や顧客対応が円滑に進むかどうかも必須事項です。通訳スタッフの業界知識レベルや経験値、コミュニケーション能力なども把握しておくことで、会期中のトラブルを未然に防ぐことができます。これら多言語対応の範囲や品質については、具体的な基準を設けて評価すると良いでしょう。
サポート会社から提示される支援内容が、企業の実際のニーズや目標達成に向けた設計になっているかも慎重に見極めましょう。過剰なサービスによる不要なコスト増加や、逆に必要な支援が不足する状況を避けるため、詳しい要件定義を行うことが必要です。
提案される支援範囲が企業の海外展開戦略や予算規模に見合っているか・セミナー実施など出展前の準備にかかわるサポートも含まれているかも確認すると良いでしょう。限られたリソースの中で最大限の効果を得るために、支援内容の優先順位付けが適切かどうかもチェックすることをおすすめします。
アジア地域で毎年/定期的に開催され、日本企業の出展も多い代表的な展示会をピックアップしました。自社の業界とターゲット市場に合うイベント選定の起点にしてください。
展示会名 | 開催地 | 領域/テーマ |
---|---|---|
Automechanika Shanghai | 中国・上海 | 自動車部品/アフターマーケット |
Canton Fair(中国輸出入商品交易会) | 中国・広州 | 総合見本市(工業・日用品など広範) |
TAIROS(Taiwan Automation Intelligence & Robot Show) | 台湾・台北 | ロボット/自動化/スマート製造 |
Taipei Game Show | 台湾・台北 | ゲーム/デジタルコンテンツ |
Hong Kong Int’l Printing & Packaging Fair | 香港 | 印刷/パッケージ |
METALEX | タイ・バンコク | 工作機械/金属加工 |
Auto Expo – Components | インド・デリーNCR | 自動車部品/EV/サプライチェーン |
開催時期:秋〜冬(2025年11月26日〜 29日)
会場:国家会展中心(中国・上海)
主催:Messe Frankfurt (Shanghai) Co., Ltd.
出展形式・費用感:9㎡〜のパッケージブース/36㎡〜のスペースのみ(Raw)など複数プラン。パッケージは装飾・電気等の基本がまとまりやすく、Rawは自由度が高い一方で施工費が別途発生します。
期待できる効果:アジア域内のバイヤー・代理店・サプライヤーとの商談機会創出、新製品発表の場としての露出、ブランド認知の加速など。
ポイント:自社が狙う販路(OEM/アフター/小売)に合わせ、ブース位置・サイズ・通訳体制・デモ内容を最適化。会期後のフォロー(問い合わせ一次対応・見積送付・オンライン商談設定)までカバーしてはじめて成果に直結します。
海外展示会への出展においては、サポートサービスを活用するしないに関わらず自社で把握しておくべき注意点があります。想定外のトラブルやコスト増加を回避するためにも、特に法的規制や税制度の違いを知っておくことは必須です。
さっそく、十分な事前確認が必要な内容について見ていきましょう。
海外展示会出展において、現地の税制度の理解と適切な対応は避けて通れない課題と言えます。展示品の輸入時における関税や付加価値税の取り扱い、一時輸入制度の利用可否など、国ごとに異なる税務規定を事前に把握しておくことが大切です。特に高額な展示機械や精密機器を出展する場合、税金負担が予算に大きな影響を与えることもあるでしょう。
また、展示会での売上が発生した場合の税務処理や、現地での経費処理方法についても事前に確認しておくことをおすすめします。二重課税防止協定の適用可否や、源泉徴収税の取り扱いなど、複雑な国際税務の問題が発生してしまう可能性もあるのです。税務専門家やサポート会社との事前相談を通じて、適切な税務対応策を策定することが重要です。
海外展示会への出展品輸送においては、各国固有の物流規制への対応が必須となります。通関手続きの複雑さや必要書類の準備、検疫要件への対応など、国内輸送とは大きく異なる制約条件が存在します。特に食品や化学製品、電子機器などは、厳格な安全基準や認証要件が課される場合が多く、事前に入念な準備をしなければなりません。
輸送スケジュールの管理として、通関遅延や輸送トラブルに備えた余裕のあるスケジューリングが求められるでしょう。また、展示会終了後の展示品回収についても、現地での保管費用や再輸送コストを考慮した計画立案が必要となります。物流専門業者との連携により、リスク軽減と効率的な輸送体制を構築しておきましょう。
海外展示会出展に際しては、知的財産権や商標権などの権利リスクへの適切な対処が不可欠となります。現地での商標登録状況の確認や、特許権侵害のリスク評価など、法的トラブルを未然に防ぐための事前調査は欠かせません。特に技術系製品や独自性の高い商品を出展する場合、権利関係の確認は極めて重要な準備作業です。
また、展示会での情報開示レベルの設定や、秘密保持契約の締結方法についても事前に検討しておきましょう。競合他社による技術情報の不正取得や、模倣品製造のリスクを最小限に抑えるための対策を講じることが求められます。法務専門家との連携により、権利保護と効果的な情報発信のバランスを適切に保つことが大切です。
海外展示会の出展サポートにかかる費用は、出展する国や地域、展示会の規模、求められるサポート範囲により大きく変動します。適切な予算設定と費用対効果の最大化を図るためには、各コスト要素の相場観を把握し、自社の目的に合った最適な支援レベルを選択することが重要となります。
本章では、海外展示会の出展サポートにかかる費用を詳しく見ていきましょう。
海外展示会出展における費用は、展開する国や地域によって大幅に異なる傾向があります。欧米先進国での出展は、人件費や会場費用の高さから総じて高額になる一方、東南アジア諸国では比較的抑えられた予算での出展が可能となります。特にドイツやアメリカでの大規模展示会では、ブース設営費用だけで数百万円規模となることも珍しくありません。
また、現地の物価水準や労働コストの違いも費用に大きく影響します。北欧諸国や中東の一部地域では、人件費や宿泊費が極めて高額になるため、総出展費用が予想以上に膨らむ可能性があります。アジア圏においても、シンガポールや香港といった国際都市では先進国並みの費用水準となるため、事前の詳細な予算検討が必要です。
展示会ブースにかかる費用は、ブースサイズや立地、装飾レベルによって大きく変動する要素です。標準的な小間(3m×3m)でも、立地の良いメイン通路沿いでは高額な出展料が設定される傾向があります。また、角地ブースや大型ブースでは、面積に比例した以上の費用が発生する場合も多く見られます。
ブース設営費用についても、現地の施工業者の技術レベルや材料費により大きな差が生じることにも注意が必要でしょう。高品質な装飾や特殊な展示設備を要する場合、国内での設営費用の2倍から3倍程度の予算を見込むことがおすすめです。電気工事や通信設備の設置についても、現地の規格や安全基準に適合した施工が求められるため、追加費用が発生する可能性があります。
展示品の輸送・搬入費用は、出展規模や輸送距離によって違いが出ます。海上輸送と航空輸送の選択により費用は大幅に異なり、緊急性を要する場合の航空輸送では海上輸送の数倍のコストが発生するのです。また、通関手続きや現地での搬入作業についても、専門業者への委託費用が不可欠です。
輸送保険や梱包費用についても、国際輸送特有の追加コストとして考慮しましょう。特に精密機器や高価な展示品については、十分な保険金額の設定と専用梱包材の使用により、費用が増加する傾向があります。展示会場での荷受けや搬出についても、現地の労働慣行により想定以上の費用が発生する場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
多言語対応のマーケティング資料作成や通訳サービスにかかる翻訳費用は、対象言語や専門性により大きく変動するので注意してください。技術文書や法的書類の翻訳では、専門知識を持つ翻訳者への依頼が必要となり、一般的な翻訳費用の2倍から3倍程度の予算を要する可能性があります。また、会期中の通訳者確保についても、業界知識を持つ専門通訳者は高額な日当が設定される傾向があります。
宿泊・渡航費については、展示会開催時期や現地の需給状況によって価格が大きく変わるでしょう。大規模国際展示会の開催期間中は、周辺ホテルの宿泊料金が平常時の数倍に高騰することも珍しくありません。航空券についても、早期予約や柔軟な日程調整により費用削減の可能性がある一方、直前予約では高額な運賃が適用される場合があります。
海外展示会の出展サポートにおいて費用対効果を最大化するためには、戦略的なアプローチと効率的なリソース配分が不可欠です。限られた予算の中で最大の成果を得るためには、明確な目標設定と優先順位の明確化、そして適切なパフォーマンス測定指標の設定が重要な要素です。
また、長期的な視点での投資対効果を考慮し、単発の出展ではなく継続的な市場開拓戦略の一環として位置付けることで、より高い投資効率を実現できるようになるでしょう。
海外展示会を通じた成功事例を分析することで、効果的な出展戦略のポイントを理解できるようになります。これらの事例から学べる共通要素や成功要因を自社の出展計画に活用することで、より高い成果を期待できる出展戦略を構築できるでしょう。
本章では海外進出の成功事例を3つ紹介します。
キューピー株式会社は、海外市場への本格参入に際して徹底した市場調査を実施し、現地の食文化や消費者嗜好に合わせた製品開発を行いました。特に東南アジア市場においては、現地の味覚や調理方法に適応したマヨネーズの開発に注力し、単なる日本製品の輸出ではなく、現地化された商品展開を実現しています。この戦略により、現地消費者に受け入れられやすい製品ラインナップを構築することができました。
海外展示会での出展においても、現地の食品関連展示会への継続的な参加を通じて、流通業者や小売業者との関係構築を図りました。展示会での試食提供や調理デモンストレーションにより、製品の特徴や使用方法を効果的に伝えることで、新規取引先の開拓に成功したのです。また、現地パートナーとの協業により、流通網の確立と市場浸透を加速させることができました。
長期的な視点での市場開拓戦略により、キューピーは海外市場において確固たるブランドポジションを確立することができています。継続的な市場調査と製品改良により、現地ニーズに対応し続けることで、持続的な成長を実現しています。このような取り組みは、海外展示会出展を単発のイベントではなく、長期戦略の一部として位置付けることの重要性を示しています。
丸亀製麺を展開する株式会社トリドールホールディングスは、海外展開において積極的なアプローチを採用し、多様な市場への進出に成功したと言えるでしょう。アジア圏を中心とした海外出店においては、現地の食文化や消費者行動を綿密に分析し、日本の讃岐うどんの美味しさを現地の味覚に合わせてアレンジした商品展開を行っています。
海外の食品関連展示会への参加においても、実演調理による製品アピールを重視し、来場者に直接商品の魅力を伝える戦略を採用しています。特に麺の手打ち実演や天ぷらの調理デモンストレーションは、多くの来場者の注目を集め、ブランド認知度の向上に大きく貢献しているのです。また、展示会での反応や フィードバックを商品開発や店舗運営の改善に活用することで、継続的な品質向上を目指しています。
フランチャイズシステムを活用した海外展開により、現地パートナーの知識と経験を効果的に活用し、迅速な市場浸透を実現していることも特徴です。展示会での関係構築を通じて、優良なフランチャイズパートナーの発掘にも成功し、安定的な事業拡大基盤を構築することができています。
株式会社クボタは、海外農業機械市場において、現地の農業形態や作物特性に適応した製品開発と市場展開を実施しています。各国の気候条件や土壌特性、栽培作物の違いを詳細に分析し、現地のニーズに最適化された農業機械の提供を通じて、高い市場シェアを獲得しているのです。タイやベトナムなどの東南アジア市場では、稲作に特化した小型トラクターやコンバインハーベスターの開発により、現地農家のニーズに的確に応えています。
国際農業機械展示会への継続的な参加により、世界各地の農業関係者とのネットワーク構築を図り、新規市場開拓と既存市場でのシェア拡大を実現していることもポイントです。展示会では実機デモンストレーションを重視し、製品性能の優位性を実際の作業を通じて証明することで、高い訴求効果を実現しています。また、現地ディーラーや農業関係者との密接な関係構築により、アフターサービス体制の充実も図っているのです。
持続可能な農業の実現に向けた技術革新により、環境負荷の軽減と生産性向上を両立する製品開発を継続しています。このような長期的な視点での技術開発と市場展開により、クボタは世界的な農業機械メーカーとしての地位を確立し、継続的な成長をとげているのです。
海外展示会への出展は、出展サポート企業や現地スタッフとの連携などさまざまな支援無くしては難しいものであることをご説明してきました。
AXIA Marketing株式会社は、海外進出を検討されている企業に対して、グローバル市場への新規進出を検討している企業をサポートするサービスを提供しています。
AXIA Marketingでは、海外進出のコンサルティングを行っており、支援先が希望する事業を滞りなく展開できるよう、専門的な知識を持ったスタッフが多数在籍しているのが特徴です。グローバル市場における、製品やサービスのポテンシャルの評価、海外展開のリスクの把握など、多角的な視点から調査を実施し、企業の海外展開戦略をトータルでサポートいたします。
海外進出を検討されている方は、お気軽にAXIA Marketingまでご相談ください。
参考文献
・日本企業による海外進出のメリット7選!おすすめの国や日本企業の成功事例も徹底解説!
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